ただの魔法使いです

端木 子恭

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くずれゆく森

わかちあう喜びは

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 春が来てすぐだった。
 商人組合長のセスから連絡が来たときは、また勧誘なのかと肩が重くなった。

 しかしそれはウィッシュリストで。
 ケイレブとリゼットの名前があった時には息が止まった。

「そうなんだ」

 思わず声に出して驚く。

 一番高いやつはすでにレイが買った。
 二番目に欲しいものはコーマックが。
 すでに出遅れている。

 セスは気を利かせて、三番目にいい物を取っておいてくれているそうだ。


 クイルの騎士たちからどんどん贈り物の注文が入っているから早めに決めてくれと手紙にある。
 ラグラスの頭領たちに見せて回ったら、みんなそれぞれ贈り物をしてくれた。

 魔物の鳥に頼んでセスに返した。
 
 シェリーへの手紙も一緒に持っていってもらう。
 彼女からの返信で、ご婦人方は冬の間に知っていたと分かった。

 特別な仲間には。

 リゼットのその心遣いが相変わらずおもしろい。


 その数日後に結婚の報告が来た。


 初夏に結婚することになった。
 ラグラスからも出られる者はノルトエーデまで来てほしい。
 一緒に宴がしたい。
 リゼットはみんなが恋しいと言っている。
 
 頭領たちは全員参加することになった。
 じじいに早いところ知らせないと。
 初夏は宿が混んでくる時期だ。




 北の辺境領に着いてまず、ウーシーとトナカイ舎を覗いた。
 御者が世話をしている。
 二人に気づくと笑って手を上げた。

「子どもが生まれてるんですよ」

 その言葉に部屋を一つ一つ確かめて進む。
 ストーブの近くの暖かい部屋に仔馬に似た生き物がいた。
 前身にはちょっと土が混じった雪のような産毛がふわふわしている。
 産毛に埋もれるように小さな羽根が見えた。

「お父さん似だね」

 ウーシーが扉から手を伸ばして可愛いものを愛でる。

 ピヨピヨなく様は、まさにあいつだ。
 グラントは二つ前の冬を思う。

 生まれたての仔馬はまだ腕に抱えられそうな大きさだ。
 あっという間に背丈を超えてくる。

「すげー懐いてるね。人の手で産まれたから?」

 近寄ってきて鼻を上げる仔馬を、ウーシーが手であやした。

「そうですね。幻獣だって動物なんだって、この子を見ると感じます」

 御者はこの春一番の手柄を見るような顔をする。
 ピッポグリフの子は春の間に二頭生まれた。
 一頭はトナカイとの、もう一頭はラグラスの馬との子。

 親になった当の獣はどこにいるんだろうと屋内を見回した。
 御者が気づいて空の柵を示す。

「ちょっと暖かくなった頃に飛び出していきました。
 旦那さまは追わなかったんです。
 大人になったんだから一人でやっていける。
 帰ってきたくなったら戻ってくるだろうと言って」
「まぁた、じじいは……」
「じいちゃん寂しいだろうねー」

 きっとトナカイ舎では窮屈になったのだろう。
 コーマックは多分連れ戻したかった。
 グラントを呼ばなかったのは、もうラグラスにいたからだ。


 館に顔を出したら挨拶もそこそこに女中長が自宅へ連れていった。
 生まれて三月みつきも経たない赤子に会わせてくれた。
 すでにウーシーには重い。
 男の子だった。
 おしゃべり好きな様子に、きっと家族を楽しませる存在になると確信する。

 シェリーは昨日すでに着いていて、リゼットと温泉街のコテージにいた。
 今日トーニャやグラントの精霊たちがくるのを待ちわびていたそう。
 何か計画があるのだ。




 結婚式、初めて参加する。



 クイルの騎士たちが正装ではしゃぐのを、グラントは不思議そうな面持ちで見ていた。
 年の近い団員は前日から集まって祝っている。
 これから二日祝うのに。
 
 会場は小さな温泉がある宿泊施設だ。
 庭園にかこまれた泉のほとりにコテージがついている。
 隣には洞窟の中から湧いてくる大きめの温泉があって、客が泊まるのはそちらの方。

 結婚式の参加者は隣に泊まって夜通し騒いで見張るのがしきたりなんだって説明された。
 なんで見張るのかは分からない。

 ほんの呼吸数回分で終わる儀式しか見たことがなかったグラントは、ウーシーを見る。
 彼もちゃんとしたしきたりのある結婚式は初めてで同じ表情をしていた。

「サムが結婚を認めるって一言言うだけのやつしか見たことなかったなあ」

 親友の嘆息に同乗する。
 振る舞う食事もなかったし、持参金だって皿とスプーンと銅貨数枚程度で。
 大体が結婚を承認される前から一緒に住んでいたりした。

 この結婚式はそんなこともってのほかだ。
 結婚の承認が終わるまで新婦は女性としかいてはいけない。
 控え室になっている建物からは楽しそうな声が途切れることなく聞こえてきた。

 男性たちの方は事前に運び込ませた酒樽をあけていた。
 高いやつはまだ開けるなっていう攻防戦が繰り広げられる。
 すでに空になった樽の上でサイコロを振っているグループもあった。

「ラグラス公。辺境伯」

 ふらふらしたクイルの騎士がひとり、近づいてきた。

「酒をうまくする精霊を持っているって聞いたが、貸してもらえるか」

 誰がそうなのかはわかっていない様子の騎士を、エルネストがそっと向きを逆にする。

「精霊を乗せたい樽を並べてくれ。
 やっておく」

 気分のいい返事をした彼はまたふらふらと仲間のところへ帰って行った。

 

