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レノアの章
セイレーンの涙
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「アイリスフィアはもう堪能した、つまらない女だった」
ジルクの傲慢な台詞を聞いた時、目の前にケーキが無くて良かったと私は思った。
そのケーキを食べる為のフォークや切り分ける為のナイフが無くて良かったと。
体を熱くして泣いていたアイリ様の姿を思い出す。彼女が忘れたいと強く願っていたからこそ消すことが叶った記憶。何度も。
茶会に誘われる度少しずつ持ち帰った茶の成分、教会に調査させたところ悪質な媚薬だと回答が来た。
ただの媚薬ではない、中毒性がある。セイレーンの涙とは危険な毒薬だった。
血や様々な体液と薬を混ぜたものを対象に飲ませると血の持ち主に強く発情しその体液を得る為に何でもするようになる。
そして相手の体液とセイレーンの涙を摂取し続ければ完全に依存状態になりどんな言う事でも聞くようになる。
その中毒から一時的にでも脱するには相手の体臭や声が届かない位置まで非難する必要がある。
恐らくアイリ様は薬を飲まされたのだ。そしてジルク王子は彼女に「身も心も自分の虜になるように」と命じたのだ。
一回や二回ではないだろう。この男が妖しい薬でアイリ様の体と心を言いなりにして淫らにして楽しんだのは。
散々彼女を欲で汚した挙句つまらない女だと笑う男はどんな魔物よりも邪悪に思えた。
そして何故ジルク王子が私を急に狙いだしたのかも察することが出来た。
高い地位にあり清らかで穢すことのできない女性にこの男は醜い欲望を向けるのだ。
アイリ様はその美しさと性格から、そして私は聖女という立場から狙われた。
とんだ害獣だ。こんなものが王子として城内で暮らしているのがおかしい。国から追い出さなければいけない。
年頃の少女としての嫌悪感と、聖女としての使命感が私を後押しした。
この男に二度とアイリスフィア様を抱かせたくはない。そう願ったのはレノアとしての私だった。
ジルクの傲慢な台詞を聞いた時、目の前にケーキが無くて良かったと私は思った。
そのケーキを食べる為のフォークや切り分ける為のナイフが無くて良かったと。
体を熱くして泣いていたアイリ様の姿を思い出す。彼女が忘れたいと強く願っていたからこそ消すことが叶った記憶。何度も。
茶会に誘われる度少しずつ持ち帰った茶の成分、教会に調査させたところ悪質な媚薬だと回答が来た。
ただの媚薬ではない、中毒性がある。セイレーンの涙とは危険な毒薬だった。
血や様々な体液と薬を混ぜたものを対象に飲ませると血の持ち主に強く発情しその体液を得る為に何でもするようになる。
そして相手の体液とセイレーンの涙を摂取し続ければ完全に依存状態になりどんな言う事でも聞くようになる。
その中毒から一時的にでも脱するには相手の体臭や声が届かない位置まで非難する必要がある。
恐らくアイリ様は薬を飲まされたのだ。そしてジルク王子は彼女に「身も心も自分の虜になるように」と命じたのだ。
一回や二回ではないだろう。この男が妖しい薬でアイリ様の体と心を言いなりにして淫らにして楽しんだのは。
散々彼女を欲で汚した挙句つまらない女だと笑う男はどんな魔物よりも邪悪に思えた。
そして何故ジルク王子が私を急に狙いだしたのかも察することが出来た。
高い地位にあり清らかで穢すことのできない女性にこの男は醜い欲望を向けるのだ。
アイリ様はその美しさと性格から、そして私は聖女という立場から狙われた。
とんだ害獣だ。こんなものが王子として城内で暮らしているのがおかしい。国から追い出さなければいけない。
年頃の少女としての嫌悪感と、聖女としての使命感が私を後押しした。
この男に二度とアイリスフィア様を抱かせたくはない。そう願ったのはレノアとしての私だった。
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