ただの魔法使いです

端木 子恭

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戦火の記憶

見つけもの

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 工廠を歩くウーシーは完全に配置を分かっている。
 レイを案内しながら作業員に彼の事を紹介して歩いた。

「ウーシーはここへよく来ているのか」
「8年前までね、グラントについてよく来てた」

 カバンから木で作った試作品を取り出しながら言う。

「その頃は俺たちの先生がいて、いつも一緒。
 兵器にも詳しい人だったよ。じいちゃんも話がしたかったんじゃない?
 グラントに頼みがある時はいつも一緒に呼ばれてた」
「その方はいくつくらいの方で、今どこにいる?」

 レイに聞かれてウーシーはしばし考えこんだ。

「えーとね、50代のはず。今はどこにいるか分かんない。
 行方不明の夫さんを探してた」

 懐かしむような表情がグラントと同じである。

「すげー力もちでね。いい加減でかくなってた俺とグラントを小脇に抱えて走ったことがある。
 でも真正面からじゃやっぱり腕力で男に敵わないから、まともにはぶつかんないの。
 今のグラントと同じ。軽めの剣でいなして戦うんだけど。
 ……強ーんだよ。しかも楽しそうなんだ」
「騎士の称号を持っていたとか」
「そう。そうなの。変わってておもしろい人だろ?」

 ウーシーは高炉の作業員にちょっとの間相談すると、注文を済ませた。

「グラントはさ、噴火した火山止めろとか、襲ってきた海賊倒してこいとか。
 じいちゃんに無茶苦茶言われて大変だったんだけど。
 俺や先生はその間、じいちゃんと茶飲みながら兵器の話したり作ったり。
 まあまあ楽しく過ごしてたわけ」
「私はその無茶苦茶を言われてみたかったが」
「あはは。そう? 本当に大変だよ?」

 そう言うウーシーは完全に他人事である。

「なぜグラントが魔法使いなのか、ウーシーは知っている?」
「ん」

 試しに作った松の弾を鞄から取り出した。
 ウーシーの顔にはなんとも言えない表情が浮かぶ。

「人の命を奪わずに済むかもしれないからだ」

 使う魔法だって幻術で、主に逃げるための時間稼ぎに使うことが多かった。

「グラントが子どもの時、教えてくれたよ。
 魔物の力は、……グラントのおじいちゃんは。
 燃える石をぶん投げて、山を何個も溶岩で埋め尽くす。
 そこに人間がいたら、命が消えたことにすら気づかない。
 俺は見たことないけど、グラントが魔物の姿で人間を襲ったら…」

 それは恐ろしくて、グラント自身口に出せない。

「魔法は制御がきく。だから魔法使いの道を選んでよかったって思ってる」

 親友のことを告げ口しているような気分になって、ウーシーは話を切った。
 実際、レイはグラントをまだはかりかねている。

 レイにはずっと考えている計画がありそうだ。

 グラントは冬の終わりにそう言っていた。

「同じように制御がきくから剣も習ったのか」
「さあ、それは先生がかっこよかったから?
 剣筋はいいけど、人に向けるの嫌がるもん」

 今だって、剣はウーシーが作った模造品。

 剣を打っている方へと近づいた。

「剣はこっちからも持っていくの?」
「そうだ」
「連れていくのは軍人じゃない。剣は小さいやつがいいよね」

 ウーシーが鍛治作業員に相談し始めた。
 顔見知りだったようで、ウーシーの欲しがるものをよくわかっている。
 
「ねえ、レイ。トナカイ見にいこう」

 用事が済んだウーシーがにこにこと誘った。

「……珍獣がいる……?」

 近づくなと言われていた気がするが。

「知ってる? 魔物と混血した動物はめっちゃ足が速いし疲れにくいんだよ」

 戸惑うレイを促して、楽しそうに説明してくれた。

 



 レイが騎士見習いとして奉公に出る直前、家族旅行に出かけたことがあった。
 
 これが最後になるかもしれないからと両親に押し切られたのだ。
 レイは13歳になる直前。
 冷めたものだった。

 父もかつて所属していたクイルの騎士の家へ行くのだ。
 今生の別れになることは考えにくい。

 西の山を越えて、湖畔に別荘が立ち並ぶ地域へ滞在した。
 姉はとても喜んでいた。
 小さく可愛らしい商店街が気に入った。
 母とボートを漕いだり散歩したりして満喫していた。