 歓声が上がって、リゼットが出てくるのが見えた。

 彩度を落とした緑色のドレスを着ている。
 デザイナーはエリンだったようで、満足げにそばで頷いていた。
 
 よく見たら花嫁の後ろを精霊がちょこちょこしている。
 グラントの精霊たちまでドレスを身につけていた。
 トーニャが用意したのだ。
 人魚はシェリーと笑って小さな精霊たちを眺めていた。

 仲間のところにいたケイレブがリゼットを迎えにいく。
 さっき設置された祭壇の前に二人で立った。


 仲間は近くから軽口を嗜めあいつつ見守る。
 結婚の承認は滞りなくされた。


 クイルの仲間の中で楽器ができる者たちが演奏を始める。
 各自好きなように祝い出した。
 食事に手をつける者、誰かを誘って踊る者、ゲームをする者など、敷地いっぱいに広がる。

 ダルコはすでにノルトエーデの兵士とゲームをしていた。
 ウーシーは飲み友達を見つけている。



 ケイレブが仲間の山を引きずるようにしてグラントのそばに来た。


「リゼットのわがままなリストを叶えてくれてありがとう」

 グラントはそっと首を振る。

「新居を建てるのだってじじいから聞いたよ。
 また何か必要なものがあれば言って」
「もしかして、こういう結婚式は初めてか」

 一歩引いて眺めているようなグラントに聞いた。
 頷くグラントをクイルの騎士たちが取り囲む。

 波がさらっていくように宴会のど真ん中へ連れて行かれた。

 トーニャの周りに女子の囲いができている。
 きっと予言を聞かせているのだ。

 リゼットが近いうちに結婚すると言い当てたという噂が流れている。

 ケイレブのそばで、彼と同じ年頃の騎士たちはしきたりについて色々教えてくれた。
 ほとんどみんな既婚者である。
 しきたり通りにしてよかったって言ってた。



 リゼットの側のひとの山と一緒にシェリーがそばにきた。
 グラントはシェリーの顔を見てそっと集団を抜け出す。


 エコーは楽器のところで働いていた。
 スイートはこの土地の奥様に拾い上げられている。

 アリアは分厚い教典に手を添えて神父と話していた。

 オークたちが砦の精霊になった経緯を若者相手に聞かせている。
 妙に真剣な空気になっていた。
 寸劇のようにして十人で物語を熱演する。


 温泉街の中はあちこちに休憩用のベンチがあった。
 坂を少し登ったところのベンチに座ると、港の様子まで見渡せる。
 見えなくたって風のあたり具合が心地いい。

「こんなに大人数で祝うのを見るのは初めてだ」

 グラントが苦笑しながらつぶやいた。

「昨夜から結婚式についてたくさん話を聞いてたけれど」

 シェリーは楽しさと疲れの混じった細いため息をつく。

「気圧されてしまってちゃんと祝っているのか自信がない」

 リゼットの友人たちはそれでいいと言うのだ。
 花嫁のことなんか忘れたように楽しく笑っていればいい。
 気を許せる人たちがそばにいると分かっていてもらえるように。

 騎士たちも似たようなことを言っていた。

「ケイレブとリゼットは友だちが多いから。
 もしかしたらもう一日伸びるかもしれないという話だった。
 遅れてくる人もいるのだって」
「……何日も祝えなんて、教典には書いてないってウーシーが言ってた」
「誓いは神様に立てるけど、あとは人間たちの楽しみ。
 婦人方も楽しんでます」
「ずっと話し声がしてたね」
「リゼットの友だちはほとんどが既婚者なの。
 結婚後のあれこれを話したりしていた」
「みんな教えたがりだ」

 小さく笑いながら街並みを見ていたら、一人で歩くレイを見つけた。
 コーマックに挨拶でもしてたのかな。

 グラントは杖を握って合図した。
 夜空に小さな火が灯って、レイは坂の途中の二人を見つける。

 こちらにやってきた。

「疲れたか?」

 近くのベンチに腰掛けてそう尋ねる。

「まだ始まったばかりというのが信じられない」

 グラントが言うのにふっと笑った。

「正体不明の者が増えてくる。
 観光客に迷惑をかけないように見張る役回りの者は大変だ」
「レイがそう?」
「今回はそうだ」

 もしかしたらいつもそんな役を引き受けていそう。
 
「親はどう? 心配してない?」

 グラントの質問に、レイはちょっとげんなりした表情をした。

「結婚相手を急いで探し直そうと、休みごとに宴会を開こうとする。
 私は出張を入れることにしているがなかなか手強い」

 レイの親は子どもが大好きだ。
 一人ずつ館を建ててしまうあたり相当だった。

「ラグラスにまたどこか攻めてこないかと思っている。
 今度は正式にクイルを介して行ける。
 長期出張可能だ」
「何に使おうとしてるの」

 グラントはうっそりと答える。

「戦でなくても、レイなら頭領たちみんな歓迎するよ。
 人を陥れて領主にした仲間だもの。宴会から逃れてくるといいよ」

 ラグラスは住みやすいけれど。
 それは結果論。

 
 
 夜半になってシェリーはトーニャに連れて行かれた。
 ご婦人方はまだまだ話し足りない。

 レイの言っていた見張りはその口調よりも大変な作業だった。
 グラントはきっちり二徹して傷病者の手当てに駆り出された。
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