その木かげで待つひとへ(1)光る道を進んで

端木 子恭

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背を預ける時

新しい武器

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 これこれ、というように、兵舎のホールで紙を振ってみせた時にはもう夜中だった。
 まだ起きて話していたクレイグに嬉しそうな顔を見せる。


 用事が済んで戻っていたのだ。
 ちょうどいい。


 マルテとカミルが灯りの下で何かを見ていた。


「リロイもか?」
「見せたいものがあって」

 リロイが待ちきれないように紙をテーブルに広げる。

「今日、護送中に祖父の話を聞けた」
「どうしてそうなった」

 マルテが怪訝そうに聞いた。

「これも機械だよ」

 紙を覗いたカミルが言った。
 こちらはすでに眠そうで、目に元気がない。

「本当だ」

 クレイグもそばで紙面を見た。

「ロード公国時代の兵器か?」
「ソーン様がくださった。祖父から直接見せられたものだということだよ」
「どういうつながりのソーン様?」

 マルテが時間をちょっと巻き戻せというように指をくるくる回す。

「ヘイデンに入ったらアーヴィン卿が出迎えに来ていた。
 それで卿の館に行ったらソーン様がいらしていてね。
 私に祖父の設計図をくださったんだ。
 面白そうな兵器だからみんなに見せたくてまっすぐ兵舎へ来た」

 儀礼服とベルトをテーブルの上に置いた。
 壁際でリボルとシメネスが情報を共有している。

「倫理問題を審査する監督官だって。
 それで祖父からこの兵器の構想を詳しく聞いた。
 まだ頭の中にあるだけのものだったようだよ」
「精霊を中に入れて、魔力を……、とりこむ?」

 マルテが図をたどりながら言った。
 カミルは手に持っていた紙をリロイの図の扉の上へ置く。

「同じ兵器なんじゃない?」

 彼の示した部分には檻のような窓が描かれていた。

「あー、リロイ、これな、アレスティアの役人が昔ロードに行って見たものを書いたんだ。
 リーン王子が私にくれた」

 クレイグがとりなすような口調で言う。

「アレスティア側の解釈が入ってるんだ。
 これがそのまま大公の思惑だというわけじゃない」
「うん……。祖父はこの図を描いた時点では具体的なことを考えていなかった。
 目的に関わらず、精霊であれ魔物であれ無理やり捕まえて使えば倫理問題。
 ソーン様はそういうふうに指摘したそうだ」

 クレイグがもらった図の方は何やら物騒だ。
 座席に座らせる者として、精霊、小さな魔物、小さくした魔物、魔法使い……。

「仕組みは一緒だな。
 魔力をまず吸い込んで貯める性質の石に誘う。
 魔法の回路で別の石と繋いでる。増幅させる石か何かだ」

 マルテが設計図の頭部を見て笑う。

「粉ひき……?」

 平和的な兵器に愉快そうな顔になった。

「平時は生活の役に立て、戦時には頭を付け替えて大砲や投石機にする。
 それが大公の構想だった」
「じゃあ、頭部の石も付け替えられるようにしてたのかな。
 大砲を飛ばすような爆発的な力と、粉ひきに使うような持続的で一定の力」

 眠れなくなってきたようなマルテと、とりあえず明日からにしたいカミル。

「二人にこの兵器の再現を頼みたい」

 カミルが眠ってしまう前にリロイは命じる。

「ロード独自の武器を開発したい。する必要がある」
「でもこの動力は……」

 クレイグが指した先には、精霊。

「ここは魔法使いに相談しよう。魔導鉱石や、紋様や、他の方法を」
「とにかく魔法に反応して力を発揮する装置を作るんだな」

 目的を飲みこんだマルテが拳で図面を軽く叩いた。

「魔法と技術の組み合わせか。楽しそうだ」
 
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