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雪に閉ざされて
縄張りを守る
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バラックよりは、1ミリだけ上等。
そんな家が、数日前、数時間ででき上がった。
一応柱がある。壁も板でできている。ストーブもあってあったかいし。
ホールになっていて、20人は座って話せる。
オークが扉の見張りについていた。
外にもストーブがいくつかある。スイートが取り憑いたミルク缶がかけられていた。
フットマンが近寄る者に温かい牛乳を給仕している。
これは初日、大変だったのだ。
温かい牛乳が飲み放題というだけで他所からも人間が殺到したのである。
家だけは守ったが、ケガ人が大勢出てしまった。
もうこれは落ち着くまでやり続けるしかないと腹を括って毎日午前中ずっとしている。
家の隣に収容所を作った。
これもまた数時間で完成したちょっとだけ上等な建物。
そこに初日のケガ人を収容した。
ストーブと、パンと果物を与えて世話をしたら、たくさん話を聞かせてくれた。
その甲斐あって、1週間ほど経った現在、牛乳を見て住民が殺到することはなくなった。
ケガをしたと言って毎日新たな住民が収容所に増えるのは困っている。
年寄りが多い。
室内のグラントの前には書類が積まれていた。
そばでウーシーが菓子を頬張る。ケリーもいた。
「先生、これ、処理しなきゃならないんですか?」
唖然として口を開いて尋ねる。
「しなきゃねえ」
のんびりと答えたのは、最近髪を切ったグラントだ。
セーターも諸事情で新調している。
レイの館のランドリーがフェルトと間違えて切り刻んだ。
そのレイからの手紙を見つけて読んでみる。
あとひと月ないが順調かと質問してきていた。
兵数が揃ったことを報告する手紙を書いて、外にいた者に配達を任せる。
王様にはもうひとり孫がいる。
シュトラールとレイの館の間を手紙が何度か行き来するうちに、噂は広まっていた。
あの第二王子がまた何かしでかした。
シェリーの目が不自由であることも知られている。
レイが情報を調節しているんだろう。
平民だって体の不自由な人間には救済を与える。
王や王子は見捨てておくのか。
顔も知らない令嬢に世間は同情を寄せた。
「できるだけ早く。というか今日中に頼みたい」
グラントとテーブルを挟んで向かい合っている青年が言った。
彼はエムリンという。従騎士としての経験があった。
年はもうすぐ二十歳で、まっすぐな目が、グラントには時々まぶしい。
この地区には成長してから流れ着いた。セリッサヒルへも来てくれる。
「ボロが担っていた裏稼業は、もうすでにフィンとマーシャに流れました。
うちの住民は不安がってます。食わしてくれなきゃ、人間まで流れ出てしまいます」
ポーターという、マーシャと同じ年くらいの会計係だ。
数年前に勤めていた豪商が倒産し、シュトラールへ来た。
心配顔の彼にグラントは申し訳なさそうな顔をする。
「そうだねえ」
啖呵を切ったのはいいが。
グラントに組織犯罪を行うつもりはない。
となると真っ当な食い扶持を世話しなければならない。
そして、ボロ名義の証文やら書付の類を処理しなければ。
密輸の許可は破り捨てれば良かったので簡単だった。
口に出しちゃいけない仕事は全部中止で。
「わたしは兵団として縄張りを守りたいと考えているんだけれどね。
そうすれば犯罪を行わなくても組織的に地域を運営できるだろ?」
グラントの言葉に、エムリンは言う。
「残ってる戦えそうな男は40人ほどだ。やっていけるのか」
「女性も入れる。戦えない者も、入れる。全戸入団させる」
「なんで?」
「兵団は戦うだけじゃないからだ。
後方支援も重要だし、啓蒙や施し、教育をするのは勇猛果敢な男じゃなくていい」
全戸、と言ったが、多分家の数は20軒ない。
そこまで人が減ってしまった。この数をなんとしても守らなければならない。
マーシャに食われる。
