甘く蕩けて、スイーツ男子

冴月希衣@商業BL販売中

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悲しい告白 【3】

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 クラクラする。全身が熱い。大好きな人に抱きしめられて唇を合わせてる現実が、信じられない。

 こんな時、手慣れた人なら、なんて言うんだろう。知らない。わからない。

 俺、自分から誘っておいて、いざ先輩が俺にほだされてくれてるっていうのに、どうしたらいいのか何もわからない。

「せん、ぱ……」

 ただ、名を呼ぶことしか出来ない。

「もう少し……してみる、か?」

「あっ……ん」

 そんな俺をどう思ったのか、目を細めて僅かに微笑んだ先輩が、今度は首筋に吸いついてきた。

 そこで初めて、自分がシャワーも浴びてなかったことに気づく。

「せ、先輩? あの、俺、シャワー浴びてないから、そのっ……」

「ん? そんなの、いい。お前、めちゃめちゃ甘いぞ」

 俺の喉元に顔を埋めたまま、目線だけを上げた先輩が真っ直ぐ見つめてくる。

「真南、この先はやめられないかもしれないけど、いいんだな?」

「……っ」

 『これを逃すな』と、誰かの声が再び脳内で響いた。

 ぎゅっと、先輩の首にしがみつく。

「はい。先輩が俺なんかで大丈夫なら……俺は、後悔なんてしません。だから、俺のことも慰めてください。今だけ、一度だけでいいから」

 先輩が気にすることなんて、何もない。だって、これは単なる“慰め合い”。

 俺が酔った勢いで、失恋した先輩の傷心につけ込んでるだけだから。

 一度でいいから、先輩とこんなひと時を過ごしたかった。

 だから、後悔なんてしない。

 本当はシャワー浴びてからが良かったな、なんて、乙女みたいなこともチラッと頭をよぎったけれど。

 薄く笑みを浮かべた先輩がゆっくり顔を寄せてきたから、目を瞑って、それを意識から除外した。





「お前、見違えたぞ。成長したなぁ」

「え? 何、言ってるんですか。俺、もう二十五歳ですよ」

「や、そういうことじゃなくてな。お前のこんな姿を見るの、中学以来だから」

 露わにされた上半身。俺の肩を、先輩の長い指が滑っていく。

「俺が知ってる真南は、チビのガリガリだったからな」

「俺の身長が伸び始めたのは、先輩が卒業した後ですからね。でも、筋肉は無理でした」

「いや。背中、綺麗だぞ。痩せてはいるけど、綺麗だ」

「あっ」

 先輩の手が肩から肩甲骨をなぞり、その指はそのまま腰までおりていく。同時に、首筋に舌が這わされた。

「真南。嫌なら、言って?」

 鎖骨に唇がおりて、腰を支えてるほうとは別の指が、胸元に触れた。

 胸の粒が、きゅっと摘ままれる。

「ああ、ぁっ」

 じんとした痺れが、腰まで響いた。

 何? 何、これ。この、痛みとは別の、甘い痺れ。

「せんぱ……千葉、先輩っ」

 腹の奥が……全身が、熱くなる。


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