拾った龍になつかれてる

端木 子恭

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龍の相方

AVANT

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 秋が終わる頃、大きな雷雲がかかった。

 季節外れの高い気温が原因らしい。
 瞬く間に平野一帯を覆った雨雲の中に隠れて、遊んでいる蛟龍がいた。
 
 榛色のたてがみを振って、雲の上に飛び上がる。
 背中の鱗は青い。
 縁に行くほど若葉のような色になる。
 角は生えているがまだ枝分かれしていない。
 
 雲の下に飛び出して雷の間を飛び回った。

 この雷は誰か他の龍が起こしているわけではない。
 だから中で遊んでいても喧嘩にならない。

 
 ついさっき、こうらんに自信満々そう告げた。

 だから遊んできていい?

 店の業務が終わった午後。
 雷が鳴り始めた空へ昊は遊びに来ている。

 そのたてがみと同じ色の瞳が、雷の中に何かをとらえた。
 雷を飛び移って遊んでいるものがいる。
 
 龍ではない。
 小さな四つ足だ。

 昊は一度雲の上へ出る。
 振り返ってみたがそれは追ってくる気配はなかった。
 雲の上には来られないのかもしれない。
 
 敵意はなさそうだった。
 昊は一緒に遊べるかと思って雲の下を覗く。

 小動物も昊を探していたようだ。
 向きを変えて戻ってくる。

「誰だ」

 昊はその目の前に行って尋ねた。
 龍だと分かった相手は驚いて乗っていた雷から足を滑らせる。

 雷を纏ったそれは、民家の方へ落ちていった。
 昊ははっとしてそれを追う。

 落ちたら小屋ぐらい簡単に吹き飛ぶのだ。

「待て。落ちるな」

 稲妻のように追っていった昊はその動物を爪に引っ掛ける。
 食べられると思ったのかそいつはじたばたと暴れた。

「俺はお前を食べないよ。
 ほら、雷に戻してやるから。
 今度は落ちるな」

 空中で放ってやると、そいつは上手に雷に乗る。

「お前、雷獣だな」

 子タヌキに似たその動物に昊は話しかけた。

「雲の上に行ってみるか?」

 そう言うと、雷獣は昊の頭に飛び乗ってくる。
 一緒に雷雲を抜けた。
 青空が苦手だったのか、雷獣は龍の腹の方へ隠れようとする。
 昊はすぐに雲の中へと潜った。
 
 厚い雨雲の中、いく筋も雷が走る。
 雷獣は身軽に雷へ飛び移った。
 
 しばらく遊んでいたが、雷雲が消えてしまった。
 昊は自分で飛んで帰れる。
 雷獣の方は帰り道を失って落ち始めていた。

「これを伝って地上へ戻れ」

 昊は小さな雨雲を呼ぶと、雷を一筋放つ。
 子タヌキはそれに飛び乗った。
 雷は地上近くで放電して消える。
 滑り下りた雷獣は怪我なく地上へ着いた。

 昊は雷の速さで庭に下りる。
 塀の陰で人間の姿になった。
 
 家の中に入ろうとして動きを止める。
 背後から何かの息遣いが聞こえた。


「お前?」

 庭にちょこんと座っている。
 愛らしい顔つきの子タヌキ……、子犬?

「ついてきちゃったのか」

 追い返し難い様子の獣を前に、困った顔になった。
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