力が余っている層は、ケリーとエムリンで公共事業に連れて行くことにした。
門番がやりたくない冬の仕事、雪かきである。
定期的に発注してもらえるか交渉したところ、許可が出た。
ボロの庇護下にあってもどん底の生活をしていた高齢者たちには、軽工業を発注している。
請け負ってくれた者には給金の他にパンを与えた。
結果、ほとんどの高齢者が今、家の中で機織りをしている。
来週中には共同竈と浴場もできる。そうすれば施しももっと与えやすい。
人が少なくなったので今なら物件取り壊し放題だ。
「縄張りの境目あたりでの小競り合いが増えてる。
フィンもマーシャも、グラントは怒らないって言ってるらしいぞ」
エムリンの報告に、ウーシーとケリーがつい笑った。
「……ごめん。それは今週中になんとかできればと思う」
グラントは死んだ目をして言う。
マーシャはわかるが、なぜ会ったこともないフィンまで。ひどい。
昼頃、牛乳を片付けたフットマンたちを市場に行かせた。
パンを買ってきて住民に配る。
犯罪者を大量に引き渡したので、嫌疑が固まり次第、褒賞金が入ってくる。
グラントはそれをすべてここの住民のために使っていた。
きっとマーシャは損をしたと思っている。
グラントは失敗して酷い目にあう予定だった。
そうなれば、彼女がシュトラールのトップになれたはずである。
ボロの残した財産も都市伝説となってしまったし、たぶん悔しがっていた。
何か話があるという人間からたくさん面会の依頼が来ていた。
グラントは大量の手紙を書く。面会の予定でずいぶん先まで予定が埋まりそうだ。
日暮れごろに外を歩いた。
都市計画を話しながら、エムリンとケリーが意見を交わしている。
ウーシーは棒と棒をくっつけたり離したりして何か考えている。
境界あたりにある家の壁に、フィンの印が落書きされていた。
ケリーが怒ってそれを落とし始めた。
すると縄張りの向こうから怒声が飛んできた。
「そこはもうこっちの縄張りだぞ」
振り返ると、数人の人間が歩いてくるのが見えた。
「通りが境目のはずでしょ。勝手に拡張してはいけないですよ」
グラントは静かに抗議する。相手は彼が誰かは知らないようだ。
「グラントは弱い」
バカにしたように笑って言い放つ。
ウーシーとケリーは笑いを堪えて俯いたが、エムリンはムッと相手を睨んだ。
「大丈夫だよ」と言ってグラントは杖をエムリンに預ける。
「……グラントは」
男たちに近づくと、ケープがひとりでに揺れた。
「喧嘩が嫌いなもので」
ばさり、と音を立てて漆黒の羽根が広がる。
魔物だと叫ぶ男の声が急に詰まった。首元を掴まれている。
グラントの方が背が高い。見下ろすその黒い瞳は無感情だった。
「できれば争いたくなのだけれど」
そう言いながら、目で動きを追う。
逃げるようであれば一番いい。
しかし相手は震えながら手を剣の柄に伸ばしていた。
グラントはゆっくり瞬く間に力を込める。
「やはりだめかぁ」
心底嫌そうな声だった。
相手よりも早く剣を引き抜く。ばちん、と音がした。
武器を取られた男は顔を押さえながらひっくり返る。
仲間たちが身構えた。グラントはあっという間に踏み込んでいく。
顎を柄で殴りあげた。
衝撃で悶える人間たちの方へ顔を近づける。お辞儀でもするように。
「わたしは、グラント・ルースといいます。どうぞ顔を覚えて」
そりゃあ、幼い頃は喧嘩なんて無理だった。
マーシャの戦い方は子供の喧嘩並みだったし、大人相手では死ぬ目に遭うのがオチだったから。
剣を習ってもすぐには人に向けられなかった。
けれども、グラントはコーマックにかまわれていた。
事あるごとに呼びつけられてきた。
賊が出た、魔物が出た、火山が噴火した……。挙げたらキリがない。
「……ところで、縄張りの境界はどこだっけ」
倒れ込んだ人間の傍に剣を突き立ててグラントは尋ねる。
通りの地面を指すのに満足して「ありがとう」と言った。
羽根はケープに戻る。
「魔王ー」
目をきらきらさせてウーシーがケープを掴む。
「変な名前つけないで」
「どうなってんの? 今の、どうなってんの?」
