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キミとふたり、ときはの恋。【第二話】
立葵に、想いをのせて【2−4】
しおりを挟む「涼香?」
「なぁに?」
バス停の少し手前で、立ち止まった。
バス停のベンチには先輩方と思われる女子のグループが、雑誌を広げて楽しそうに雑談されていたから。
「委員会活動、楽しい?」
小雨になったためか、奏人が顔を近づけたせいか、声を落とした奏人の言葉でもハッキリと届いてきた。
「うん、楽しいよ? この前も言ったけど、チカちゃんが一緒に立候補してくれたし。新しいことに挑戦してみて良かった」
あれ? これ、この前も同じこと聞かれたなぁと思ったけど、今の気持ちを素直に伝えた。
「それに、花宮先生もとっても優しいしね。それから、講習会に参加したりいろんな勉強させてもらえるし。あ、あとね……」
「涼香」
「え、何?」
今度の講習会で学ぶことの事前学習について話そうとしてたら、途中で遮られた。何かしら。ちょっと神妙な顔つきが気になる。
「あのさ。さっき、俺……」
――バシャン!
「きゃっ!」
「何あれ、ひどーい!」
水音と女子の悲鳴に振り返ってみれば、バス停の前を走る車が水溜まりの水をベンチに跳ねさせたらしかった。
あらー、冷たいよねー。あれは。
「あ、ごめん。何だった?」
奏人が何かを言いかけてたことをすぐに思い出して尋ねた。
「いや、別に……何もないよ。それより、いろんなことに挑戦するって楽しいよね。涼香に負けないように、俺も頑張るよ。あ、でも――」
でも奏人は『何もない』って、ゆるく笑って。それから、いったん言葉を切った。
「でもね? すごく楽しい最中でも、たまには俺のことも思い出してね?」
傘が斜めに傾いた。前方の視界が、ふっと遮られる。同時に、耳に触れた冷たい感触。
「じゃないと、俺。寂しさのあまり、何するかわからないよ?」
冷たい唇が吐息とともに吹き込んできた低めた声に、全身が熱をもって沸騰していく。瞬間湯沸かし器のように。
「涼香? ちゃんと聞こえてる 『何』っていうのはね、例えば昼飯の時に俺の膝の上で食べてもらうとか。こういうところでも、キスしたくなったら我慢なんかせずに……」
きゃーっ! きゃーっ! きゃーっ! こ、この口を閉じなくちゃ!
「ぜ、ぜ、ぜ、ぜっ! 善処しまっすぅっっ!」
奏人の言葉を封じるために張り上げた私の声は、バス停に並んでる全ての人が振り向くくらいの音量で、そこいら中にビィィィーンッと響き渡った。
横からは、奏人の忍び笑いが聞こえてくる。
うう、恥ずかしいっ。もう顔、上げられないっ!
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