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レノアの章
無力な聖女
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傲慢だが縋りつく様な目をした青年と、穏やかに微笑みながらも瞳は湖面のように美しく澄んだままの淑女。
そのような二人を目の当たりにした時に疑いは完全に確信に変わった。
ここから悲劇は始まるのだと。身分の差があるとはいえ、いや身分の差があるからこそだ。
婚約者という関係を恐らく一方的に望んだのはジルク王子だろう。
そして婚約を結んだだけでは足りず、我儘な子供は婚姻前に彼女の全てを自分のものにしようとするのだろう。強引に。
挙句行為の結果に孕んだアイリスフィア嬢を捨てるのだ。理解が出来ない。
私は学校を早退すると教会に戻り、自らの感じたものを隠さずに教会の大人たちに話した。
聖女である私が男性もいる学園で過ごしていたのは、あの悪夢を阻止する為だ。
夢で見た少女の制服姿を私は覚えていて、その記憶をもとに学園に入学したのだ。
今すぐ王に二人の婚約を解約するよう説得すべきだ。けれど私の意見は却下された。
証拠が足りないと。私の直感だけでは王も王妃も納得しないだろうと。
私が女神の使いである聖女であっても、そのような人間が必死に告げても聞き入れては貰えないのか。
司祭長は「もう少し様子を見るように」と私に言った。
悪夢が現実になるのなら、手遅れにならないように見張り続けるしかないと。
そして手遅れにならない程度まで自体が進んでから証拠を掴んで王に話した方がいいと。
そんな悠長なことをしていいのかと思いながらも私は逆らえなかった。
確かに現状の二人はただの婚約者だ。 何か問題を起こした訳ではない。
けれど万が一の時を考え私はシスターに即効性のある避妊薬を用意して貰った。当然自分が使うものではない。
大きな腹を揺らし首を吊っっていた夢の中の少女。彼女は紛れもなくアイリスフィア様だ。
どうか彼女が悪夢の結末に進みませんように。用意された薬を私は鞄の中に忍ばせた。
そのような二人を目の当たりにした時に疑いは完全に確信に変わった。
ここから悲劇は始まるのだと。身分の差があるとはいえ、いや身分の差があるからこそだ。
婚約者という関係を恐らく一方的に望んだのはジルク王子だろう。
そして婚約を結んだだけでは足りず、我儘な子供は婚姻前に彼女の全てを自分のものにしようとするのだろう。強引に。
挙句行為の結果に孕んだアイリスフィア嬢を捨てるのだ。理解が出来ない。
私は学校を早退すると教会に戻り、自らの感じたものを隠さずに教会の大人たちに話した。
聖女である私が男性もいる学園で過ごしていたのは、あの悪夢を阻止する為だ。
夢で見た少女の制服姿を私は覚えていて、その記憶をもとに学園に入学したのだ。
今すぐ王に二人の婚約を解約するよう説得すべきだ。けれど私の意見は却下された。
証拠が足りないと。私の直感だけでは王も王妃も納得しないだろうと。
私が女神の使いである聖女であっても、そのような人間が必死に告げても聞き入れては貰えないのか。
司祭長は「もう少し様子を見るように」と私に言った。
悪夢が現実になるのなら、手遅れにならないように見張り続けるしかないと。
そして手遅れにならない程度まで自体が進んでから証拠を掴んで王に話した方がいいと。
そんな悠長なことをしていいのかと思いながらも私は逆らえなかった。
確かに現状の二人はただの婚約者だ。 何か問題を起こした訳ではない。
けれど万が一の時を考え私はシスターに即効性のある避妊薬を用意して貰った。当然自分が使うものではない。
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どうか彼女が悪夢の結末に進みませんように。用意された薬を私は鞄の中に忍ばせた。
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