ただの魔法使いです

端木 子恭

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くずれゆく森

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 シェリーとアリアが同時に体調を崩した。
 真夏の日差しが強い日だった。


 精霊の病については全く分からない。

 家人はグラントにすぐ知らせた。
 主もそんなことは初めてで。

 先に薬草をいくつか伝えてくる。
 効果がなかったら順に試すようにいくつかの種類を。

 陸路で向かうと返事が来た。
 ラグラスの馬なら到着は四日後。

 二日ほど経つとシェリーの方はやや回復して、着替えができるようになった。
 アリアは本を抱いて動かない。
 つやつやしていたどんぐりの葉も元気がなかった。

 そんな折だ。

 届け物をしに行くとウィラードからの連絡が来た。
 ナタリオは非常に困った顔をして断ったのである。
 しかし、森から来た従僕は仔細を心得た様子だった。

 このような時にこそ必要なものを持っていると言い置いて去った。

 森の主人のものとは色合いの異なる藍の制服を見送った。
 従僕はちゃんと歩いて丘を下って行った。

 
 兵舎へ行って魔物の兵士たちと話をした。
 グラントが着くよりだいぶ早く公爵がやってくる。

 魔物たちは魔法使いの到着まで足止めすると請け負った。
 公爵も何か術を持っているようだから。




 公爵をお迎えするという体で、兵士たちは客用の玄関で待った。
 主人用の入り口にも、使用人用の入り口にも、無論兵舎にも人はいた。


 それでもウィラードは現れた。

 いつの間にかホールに立っていたのだ。
 驚いているキッチン係に小さな包みを渡した。

「薬効のある花びらです。
 お茶に数枚混ぜて病人に飲ませてみてください。
 精霊の病にも効果があるはずです」
「おいでになっていらしたのですね、公爵」

 耳障りのいい声に気づいて廊下を早足で来たナタリオが挨拶する。
 誰か他の入り口から通してしまったのか。
 だとしたら慌てて報告に来そうなものだ。

「従僕から、殿下が体調を崩されていると聞きましたよ。
 本当は違うものを届けようと考えていたのですが。
 本日のところは薬草にしました」
「大変ありがたいお心づかいで……」
「……しかし、と続きそうですね」

 寸の間だけ憮然として見せる。
 ウィラードはキッチン係から包みをとりあげた。
 作業台に置いて封を解く。

 いつも彼から漂う花の香りがした。

「なんて事はない、花茶です」

 数枚手に取って家令に示す。
 その顔は安心させるように微笑っていた。

「薬草に詳しい方がもうすぐいらっしゃいます。
 その方に確かめてから主人に差し上げたい」
「都の調剤師でも呼びましたか?」

 微笑ったまま、ウィラードは家令の頑なに苛立つ。
 それでもナタリオは動じなかった。

「調剤師ではございません。
 しかしこの場合最も信頼できる一人です」
「いつ到着する?」

 ウィラードに高姿勢がのぞく。
 家人が息を止めて公爵を見た。

 ナタリオが深く首を垂れる。

「お見舞いの品はありがたく拝受いたしました。
 本日のところはどうぞ、お引き取りください。
 主人は本当に思わしくないのです」

 そこへ、杖の音がした。

 ウィラードが嬉しげに振り返る。
 短い髪のシェリーが目付係と歩いてきているところだった。

「公爵ですか?」

 驚いている声音でホールをうかがう。

「身支度できずにおりまして、失礼いたします。
 大変にご心配いただいたようですね」

 家人を庇うためにきたのだ。
 それが伝わってきて、ナタリオはますます不安そうな表情になる。
 
「執務室へどうぞ。
 少しでしたら起きていられそうですから」
「お顔を見られただけで十分なのですよ」
「これからまた遠路をお帰りになるのでしょう?
 休まれてからお立ちください」

 目の前に来たウィラードを促した。
 自分を挟んで心配している目付係と家令の気配が伝わる。

「閣下、せっかくいらしてくださったのに申し訳ございません。
 やっと着替えられるようになったところなのです」
「よく似合っておいでですよ、短い髪」

 背中の重苦しそうなシェリーは少し首を傾げて応じた。

「今日も随分暑いのですね。
 こんなに気候の良い時にどうしてか風邪をひきまして……」
「病はいつでも入り込んでくるものです」
「閣下が薬草にお詳しいとは」
「知らないことばかりでしょう? いち時にはお話しし得ません。
 薬草のことは、森で暮らすうちに自然と詳しくなったのです」

 花の香りが動く。
 ウィラードが向かいの椅子から移ったのだと思った。
 隣に座る気配がする。

 違和感があった。

 武人だと聞いていた。
 レイなら座る時に重い音がする。

「閣下は……」

 不思議な動き方をする、と聞こうとした。
 外の兵士が屋内へ入ってくる物音がする。

 ウィラードの手がシェリーの手の先に触れた。

「……」

 突然目が見えるようになって、シェリーは茫然と部屋の中を見回す。
 姿を見せた兵士が慌てた。
 目付係も気づいて身を屈める。
 足が勝手に跳ねて、シェリーは外へと飛び出した。
 ナタリオやキッチン係の間を潜り抜ける。

