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手にした戦果
精霊の魔法
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ディアドラはいろいろな魔法を使えた。
対象が地面についている状態で自分が触れられれば威力は最大に発揮できる。
そうでなくても先ほどのように紋様を描いて発動させることもできた。
リロイは見習いの頃にヘイデンの貴族に世話になったことがある。
ヘイデンには農地がほとんどない。
代わりに学校が立ち並び、家庭教師がたくさんいた。
教育に力を入れることで経済を発展させている。
周りにある小国家群との外交によって必要な物資を得る国だった。
慣例と武力で物事を動かすアレスティアとは随分違うのだ。
子ども心に驚いた。
この人はあの国で高度な教育を受けている。
怪我を治してもらったあの日、魔法を教えましょうか、と聞かれた。
リロイは引きこまれる思いではいと答えた。
そういうわけでここしばらく、日の出とともに館を出て荷を運んでいる。
帰りには道をそれてヘイデンの方へ寄るのだ。
傷が急に良くなったと思ったら、どこかで何かし始めた領主。
それをトゥーレは何か言いたそうに見守っている。
草原からはすっかり朝露の水気が消えている。
初夏の丘にはからっとした風が吹き抜けた。
市場から帰る時間は昼の少し手前になる。
リロイは早く質問しないと帰る時間が来てしまうのだ。
「この草はご存じですか?
荒地に植えても三日ほどで葉を何枚も収穫できます。
水場の取り合いを制した時にはとりあえず野菜は事欠かない」
無邪気にも見える笑顔でリロイは説明した。
陣を張る苦労も遊びのように語る。
「これが魔法にかかるとどうなりますか?」
ディアドラの魔法は地の精霊と契約している。
ヘイデンでは生まれたての魔法使いは大人の魔法使いによって儀式を行うのだ。
その子の魔力に応じて精霊が一人現れる。
精霊に名前を渡すと、その力を一生貸してもらえる。
ディアドラというのは通り名で、本当の名前ではない。
彼女の元に現れたのは地の精霊のひとり。
植物の生命力を司るものだった。
それで彼女はその力を借りて人を治せる。
逆に働けば人を傷つけもするのだそうだ。
平時、人に教える立場なのだという。
余暇にはこうして薬を作りに作業小屋へやってくる。
ここは彼女が幼い頃に住んでいた家だった。
「たくさん食べたいなら成長を促してみましょうか?」
木箱から出された草を中に戻し、ディアドラは両端を掴む。
「力む必要はないの。地の精霊の力はどこにでもある。
その力で植物を刺激するだけ」
野草を包んだ布から根が飛び出してきた。
茎がのび、節からは若芽がツノを出す。
「あまり一度に無理をさせると枯れてしまう。
これはもう十分。明日の朝には収穫できるほどになっているはずです」
ディアドラは箱から手を離した。
「成長を促すほかは何ができますか?」
「ちょっと無理をさせて一気に大きくすれば人を覆ってしまえます。
急に動物に襲われた時なんかはそうして身を守りますね」
リロイは持ってきた枝の方を手に取る。
自分にも魔力があるというのなら、こいつも根が出るか。
しばらく見つめていると、花の色で染まった爪が少し先の方を摘んだ。
ふわりと葉が動く。
何か起こるかと思われた瞬間、木は水分を失って萎れた。
「これはどこにあった木ですか?」
しょんぼりするリロイにディアドラが尋ねる。
「うちの庭です。薬になる木だと教わっています」
庭、といっても、場所は隣の領地に近い山の方。
森の中にあった。
その木にだけ日の光を譲るように、周りの木々の枝は空を開けている。
まるで敬っているようだった。
「名前も知らないし、他に生えているのを見たこともありません。
領地に一本だけ生えているのです。
葉を食べると病が治ったり解毒になったりするので普段から持ち歩いています」
ディアドラは目を剥く。
今、信じられないことを聞いたという顔をしていた。
「これは精霊が宿る木です。
勝手に普段から葉っぱをむしったり枝を切ったりしたら怒られていませんか」
「精霊ですか?」
リロイはよくよく思い返してみる。
「見たことないです。母に至っては一度燃やしたことがあると……」
また同じ場所に生えてきて、今は背の高い木になっている。
生命力が抜群に強いことは確かだ。
「燃やした……?」
薪ではない。
どんな事情があれそんなことをしたら精霊は怒り狂いそうだ。
「とにかく、これが萎れたのは失敗ではありません」
ディアドラは言う。
「この木は精霊の力でしか根が伸びないのでしょう。
精霊はその木のどこかに眠っているか、封印されているか。
そんな昔話や祭りを知りませんか?」
「いいえ」
収穫祭の他は、月に一度慰労のための宴会をしているくらいだ。
昔話も木にまつわる話は聞いたことがない。
「この木がもっと増えたらいいなと思って持ってきただけなんです」
「今、枝は魔力を根本の方へ流すような動きをしたのです。
失敗したのではなく働いたから萎れた」
ディアドラは枯れてしまった枝を大切に布に包んだ。
「これを、知っている植物学者に見せても構いませんか?
