49 / 66
第一章
四十八話
しおりを挟む
やはり、ライルの家の庭に亡霊綿毛を植えたのはリンナだった。
根を使い地下からの盗聴が可能になった彼女は私とライルを監視していたのだ。
そしてライルが庭掃除をしないこと、それに呆れた私も彼の家の草むしりをしなくなったことを知った。
これは植物を操る魔物にとって絶好の好機だったのだろう。
リンナはまずライルの精神を弱らせようとした。その為に亡霊綿毛を植えたのだ。
植えたのはそれだけではないと嫌らしく笑う彼女の性質の悪さに辟易した。
自宅の庭が毒草まみれになっていること、その毒に弱らされていることを無意識に察したのかライルが私の家に居つくようになった。
そのことでリンナは私とライルが特別な関係だと確信した。そしてその関係を壊してやろうと思ったのだと言う。
不在がちなライルの家の留守を狙って精神に作用する花粉を気づかれない程度にばらまくことを繰り返した。
その家の主人であるライルも、たまに掃除に来る私もまんまとその花粉を吸いこんだ。
ライルは魔王討伐後王都から帰還して以来身も心も弱っていた。
リンナの罠はそんな状態のライルを更に不安定にした。
そしてライルと幼馴染であり彼の身の回りの世話をしていた私も巻き込まれた。
いや、リンナはそうなることを理解していて罠を張ったのだ。
ライルとの距離が近づけば近づく程私の心は不満と不安に満ちていった。彼女はそれを狙っていたのだ。
私とライルは近過ぎた。恋人でも夫婦でも、本当は家族でもないのに。そうなる前に距離を詰め過ぎたのだ。
愛の告白を互いにしないまま、ライルは討伐の依頼がない限り私の家でほぼ一日を過ごすようになった。
そのもどかしい時間がとても便利だったとリンナは笑った。
その間にリンナの植物の部分は成長し、魔物としての力が増したと言った。
彼女が仕掛けた亡霊綿毛や他の毒草も着実に私とライルを蝕んでいった。
「そして、じっくりと育てた果実を摘み取ル時がきた」
リンナが舌なめずりをしながら言う。
「アディー、アンタの部屋にいたのは確かにアタシとライル君よ」
それは亡霊綿毛が見せた幻覚ではない。
心臓を汚い手で不躾に握りしめられたような衝撃があった。
根を使い地下からの盗聴が可能になった彼女は私とライルを監視していたのだ。
そしてライルが庭掃除をしないこと、それに呆れた私も彼の家の草むしりをしなくなったことを知った。
これは植物を操る魔物にとって絶好の好機だったのだろう。
リンナはまずライルの精神を弱らせようとした。その為に亡霊綿毛を植えたのだ。
植えたのはそれだけではないと嫌らしく笑う彼女の性質の悪さに辟易した。
自宅の庭が毒草まみれになっていること、その毒に弱らされていることを無意識に察したのかライルが私の家に居つくようになった。
そのことでリンナは私とライルが特別な関係だと確信した。そしてその関係を壊してやろうと思ったのだと言う。
不在がちなライルの家の留守を狙って精神に作用する花粉を気づかれない程度にばらまくことを繰り返した。
その家の主人であるライルも、たまに掃除に来る私もまんまとその花粉を吸いこんだ。
ライルは魔王討伐後王都から帰還して以来身も心も弱っていた。
リンナの罠はそんな状態のライルを更に不安定にした。
そしてライルと幼馴染であり彼の身の回りの世話をしていた私も巻き込まれた。
いや、リンナはそうなることを理解していて罠を張ったのだ。
ライルとの距離が近づけば近づく程私の心は不満と不安に満ちていった。彼女はそれを狙っていたのだ。
私とライルは近過ぎた。恋人でも夫婦でも、本当は家族でもないのに。そうなる前に距離を詰め過ぎたのだ。
愛の告白を互いにしないまま、ライルは討伐の依頼がない限り私の家でほぼ一日を過ごすようになった。
そのもどかしい時間がとても便利だったとリンナは笑った。
その間にリンナの植物の部分は成長し、魔物としての力が増したと言った。
彼女が仕掛けた亡霊綿毛や他の毒草も着実に私とライルを蝕んでいった。
「そして、じっくりと育てた果実を摘み取ル時がきた」
リンナが舌なめずりをしながら言う。
「アディー、アンタの部屋にいたのは確かにアタシとライル君よ」
それは亡霊綿毛が見せた幻覚ではない。
心臓を汚い手で不躾に握りしめられたような衝撃があった。
1
あなたにおすすめの小説
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
【完結】赤ちゃんが生まれたら殺されるようです
白崎りか
恋愛
もうすぐ赤ちゃんが生まれる。
ドレスの上から、ふくらんだお腹をなでる。
「はやく出ておいで。私の赤ちゃん」
ある日、アリシアは見てしまう。
夫が、ベッドの上で、メイドと口づけをしているのを!
「どうして、メイドのお腹にも、赤ちゃんがいるの?!」
「赤ちゃんが生まれたら、私は殺されるの?」
夫とメイドは、アリシアの殺害を計画していた。
自分たちの子供を跡継ぎにして、辺境伯家を乗っ取ろうとしているのだ。
ドラゴンの力で、前世の記憶を取り戻したアリシアは、自由を手に入れるために裁判で戦う。
※1話と2話は短編版と内容は同じですが、設定を少し変えています。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜
深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。
処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。
なぜなら彼女は――
前世で“トップインフルエンサー”だったから。
処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。
空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。
タイトルは――
『断罪なう』。
王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。
すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、
国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。
そして宣言される、前代未聞のルール。
支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。
処刑台は舞台へ。
断罪はエンタメへ。
悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。
これは、
処刑されるはずだった悪役令嬢が、
“ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。
支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、
それとも――自由か。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる