花待つ、春のうた

冴月希衣@商業BL販売中

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第三章

告白【2】

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「じゃあ、返事は?」
 この、途端に大きな態度に変貌する後輩が、いざという時には照れまくって肝心の告白を失敗したことをつついてやるのは可哀想。
「知ってるでしょう? 私のこと、二年半も見てきたのなら」
 可哀想だけど、たくさん怒鳴られたぶんの意地悪をしてやる程度には、私は性格が悪い。

 あら? どうして無言? 宇佐美くんなら、こういう時は……。
「まだ、想ってる? 土岐先輩のこと」
 あ……。
 無言の理由が、わかった。宇佐美くんの声がまた小さくなった理由も。
「ううん……あ、違う……わからない」
「どっちだよ」
 正直に言い直したことに、きつい言葉は返ってこなかった。宇佐美くんの口から零れたのは、呆れたような呟き。そして、その唇は、拗ねたように少し尖ってる。宇佐美くんから彼の名前を出してきたのに。

「本当にわからないのよ。彼を好きでいた期間が長すぎて」
「うん」
 土岐奏人《ときかなと》。——かーくん。十年も片想いしてた相手だから。もう気持ちの整理はついてると言い切れる気もするんだけど、それをはっきりと明言していいのか、自分でも判断がつかない。

「ただ、今年のバレンタインは、バスケ部員への義理チョコを考えるより先に宇佐美くんに渡すチョコをどうしようかと悩んだ。で、生まれて初めて手作りしようって決めたの」
「え……それ、マジ?」
「えぇ、ほんと」
 嘘じゃない。ついさっき、かーくんへの気持ちが残ってるような言い方をしておいて、バレンタインのことを持ち出すのは卑怯なのかもしれないけど、これも真実だから。

 誰にでも良い顔をしたがる軽薄な人間に思われるのだろう。それは嫌だけど、信じてもらえなくても言っておきたい。
「そっか。あんたはこういうことで嘘はつかないから信じるよ。さりげに嬉しいし」
 あぁ……あぁ、そうか。
 だから、か。そういうことなんだ。この子と過ごす時間が楽しい理由は。


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