ただの魔法使いです

端木 子恭

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昔話

魔王のこと2

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 七日続いた喧嘩は、山をいくつか吹き飛ばした。

 その結果遠くへ投げられた友人を迎えに、ゲラルドは山道を進んでいる。
 どこにいたってフェルーザの枝はよく見えた。

 人間に請われてひと枝とっていく精霊がまとわりついている。
 
 砂の色の毛の大きな山犬は、やがて地面にひっくり返った魔物を見つけた。
 人の姿になってそのわきにしゃがむ。

「生きてたなあ、ケレス」

 肩を叩いて抱き起こした。
 鉱石の魔物は呻きながらゲラルドを見やる。

「怒ってるか」
「いいや」

 ケレスの言葉に首を振った。

「断られたんだろ」

 そしてゲラルドはひとつ呼吸をしてから友人に告げる。

「何日か前、私はフェルーザに求婚したよ。
 承諾をもらった。これからは人間の世界の近くで暮らす」

 ケレスは目を剥いた。

「私たちが喧嘩になっている最中にか?」
「……そうだよねえ」

 ちょっとだけすまなそうに俯く。

 彼らに遠慮する義理なんてもともとなかった。
 急に干渉してきたのは彼らの方。

 なのに責めるように憮然としてケレスは睨む。

「サヴェリーだって黙ってないぞ。
 あいつはどうあってもフェルーザに承諾してもらうと言っていた」
「そのことなんだが」

 ゲラルドは気になっていることを質問した。

「なぜ、急に?」
「そりゃあ……」

 ケレスは巨木にまとわりつく精霊を指す。

「接木をするためだ」

 枝先がうるさがって採集者を払っていた。
 精霊たちは懸命にハサミをふるう。
 
「接木で増やせるだろ?
 幼木を操る方法を、サヴェリーが思いついたんだ。
 結婚してしまえばいつでも好きなだけもらえる」

 ゲラルドの顔つきが変わった。

「配下の魔物が話していたよ。
 台木を工夫すれば言うことを聞く木ができるんだと。
 それが叶うならおもしろい話だって盛り上がった。
 手に入れて試したくなるよな」

 助け起こした友人の肩を突き飛ばす。

「おまえもか」

 再び地面に倒れながら、ケレスは後ろめたさもなく笑った。

「ゲラルドはのんびり屋だな」

 背中を打ってむせこんだ鉱石の魔物は自力で起き上がる。
 

「私はまだその方法を知らないが、結婚してしまえばゆっくり探れる。
 そう考えたんだが、フェルーザは頑固だった。
 それとも、ゲラルドは知ってるのか」


 とんだ事だった。
 兵器として利用するために二人はフェルーザに近づいた。


「……幼木」

 幼木と言っても、一年経たないうちに城ひとつ覆ってしまえるくらいの大きさになる。
 知っていた。
 フェルーザの幼木を操る方法も、何ができるのかも。



 精霊たちの悲鳴が聞こえた。



 振り向くと、大きな鳥がフェルーザの頭上を舞っていた。
 その鳥が何か落とすたびに枝が燃え上がる。
 精霊たちは仕事を邪魔されて叫んでいるのだ。

 輝きながら落ちるものを、ゲラルドはよく見た。
 厄介な火を放っていると判って駆け出そうとする。
 あれは燃えるものがなくなるまで消えないサヴェリーの炎。

「待て」

 ケレスの手が腕を掴んだ。

「私が彼女に近づく権利は無くなった。
 こうなってはどうするべきかな」
「……」

 黒い瞳がケレスを睨む。
 一撃で殺されそうなほどの昏い色だった。

「接木がほしいのは本音だ。
 サヴェリーがどんなふうにするのかも知りたい。
 ……でも、ゲラルドは友人だ。悩ましいよな」
「面倒を避けるつもりがあるならさっさと言え」