面倒な人に見られた。
そんな家が、数日前、数時間ででき上がった。
一応柱がある。壁も板でできている。ストーブもあってあったかいし。
ホールになっていて、20人は座って話せる。
オークが扉の見張りについていた。
外にもストーブがいくつかある。スイートが取り憑いたミルク缶がかけられていた。
フットマンが近寄る者に温かい牛乳を給仕している。
これは初日、大変だったのだ。
温かい牛乳が飲み放題というだけで他所からも人間が殺到したのである。
家だけは守ったが、ケガ人が大勢出てしまった。
もうこれは落ち着くまでやり続けるしかないと腹を括って毎日午前中ずっとしている。
家の隣に収容所を作った。
これもまた数時間で完成したちょっとだけ上等な建物。
そこに初日のケガ人を収容した。
ストーブと、パンと果物を与えて世話をしたら、たくさん話を聞かせてくれた。
その甲斐あって、1週間ほど経った現在、牛乳を見て住民が殺到することはなくなった。
ケガをしたと言って毎日新たな住民が収容所に増えるのは困っている。
年寄りが多い。
室内のグラントの前には書類が積まれていた。
そばでウーシーが菓子を頬張る。ケリーもいた。
「先生、これ、処理しなきゃならないんですか?」
唖然として口を開いて尋ねる。
「しなきゃねえ」
のんびりと答えたのは、最近髪を切ったグラントだ。
セーターも諸事情で新調している。
レイの館のランドリーがフェルトと間違えて切り刻んだ。
そのレイからの手紙を見つけて読んでみる。
あとひと月ないが順調かと質問してきていた。
兵数が揃ったことを報告する手紙を書いて、外にいた者に配達を任せる。
王様にはもうひとり孫がいる。
シュトラールとレイの館の間を手紙が何度か行き来するうちに、噂は広まっていた。
あの第二王子がまた何かしでかした。
シェリーの目が不自由であることも知られている。
レイが情報を調節しているんだろう。
平民だって体の不自由な人間には救済を与える。
王や王子は見捨てておくのか。
顔も知らない令嬢に世間は同情を寄せた。
「できるだけ早く。というか今日中に頼みたい」
グラントとテーブルを挟んで向かい合っている青年が言った。
彼はエムリンという。従騎士としての経験があった。
年はもうすぐ二十歳で、まっすぐな目が、グラントには時々まぶしい。
この地区には成長してから流れ着いた。セリッサヒルへも来てくれる。
「ボロが担っていた裏稼業は、もうすでにフィンとマーシャに流れました。
うちの住民は不安がってます。食わしてくれなきゃ、人間まで流れ出てしまいます」
ポーターという、マーシャと同じ年くらいの会計係だ。
数年前に勤めていた豪商が倒産し、シュトラールへ来た。
心配顔の彼にグラントは申し訳なさそうな顔をする。
「そうだねえ」
啖呵を切ったのはいいが。
グラントに組織犯罪を行うつもりはない。
となると真っ当な食い扶持を世話しなければならない。
そして、ボロ名義の証文やら書付の類を処理しなければ。
密輸の許可は破り捨てれば良かったので簡単だった。
口に出しちゃいけない仕事は全部中止で。
「わたしは兵団として縄張りを守りたいと考えているんだけれどね。
そうすれば犯罪を行わなくても組織的に地域を運営できるだろ?」
グラントの言葉に、エムリンは言う。
「残ってる戦えそうな男は40人ほどだ。やっていけるのか」
「女性も入れる。戦えない者も、入れる。全戸入団させる」
「なんで?」
「兵団は戦うだけじゃないからだ。
後方支援も重要だし、啓蒙や施し、教育をするのは勇猛果敢な男じゃなくていい」
全戸、と言ったが、多分家の数は20軒ない。
そこまで人が減ってしまった。この数をなんとしても守らなければならない。
マーシャに食われる。
力が余っている層は、ケリーとエムリンで公共事業に連れて行くことにした。
門番がやりたくない冬の仕事、雪かきである。
定期的に発注してもらえるか交渉したところ、許可が出た。
ボロの庇護下にあってもどん底の生活をしていた高齢者たちには、軽工業を発注している。