精霊に失礼のないように扱います」
「構いません」
母より失礼な扱いはない。
リロイも似たり寄ったりだ。
「私の魔法というのは、その精霊の力を借りているのですか?」
リロイが野草の入った木箱をつつきながら聞く。
ディアドラの答えは否だ。
「私も初めて見る魔力です。
外に現れないからどんな性質なのかも分からない。
けれど、精霊の力ではないですね」
対象が地面についている状態で自分が触れられれば威力は最大に発揮できる。
そうでなくても先ほどのように紋様を描いて発動させることもできた。
リロイは見習いの頃にヘイデンの貴族に世話になったことがある。
ヘイデンには農地がほとんどない。
代わりに学校が立ち並び、家庭教師がたくさんいた。
教育に力を入れることで経済を発展させている。
周りにある小国家群との外交によって必要な物資を得る国だった。
慣例と武力で物事を動かすアレスティアとは随分違うのだ。
子ども心に驚いた。
この人はあの国で高度な教育を受けている。
怪我を治してもらったあの日、魔法を教えましょうか、と聞かれた。
リロイは引きこまれる思いではいと答えた。
そういうわけでここしばらく、日の出とともに館を出て荷を運んでいる。
帰りには道をそれてヘイデンの方へ寄るのだ。
傷が急に良くなったと思ったら、どこかで何かし始めた領主。
それをトゥーレは何か言いたそうに見守っている。
草原からはすっかり朝露の水気が消えている。
初夏の丘にはからっとした風が吹き抜けた。
市場から帰る時間は昼の少し手前になる。
リロイは早く質問しないと帰る時間が来てしまうのだ。
「この草はご存じですか?
荒地に植えても三日ほどで葉を何枚も収穫できます。
水場の取り合いを制した時にはとりあえず野菜は事欠かない」
無邪気にも見える笑顔でリロイは説明した。
陣を張る苦労も遊びのように語る。
「これが魔法にかかるとどうなりますか?」
ディアドラの魔法は地の精霊と契約している。
ヘイデンでは生まれたての魔法使いは大人の魔法使いによって儀式を行うのだ。
その子の魔力に応じて精霊が一人現れる。
精霊に名前を渡すと、その力を一生貸してもらえる。
ディアドラというのは通り名で、本当の名前ではない。
彼女の元に現れたのは地の精霊のひとり。
植物の生命力を司るものだった。
それで彼女はその力を借りて人を治せる。
逆に働けば人を傷つけもするのだそうだ。
平時、人に教える立場なのだという。
余暇にはこうして薬を作りに作業小屋へやってくる。
ここは彼女が幼い頃に住んでいた家だった。
「たくさん食べたいなら成長を促してみましょうか?」
木箱から出された草を中に戻し、ディアドラは両端を掴む。
「力む必要はないの。地の精霊の力はどこにでもある。
その力で植物を刺激するだけ」
野草を包んだ布から根が飛び出してきた。
茎がのび、節からは若芽がツノを出す。
「あまり一度に無理をさせると枯れてしまう。
これはもう十分。明日の朝には収穫できるほどになっているはずです」
ディアドラは箱から手を離した。
「成長を促すほかは何ができますか?」
「ちょっと無理をさせて一気に大きくすれば人を覆ってしまえます。
急に動物に襲われた時なんかはそうして身を守りますね」
リロイは持ってきた枝の方を手に取る。
自分にも魔力があるというのなら、こいつも根が出るか。
しばらく見つめていると、花の色で染まった爪が少し先の方を摘んだ。
ふわりと葉が動く。
何か起こるかと思われた瞬間、木は水分を失って萎れた。
「これはどこにあった木ですか?」
しょんぼりするリロイにディアドラが尋ねる。
「うちの庭です。薬になる木だと教わっています」
庭、といっても、場所は隣の領地に近い山の方。
森の中にあった。
その木にだけ日の光を譲るように、周りの木々の枝は空を開けている。
まるで敬っているようだった。
「名前も知らないし、他に生えているのを見たこともありません。
領地に一本だけ生えているのです。
葉を食べると病が治ったり解毒になったりするので普段から持ち歩いています」
ディアドラは目を剥く。
今、信じられないことを聞いたという顔をしていた。
「これは精霊が宿る木です。
勝手に普段から葉っぱをむしったり枝を切ったりしたら怒られていませんか」
「精霊ですか?」
リロイはよくよく思い返してみる。
「見たことないです。母に至っては一度燃やしたことがあると……」
また同じ場所に生えてきて、今は背の高い木になっている。
生命力が抜群に強いことは確かだ。
「燃やした……?」
薪ではない。
どんな事情があれそんなことをしたら精霊は怒り狂いそうだ。
「とにかく、これが萎れたのは失敗ではありません」
ディアドラは言う。
「この木は精霊の力でしか根が伸びないのでしょう。
精霊はその木のどこかに眠っているか、封印されているか。
そんな昔話や祭りを知りませんか?」
「いいえ」
収穫祭の他は、月に一度慰労のための宴会をしているくらいだ。
昔話も木にまつわる話は聞いたことがない。
「この木がもっと増えたらいいなと思って持ってきただけなんです」
「今、枝は魔力を根本の方へ流すような動きをしたのです。
失敗したのではなく働いたから萎れた」
ディアドラは枯れてしまった枝を大切に布に包んだ。
「これを、知っている植物学者に見せても構いませんか?
精霊に失礼のないように扱います」
「構いません」
母より失礼な扱いはない。
リロイも似たり寄ったりだ。
「私の魔法というのは、その精霊の力を借りているのですか?」
リロイが野草の入った木箱をつつきながら聞く。
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