 この場合、一番避けたいのはたたかうことだ。
 フェルーザの元に行けない。

「私の従者になれ。そうしたらしばらくの自由を保証する。
 結婚も、住処も好きに……」

 言葉が終わらないうちにケレスは喉を握りつぶされた。
 地面に叩きつけられたところにゲラルドの顔が迫る。

「この世で最初にできた火山のもとに生まれた。
 溶岩のゲラルドを従者にしろ」

 膝をついて傅きながら、その主たるケレスを捻じ伏せていた。
 召し抱える、と言った声はほとんど出ない。
 息ができず足をばたつかせるケレスに囁いた。

「もしこの時間のせいで彼女を失ったら、おまえは消える」

 大きな山犬が走り出す。

 瞬く間に山を越えてフェルーザの木へ戻った。

 火のついた枝先を切り落として回る。
 払っても払っても炎はしつこく燃え上がった。

 サヴェリーの姿はない。
 彼女に殴り飛ばされたのか。


「フェルーザ、出てこられるか?
 どこまでやられてる? 根は無事か」


 フェルーザは出てこなかった。


 種子を作る。
 

 そう思いついた時、大きな鳥が戻ってくるのが見えた。

 まだ遠い。
 原っぱの向こうの森の上だ。


 羽毛がほとんどない黒い鳥。
 サヴェリー。
 彼の外皮は少しの間溶岩に耐える。

 ゲラルドは燃える岩をぶつけた。
 突然攻撃を受けて、怪鳥はフェルーザに届く前に木立へ落ちる。
 


 フェルーザの原っぱの端で半人半妖の姿のサヴェリーと出会った。
 黒い大きな翼と鳥の頭を持っている。

「おや、横やりだ」

 ゲラルドを指してサヴェリーは笑った。
 顛末はもう彼女から聞いている。

「王に彼女をどうこうする権利はもうない」

 振りかぶった杖に魔力が集まる。
 大きな岩のような塊が飛んでいった。
 避けた大鳥を、溶岩が渦に絡め取る。
 原っぱから追い出すように投げ飛ばした。

「断られたんだろ。そのあとで彼女がどうしようと自由だ」
「何千年も放っておいたくせに」
「放ってない。王に事情を話して聞かせる義務なんかない」

 ゲラルドの杖の一撃で怪鳥は木よりも高く打ち上げられる。

「火を放つなんて、何のつもりだ。
 彼女が消えたら接木も手に入らないんだぞ」
「種子が」

 鳥の姿で空に逃げて見下ろしながらサヴェリーは言った。

「種子が落ちるんだよな。命が危うくなれば」

 一直線に飛び降りた鳥は、ゲラルドではなく地中に足を沈める。
 引き抜いた時には大きな根を掴んでいた。
 触れた場所からじわじわと燃えていく。

「やめろ」

 切って離そうとするゲラルドを人の手で止めた。
 今度はゲラルドの体が原っぱから遠くへ投げとばされる。

 鳥はすぐ追ってきた。
 魔法で身を守りながら体当たりを止める。

「種だと」

 間近に王を睨んでゲラルドは言った。

「多くの魔物の命を吸って作るんだ。
 王の配下も、彼女の配下も大勢失う」

 両腕が赤く光る。
 木立が赤く照らされた。

「簡単なことのように言うな」

 焼けた石の塊が鳥を狙って飛ぶ。
 地面にぶつかって大きく弾けた。

「種子はどんなふうに発芽する?
 私の予想では、接木と同じなのかと見ているが」
「言わない」
「台木に使うのは、人の方がいいのか、魔物がいいのか」

 王の質問に苛立ったように杖を差し向ける。
 燃える岩が降り注いだ。

「命を奪う話を気軽にするな」

 溶岩の中で生きられる生物などいない。
 だからこそゲラルドは思うのだ。

 簡単に命をやりとりしてはいけない。
 本当に簡単に無くなってしまうものだ。

「フェルーザだって、命を奪い続けなければならないことを歓迎していない」

 ゲラルドの指が鳥の顔を掴んだ。
 赤く輝いた瞬間、木の軋む音に背中が震える。

 根から伝わった炎が幹に届いた。

 フェルーザの最後に残した花が結実する。
