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夜が明ければ新しい朝が始まる1
ユピテルに眠らされていた侍女が目覚めたのを切っ掛けにマリアは人を呼んだ。
あれだけの轟音が数度鳴り響いても部屋に一切近づかなかった城の者たちはマリアが文句を言いながら自ら呼びに行った。
「王妃が絶対近寄るなって御命令くださったでしょう」と呆れながら崩壊した部屋を訪れた家臣たちは私の予想以上に落ち着いた反応だった。
なんというか、こう凄いトラブル慣れをしている。床に刺さっていた剣には流石に驚いていたが「それ私の」とマリアが言った途端理解した顔をした。
城の者たちが落ち着き過ぎているのか、城に住んでいる王妃がマリアだからこうなってしまったのか。
赤子になったロバートについては流石に「それ私の」とは言わなかったマリアだったが、私に説明係を振ってきたのは困った。
正直に言えと言われて仕方なく「元夫だが色々あって雷女神ユピテルがここまで若返らせた」と出来るだけ簡潔に話した。
その後にすかさず「この娘、ユピテルの加護持ちだから」とマリアが言い添えたことには吃驚した。
「こいつ若い女の為にディアナを捨てたんだけど、愛人が豚になったからってディアナとより戻そうとしたら、彼女の加護神である雷女神がブチ切れて大暴れよ」
「なんと!私どもはてっきり王妃が大暴れしているのかと思っておりました」
「か弱い私がそんなことする訳ないでしょ。とりあえず赤子に罪はないから適当に明日まで面倒見て。あと湯の用意して。大浴場の方で。入るから」
「はっ、承知いたしました」
なんというかこう、非常にやりとりがあっさりとしている。
雷女神が暴れたという一点だけで、もっと仰天して追及してもいいと思うのだが。
そんな事を思っていたら「後から質問責めになるから大丈夫よ」とマリアに肩を叩かれた。
全然大丈夫ではないと思った。
ただ、それは仕方ないことだろう。私もマリアも嘘は言っていない。雷女神は実際にこの場に降臨した。
そしてシシリーを豚に変え罰を与える為精霊界に連れ去ったし、ロバートのことも今までの記憶を消し無垢な赤子に変えた。
最初は、貴族の女が若い情婦のできた夫に惨めに捨てられただけだったのに。
その時の痛みすら掠り傷に思えるぐらいに、衝撃的なことが起こり過ぎている。
私もだが、マリアも大変だろう。
前世の記憶を取り戻して、さらにそれが建国の英雄マルスだったのだから。
英雄と王妃、二つの記憶を持って彼女はこれからどのよう生きるのだろう。
「とりあえず風呂入って美味しい物食べてぐっすり寝て……ちゃんとするのはそれからよ」
今日はお疲れ、とマリアが再度私の肩を叩く。その飄々とした姿は普段と変わらないように見えた。
だから私もそれに合わせる。痛いわよと笑って見せた。
上手く笑えたかは判らないが、マリアのように強い女に見えていたらいいと思った。
あれだけの轟音が数度鳴り響いても部屋に一切近づかなかった城の者たちはマリアが文句を言いながら自ら呼びに行った。
「王妃が絶対近寄るなって御命令くださったでしょう」と呆れながら崩壊した部屋を訪れた家臣たちは私の予想以上に落ち着いた反応だった。
なんというか、こう凄いトラブル慣れをしている。床に刺さっていた剣には流石に驚いていたが「それ私の」とマリアが言った途端理解した顔をした。
城の者たちが落ち着き過ぎているのか、城に住んでいる王妃がマリアだからこうなってしまったのか。
赤子になったロバートについては流石に「それ私の」とは言わなかったマリアだったが、私に説明係を振ってきたのは困った。
正直に言えと言われて仕方なく「元夫だが色々あって雷女神ユピテルがここまで若返らせた」と出来るだけ簡潔に話した。
その後にすかさず「この娘、ユピテルの加護持ちだから」とマリアが言い添えたことには吃驚した。
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「はっ、承知いたしました」
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全然大丈夫ではないと思った。
ただ、それは仕方ないことだろう。私もマリアも嘘は言っていない。雷女神は実際にこの場に降臨した。
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