請け負ってくれた者には給金の他にパンを与えた。
結果、ほとんどの高齢者が今、家の中で機織りをしている。
来週中には共同竈と浴場もできる。そうすれば施しももっと与えやすい。
人が少なくなったので今なら物件取り壊し放題だ。
「縄張りの境目あたりでの小競り合いが増えてる。
フィンもマーシャも、グラントは怒らないって言ってるらしいぞ」
エムリンの報告に、ウーシーとケリーがつい笑った。
「……ごめん。それは今週中になんとかできればと思う」
グラントは死んだ目をして言う。
マーシャはわかるが、なぜ会ったこともないフィンまで。ひどい。
昼頃、牛乳を片付けたフットマンたちを市場に行かせた。
パンを買ってきて住民に配る。
犯罪者を大量に引き渡したので、嫌疑が固まり次第、褒賞金が入ってくる。
グラントはそれをすべてここの住民のために使っていた。
きっとマーシャは損をしたと思っている。
グラントは失敗して酷い目にあう予定だった。
そうなれば、彼女がシュトラールのトップになれたはずである。
ボロの残した財産も都市伝説となってしまったし、たぶん悔しがっていた。
何か話があるという人間からたくさん面会の依頼が来ていた。
グラントは大量の手紙を書く。面会の予定でずいぶん先まで予定が埋まりそうだ。
日暮れごろに外を歩いた。
都市計画を話しながら、エムリンとケリーが意見を交わしている。
ウーシーは棒と棒をくっつけたり離したりして何か考えている。
境界あたりにある家の壁に、フィンの印が落書きされていた。
ケリーが怒ってそれを落とし始めた。
すると縄張りの向こうから怒声が飛んできた。
「そこはもうこっちの縄張りだぞ」
振り返ると、数人の人間が歩いてくるのが見えた。
「通りが境目のはずでしょ。勝手に拡張してはいけないですよ」
グラントは静かに抗議する。相手は彼が誰かは知らないようだ。
「グラントは弱い」
バカにしたように笑って言い放つ。
ウーシーとケリーは笑いを堪えて俯いたが、エムリンはムッと相手を睨んだ。
「大丈夫だよ」と言ってグラントは杖をエムリンに預ける。
「……グラントは」
男たちに近づくと、ケープがひとりでに揺れた。
「喧嘩が嫌いなもので」
ばさり、と音を立てて漆黒の羽根が広がる。
魔物だと叫ぶ男の声が急に詰まった。首元を掴まれている。
グラントの方が背が高い。見下ろすその黒い瞳は無感情だった。
「できれば争いたくなのだけれど」
そう言いながら、目で動きを追う。
逃げるようであれば一番いい。
しかし相手は震えながら手を剣の柄に伸ばしていた。
グラントはゆっくり瞬く間に力を込める。
「やはりだめかぁ」
心底嫌そうな声だった。
相手よりも早く剣を引き抜く。ばちん、と音がした。
武器を取られた男は顔を押さえながらひっくり返る。
仲間たちが身構えた。グラントはあっという間に踏み込んでいく。
顎を柄で殴りあげた。
衝撃で悶える人間たちの方へ顔を近づける。お辞儀でもするように。
「わたしは、グラント・ルースといいます。どうぞ顔を覚えて」
そりゃあ、幼い頃は喧嘩なんて無理だった。
マーシャの戦い方は子供の喧嘩並みだったし、大人相手では死ぬ目に遭うのがオチだったから。
剣を習ってもすぐには人に向けられなかった。
けれども、グラントはコーマックにかまわれていた。
事あるごとに呼びつけられてきた。
賊が出た、魔物が出た、火山が噴火した……。挙げたらキリがない。
「……ところで、縄張りの境界はどこだっけ」
倒れ込んだ人間の傍に剣を突き立ててグラントは尋ねる。
通りの地面を指すのに満足して「ありがとう」と言った。
羽根はケープに戻る。
「魔王ー」
目をきらきらさせてウーシーがケープを掴む。
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「どうなってんの? 今の、どうなってんの?」
面倒な人に見られた。
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