 力を吸われる感覚に二人の魔物は原っぱから飛び退く。

 幹が焼け落ちるその刹那、鞘を割る甲高い音がした。
 光沢を持つ種子が燃える地面へとこぼれ落ちる。
 


 それは大きな黒い珠で。
 ゲラルドの杖の石と似ていた。



「きた」

 サヴェリーが微笑った。

 大鳥の姿になって突進する。
 鳥の嘴にその種を咥えてしまった。

 ゲラルドは杖を振る。
 フェルーザの種子を封印にかかった。

 鳥の魔物は何とも具合の悪そうな呻き声を漏らす。

 喉に張り付いた種子が引っかかる。
 息苦しそうにサヴェリーは溶岩の魔物を振り向いた。

「ゲラルド」

 憎らしげに王は呻く。

「諦めろ。ずっと封印はできない」

 対して、溶岩は燃え立つような瞳で睨めあげる。

「フェルーザは渡さない」

 その言葉にサヴェリーは憎らしいというように顔を歪めた。

 魔物の国に住まいながら誰の支配も受けない魔物。
 こいつはいつだってしがらみの外にいる。

 王とはいえゲラルドを支配できない。
 フェルーザはずっとその象徴だった。
 彼の大切なものに手出しをしたら。

 王座に君臨しながら、いつだって揶揄されるのだ。




 ゲラルドに赦されて王になった者だと。




 炎を吐き出し、魔法で身を守るゲラルドを徐々に人間の住む世界へと押しやる。

 体当たりを受けながらゲラルドはサヴェリーを見据えていた。
 閉じきらない嘴から炎が垂れ落ちた。

 やがて山脈の間、深い谷底に出る。
 ゲラルドの両腕が赤く光った。

 燃える石が飛んでいく。
 かわされて崖の肌にぶつかった石は、大穴を開けた。

「おまえが諦めろ、サヴェリー」

 ゲラルドの怒声に応えるように、山の中腹から溶岩が噴き出す。

 鳥を捕まえようとゲラルドは杖を振った。
 身をちぎられながら、サヴェリーはかわし続ける。

 溶岩はあたり一面に溢れた。

 いく日か打ち合ううちにあたりの山は赤々と燃えた。
 そしてついにサヴェリーの喉元をゲラルドの指がとらえた。

 喉を裂いて、黒い種子を助け出す。

「フェルーザ」

 こぼれ落ちる漆黒の珠を、ゲラルドは抱きしめた。

「一緒に行こう」

 命の危険にさらされた伴侶を手のひらに包む。

「こいつを封じてから」

 そう言った時には目つきが厳しくなっていた。





 そうしてね、とアッシャーは音を立てないように手を叩く。

「グラントのおじいさまは魔物の国の王を倒し、おばあさまを伴侶に迎え、幸せに暮らしたってお話」

 冷静に目を細め、グラントは侯爵を見ていた。

「アッシャー侯爵は、どちらに?」
「近くだよ」

 しれっと魔物は答える。

「ケレスはその後、サヴェリーの頭を自分の胸に封印した。
 そして力を得て王になったんだ。
 首から下の方はゲラルドがケープに加工した」
「……」

 魔王は本当に魔王だったってこと?

「フェルーザを植えるのにはまた多くの犠牲が必要でね。
 ゲラルドはあまり結実と発芽を繰り返したくはなかったんだよ。
 なのに短期間でフェルーザの引越しを余儀なくされて。
 今、魔物の国は大変なことになっている」


 アッシャーが愉快そうに笑った。

「ケレス王は倒されて、ゲラルドはフェルーザを植える場所を求めて戦ってる。
 そんな怖い国、帰りたくはないだろう?」

 親子で怒り狂ってる様子を想像してしまう。

「母上も激烈でいらしてね。たった百年も統治できない王がいけないんだと。
 あの方は家族一緒に暮らせなくなってそれはそれは悔しがっていたんだよ。
 暴れるやつは端から討っていったから。
 今でも時々、逃げてくる魔物から話を聞く」

 そんな国には、確かに行けないかもしれない。

 魔物は魔物の流儀で、家族を思い、戦っているらしかった。
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