 湖から流れ出る川はその先の湾に繋がっている。
 
 その風光明媚な様は確かによかった。
 夜になると商店街には蝋燭の明かりが灯る。
 何のためにしているのか分かりかねたが、姉はそれも喜んだ。


 あと数日で帰るという日だった。
 その明かりが突然消えて、警鐘の音が聞こえた。

 別荘地が盗賊に襲われたのだった。

 板戸を閉め、家人と集まって息を潜めた。 

 一刻ほどで、湖から小隊が現れた。
 
 板戸の隙間からレイは見ていた。
 荒くれ者の扱う剣と、騎士のふるう剣の違いを。

 騎士たちは夜が明ける頃、盗賊を鎮圧して帰って行った。
 ここは本来シュッツフォルトとは別の国で、沙汰は彼らの仕事ではない。

 狼煙が上がっているのが見えたから。
 助けがいるのかもしれないと思って。

 帰り際、そう言って笑っていた。
 それが辺境伯コーマックの部隊だった。





「……」

 猛々しい生き物を、人間が必死に宥めていた。

「そろそろ大人だからねえ、元気いっぱいなのは分かるんだけどさあ」

 御者が3人で威嚇してくる大きなワシに話しかけている。

「部屋を掃除したいんだよ。
 それだけだ。それが終わらないとごはんはないんだよ」

 ごはん、と聞いた途端にヒッポグリフは奥の壁まで下がった。

 とろ火の入ったストーブがいくつか置かれたトナカイ舎。
 その一番奥に木の枠で囲われたヒッポグリフがいる。

「こんにちはー。今入ってもいい?」

 もう入り込んでいるウーシーが尋ねた。

「ウーシーか」

 春に会った御者が笑いかける。後についてくるレイを見て腰を折った。

「ユーリー様」
「お邪魔しております」

 トナカイは数頭が出産間近である。
 大きな腹をしていた。

「グラントが、じいちゃんヒッポグリフ飼い始めたって言ってたから見にきたんだ。
 もう大人なの?」
「大人になりたてだね。ちょっと前まで鳴き方が赤ちゃんだった。
 繁殖はまだだよ。
 次の秋、トナカイの様子を見て決める」

 御者たちは魔獣がおとなしいうちに床を綺麗に掃き清める。

「うまくいくといーね」

 新しいわらを両腕に抱えてウーシーが言った。
 檻の境目で年長の御者に手渡す。

「まだ鞍をつけたりもしていないよ。
 扱い的には鶏と一緒なんだが、気性がね……」

 大鷲の翼が、背伸びをするように広がった。
 もう檻の端から端まで届きそう。

「檻、小っさいね」
「そうなんだよ。作りなおさないといけないんだ」

 素早く掃除を終えて出てきた御者が嘆息した。
 それでも生き物の成長は嬉しいらしく、小さな笑みがある。
 レイが新しい餌おけを持とうとすると、慌てて取って行った。

「……」

 そのおけがあった場所に目を戻す。
 レイはそのままじっとそこを凝視した。

 黒髪の女性がしゃがんでいる。
 先ほどまでいなかった。
 トナカイの世話をしていたのだろうか?

「ご婦人は何をしておいでなのですか」

 そう問いかけるレイを、ウーシーは驚いて見つめた。

「ねえ、レイ。そこ誰もいないよ?」

 檻の扉を閉めた御者たちはぱたりと動作を止める。
 レイはウーシーを見て、もう一度その場所を見た。

「いる」

 鍛冶屋の格好をした女性だ。
 頭を布で覆い、革のエプロンをつけている。
 手には分厚い革の手袋を持っていた。
 
 彼女は何かを指さす。レイには見えると分かったのだ。

 餌の山の陰になって、埃に塗れた革の巻き物がある。

「……これを?」

 レイはそれを拾い上げた。
 腰に下げて使う工具入れである。
 わきから覗くと飛び出しかけた古いノミが見えた。
 女性は音もなく立ち上がる。
 ウーシーの方へ近づいた。

「ん?」

 ウーシーは、なぜレイがこっちを見たのかが分からない。

「ウーシー、これを受け取ってほしそうだ」

 レイは工具入れをウーシーに渡した。

「年季の入った物だね」

 普通に受け取った彼は、広げた瞬間自分の傍に女性が現れて目を見開く。

「誰ぇ?」

 もはやその場の全ての人間に見えていた。
 みんな驚いた猫のように腰を浮かせる。

「……あー分かった!」

 グラントのそばでこういったものを見慣れているウーシーはすぐに反応した。
 工具入れを巻き直して閉じてしまう。
 小さく悲鳴をあげて、その女性は消えた。

「精霊だな。この工具の」

 ふふふ、と笑った修道士はレイを促して外へ出る。

「レイ、すごいもの見つけたね。これ、長い間使われて精霊が宿った工具だよ」

 グラントにくっついて歩いている間、そういうものを見たことがあった。
 アリアだってそうだ。
 古い本に宿る精霊。

「精霊が宿るほど大切に使われたものでも、その後使う人間がいないと消えてしまうんだって。
 忘れ去られた精霊は寂しそうにいなくなるって、グラントが教えてくれた」

 港が見えるところで、ウーシーは再びそれを広げた。
 消え入りそうな表情の女性が再び現れる。

「なんて呼ばれていたか、思い出せる?」

 ノミの一つを手に取って、笑顔で尋ねた。

「サイラ」

 名前を答えた途端、本物の人であるかのようにそこへしっかりと立つ。

「俺はウーシー。サイラを見つけたのはレイだ。
 すごーく使い込まれた道具だね。俺が使っていいの?」

 サイラはもともと、ドワーフが使っていた工具だと話した。
 ドワーフの手を離れ、ここに流れ着く間に忘れられてしまった。

「ここに来てから、ずっと使って欲しいと思ってました。
 ウーシーは気づかなかったけれど」
「あはは。ごめん。俺はそういうの全く分からない。
 グラントに話せばよかったじゃない。なんで黙ってたの?」
「……だってあの人の前に現れたら、従者にされてしまいます」
「へー。そうなんだ」

 事情はよく分からないが。

「みっけもんだ。ありがとう、サイラ。よろしくね」

 ウーシーは工具入れを腰につけてみた。
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