 青々とした丘の道を駆けていると、だんだん意識がはっきりしてきた。
 獣の姿に変わって飛び出してしまったのだ。
 視界の先に馬を駆ってくる者がいる。

 引き返そうと立ち止まった。
 屋敷を探して背を伸ばす。



 馬の足音がそばで止まった。



「シェリー」

 グラントの声だ。


 そちらを見ようとした。
 体がどうにも重くなる。
 視界が黒と白の世界になって、また人間の姿に戻ったと分かった。


「花……?」

 移り香にグラントが怪訝な顔をする。
 体が重そうに倒れたシェリーを支えた。

「どうして外に出てきたの?」

 手にアリアを持っていない。

 杖に手をやってあたりを見回した。
 異状は感じられない。

 シェリーの顔を見るだに、何かが起こったのだ。




 開けっぱなしの客用の玄関にグラントが現れる。


「グラント。ずいぶん早くきてくださった」
「はい、……すみません。
 今日は到着を知らせるだけと思っていたのですけれど。
 シェリーが外で倒れたので」
「感謝します」

 いつになくナタリオに歓迎されて、魔法使いは戸惑った。
 抱えているシェリーを家人に引き渡す。

「何かあったんですね」

 目付係も、兵士も、なんと言って良いやら戸惑っていた。

「申し訳ない、グラント。
 順を追って話したいのですがよろしいですか」

 ナタリオが屋内に招く。
 廊下を歩く彼は、珍しく動揺していた。

 ある客が繰り返し屋敷を訪れていたこと。
 先回の訪問で自分をヴァルト公爵ウィラードだと名乗ったこと。
 断ったにも関わらず見舞いに訪れたことを話す。


「早めに到着されたのは、なんとなくですか?」
「そうです」

 キッチンの前を通った時、また花の匂いが強く香る。

「精霊は風邪なんかひきません。
 体調を崩したのなら本体に何かあったのか、精霊を攻撃された時か」

 鼻を庇いながらグラントは言った。

「未だに具合が悪いということは、魔物や術師ではないですね」
「主人には何があったのですか。
 体調はまだ思わしくなかったのです。
 来客中に突然獣になって駆け出しました」

 グラントはホールを見渡した。

 ここにはなんの痕跡もないから執務室に通したのだ。
 そちらを覗いてみて、それから首を傾げる。

「来客、ですか?」

 どういう意味なのかわからないままナタリオは頷いた。
 うっそりと、グラントは家令を見ている。

「今の今までそちらにおいででした。
 不思議な去り方をする方なのです。忽然と姿を消される」
「この花を持ってきたのはその方ですか」

 ナタリオにはそれほど強い香りに感じなかった。
 グラントは少し不愉快そうに鼻を庇う。

「わたしには馴染みのある花です。
 ですが記憶にある限りこんなに強くまとわりつかないんです。
 ちょっと違うのかな……」

 キッチンに行ったグラントは小さく声を上げた。

「こんなにですか」

 少し口の開いた包みを閉じる。

「先にアリアを見てもいいですか」
「主人の寝室です」
「連れてきていただけます?」

 家令が言いつけると家人が小さな精霊を抱いてきた。
 本ごと受け取ってしばらく観察していたグラントは命じる。

「本に戻るんだよ、アリア。回復するまで出なくていい。
 シェリーのそばにいてくれてありがとう」

 一言も口をきかないままアリアが消えた。

「二人は棘に刺されたりしていませんか?」

 グラントは尋ねる。
 そのようなことは記憶になかった。
 二人が気にしていなかっただけなのかもしれない。

 ナタリオは首を振った。

「シェリーが元気になったら確かめてください。
 魔力を吸う木の枝先がここまで伸びてきたのかもしれません。
 その棘にやられると病を得たようにしばらく寝付くんです。
 静かにしていれば自然に回復します」

 祖母の木だ。

「ウィラード卿が偽物で、その木なのですか」
「そうかもしれませんが、直接見ていないので断じることができません。
 第一その木は現在、生えていないはず」

 グラントはまた鼻を気にする。

「こんなに花びらを取れるなんて……。
 よほど大きな木か、よほど養分をもらったかです」
「ウィラード卿はこれに薬効があると述べておられた。
 数枚をお茶に混ぜて飲めば主人は回復するということです」
「そうでしょうね」

 グラントは悩ましそうに黒い目を家令に向けた。

「この花びらにあるのは、木が吸いすぎた養分です。
 魔物や、魔力などを持った人間から吸い取りすぎたもの。
 それを返すのですから、すぐに回復します」
「では飲ませてもよろしいですか」
「普通の人間に飲ませるのを見たことがありません。
 最初にシェリーで試すのは嫌です」
「では……」

 シェリーは魔力が尽きてひとの姿に戻った。
 回復が早いのだからすぐに元に戻るはず。

 何日も寝込んでいるのはなぜだ。

「ウィラード卿はシェリーとどんなお話をされたのでしょうか」
「待つのをやめて、自分のしたいことをしてみようと思い立ったというようなことを」
「何を待っていたのですか?」
「許可です。都へ入り、王籍を復活させ、主人に目通りを叶える許可を」
「……」

 グラントはしばらく考えて、提案する。

「寝室を変えてください。
 できればウィラード卿に紹介していない場所へ。
 家人の棟や兵舎は見せていませんか?」

 ナタリオが背筋が冷えるような表情になった。
 まさか侵入を知らずに許していたとなれば大事である。

「どのような容姿の方です?」

 杖を握って、グラントはナタリオの目を覗いた。
 吸い込まれそうな闇色の瞳に公爵が映る。

 コーマックが話していたホルスト卿に似ている。
 焦茶色の髪をまとめて、凛々しい顔立ちの武人。
 重い剣を扱える人だ。
 藍色の軍服。襟に雪の結晶が三つ。

 ナタリオの記憶の中で、シェリーと並んで歩くのが見えた。

 目線の同じ二人。
 同じ目の色をして、同じく前を向く。

 見えている未来はどうなのか。

 ウィラードは戦うつもりだ。
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