からくれないに、色づいて【Eternity -エタニティ- シリーズ】

冴月希衣@商業BL販売中

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追慕 #4

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「み、宮城くん?」

「あ、私たち。その……」

 初めて見せた俺の本当の顔に、女たちは戸惑いながらも笑顔でしつこく手を伸ばしてくる。相当、自分に自信があるのか。だからこそ、鈍感なのか。

「あのさぁ。俺、君たちに話があるんだけど」

 一瞬で、切り替える。完璧な笑顔を張りつけ、化粧バッチリで派手な身なりのふたりに向き直った。

 声色までをよそ行きに変えた俺に、男連中の顔つきが引きつったのも目の端で確認。が、無視だ。

 お前らには悪ぃけど、もう止めねぇよ。限界なんだ。

「宮城くん?」

「何かしら?」

 期待を込めて身体を寄せてきた相手に、笑顔とともに告げる。

「俺さ、君たちと知り合いだったかな?」

「え?」
「え?」

「顔も名前も覚えてない相手に馴れ馴れしく纏わりつかれてもさー、迷惑なだけなんだよ」

 目を見開いて口をパクパクし始めた女どもに効果絶大の流し目をくれてやってから、その場にいる全員の顔を見回す。

「それに――」

 絶妙な溜めを作った後、口角を引き上げ、ゆっくりと続けた。

「それに俺、もう、嫁さんが居るんだよね。だから、こういうの無理。俺に触っていいのは、俺が惚れてる『たったひとり』だけだ」







『ちょっと! 私が! いつ! あんたの嫁さんになったんよ! ふざけんといて!』

「えー、ふざけてないぞー? いたってマジ。本気中の本気だ」

 経緯を端折って『嫁さん』宣言をしたことだけを初琉はるに報告したら、返ってきたのは予想通りの喚き声。

 けど、電話の向こうのその表情はきっと――。

「俺は、いつでも本気だよ? お前にだけは」

『……っ。な、何言うてんの? それが、ふざけてるって言うんよ!』

 俺の好きな、真っ赤な恥じらい顔のはずだ。

 目線をキョロキョロとさまよわせ、片手で顔をあおいでる様子までが浮かんでくる。

「ふっ、可愛いな」

 可愛い。

『かっ、可愛いって……何、言っ……今は、そんな話してな……』

「会いたい」

『……っ』

 こうして、少しでも声を聞いてしまったら。

 お前の表情かおを、息遣いを感じながら思い浮かべてしまったら、激情が動く。

「会いたい。顔が見たい。お前に触れながら、声を聞きたい」

零央れお……』

「俺の腕の中で、名前を呼んでほしい」

 こんな電話越しじゃなくて、お前をじかに感じたい。

『ねぇ、どうしたん? 何か、あったの?』

「何も……ただ、会いたいだけだ」

 熱を、息遣いを。温かく、柔らかな感触を。

 お前が纏う鮮やかな“色”を、全身で感じたいだけなんだ。

 お前の全てを受けとめ、未来を誓ったあの日に思いを馳せるだけじゃ、足りない。

 もどかしくも甘い疼きに満ちた、あの日々。お前と過ごした、短くも濃厚な二つの季節は、とても愛おしいけれど。

 お前自身の存在感に比べたら、全然足りないんだよ。

 初琉……俺の、初琉……。


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