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精霊は英雄の記憶を手渡す6
「ディアナちゃん、貴女に子供ができないのは貴女のせいではないわ。それをもっと早く言ってあげられたら良かった」
ユピテルが肘から先のなくなった腕を差し出す。
私は黙ってそれに自らの両手を重ねた。
「……貴女には選択肢がある、子供を諦めて残りの人生を平穏に暮らすか……危険を冒して闇の精霊たちと対峙するか」
伏し目がちな表情で女神は告げる。
その後に、今すぐ決めなくてもいいと彼女は優しく笑った。
「精霊は死なないわ、ただ罰を受け格が落ちるだけ……
神ではなくなり……力も体も、まもなくわたくしの意識も分散して世界に溶け……い……く」
それでも貴女に少しの力を残すわ。そうユピテルは途切れ途切れに言いながらどんどんと崩れていく。
ゆるやかな崩壊ではなく、体の半分が砂の像のように一気に削げていった。
けれど、それが彼女の美しさを損なうということは一切なく。
「ユピテル」
「もし、闇の精霊と……うつもりなら、その前に他の精霊たちと会いなさ……い……縁……絆の……深……」
言葉が、殆ど聞き取れなくなっていく。
私は女神の残された部分を強く抱きしめた。
それが彼女を崩壊を早めることになるとわかっていたけれど、そうした方がいいと私の中の誰かが囁いていた。
「女神ユピテル、貴女は私が知る中で一番美しい女性よ」
「ディア……いちば、 ?」
「ええ、一番綺麗だわ……よく頑張ったね」
「うれ、し……」
儚い光を一度だけ放ってユピテルは私の腕の中から消滅した。
最後の幼子のような喜びの声がまだ耳に残っている。
私の言葉が、彼女の求めた『誰か』のものに一瞬でも聞こえていたならいいと心から願った。
______
『ねえ、主様』
『なんだい、ユピテル』
『今日会った女性、すごく美しかったですね』
『そうだな……あれだけ美しい女性は初めて見た』
『娶るつもりなら、絶対馬鹿マルスに会わせちゃ駄目ですよ。奴は面食いです』
『はは、だったらお前もあいつに会わせたら駄目だな。お前の姿も扱う雷も凄く綺麗だ』
『もう!そういうことでなくてですね……!!』
あの時、結局貴男には言えなかったけれど。
『綺麗って言ってくれて、ありがとうございます……主様』
ほんとうに、うれしかった。
ユピテルが肘から先のなくなった腕を差し出す。
私は黙ってそれに自らの両手を重ねた。
「……貴女には選択肢がある、子供を諦めて残りの人生を平穏に暮らすか……危険を冒して闇の精霊たちと対峙するか」
伏し目がちな表情で女神は告げる。
その後に、今すぐ決めなくてもいいと彼女は優しく笑った。
「精霊は死なないわ、ただ罰を受け格が落ちるだけ……
神ではなくなり……力も体も、まもなくわたくしの意識も分散して世界に溶け……い……く」
それでも貴女に少しの力を残すわ。そうユピテルは途切れ途切れに言いながらどんどんと崩れていく。
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けれど、それが彼女の美しさを損なうということは一切なく。
「ユピテル」
「もし、闇の精霊と……うつもりなら、その前に他の精霊たちと会いなさ……い……縁……絆の……深……」
言葉が、殆ど聞き取れなくなっていく。
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「女神ユピテル、貴女は私が知る中で一番美しい女性よ」
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『もう!そういうことでなくてですね……!!』
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『綺麗って言ってくれて、ありがとうございます……主様』
ほんとうに、うれしかった。
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