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匠のシャンプー

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モコモコ、モコモコ。モコモコ。モコモコモコ。

オレは今、泡だるまになっている。そしてまさかの第二王子に身体中を洗われている。

どうしてこうなった?

「タヌキ、フロに入れてあげよう」からオレは抱っこされて、この豪華絢爛な広ーいフロまで連れてこられた。

オレを抱っこし、屋敷内を歩く王子。使用人らしき人達は驚いて二度見していたが何も言ってこなかった。

先に風呂場の床に降ろされたオレは、ちょこんと行儀よくお座りして、ほかほかの湯気をぼんやり見ていた。
とにかく今は良い子でいないといけない。

王子は腰にタオルを巻いただけの裸の姿で現れた。

(うわぁ~本当にスタイル良いなぁ。)

バランスの良さと、肌の美しさが羨ましい。
オレなんて毛玉だし、人間の姿もちんちくりんな少年の姿だし。

…なんて考えていたら、いつの間にか適温の湯をかけられ、冒頭のモコモコ状態に至る。

「みゃ~…」

はっ!!あまりのシャンプーテクニックに気持ちが良くて、間抜けな声がでてしまった。

「ふふっ気持ち良い?」

「…みい」

長い指が優しく身体をマッサージする。オレは向かい合った王子の顔を見る。

この人、本当に冷酷人間なのかな?
確かにさっきのメイドに対する態度は恐かった。

でもこんなに優しい目をしてオレを見てるじゃないか。

王子が顔を近づけ、耳周りを優しく洗う。オレが痛くないか、様子を伺いながら。
絶対優しいじゃん…。

オレはあまりの気持ち良さと、王子の優しい手つきに少しおかしくなっていた。
うっとりトロンとした目のまま、オレは目の前の形の良い唇を

ぺろん。ぺろぺろ。ぺろん。

あろうことか、何度も舐めていた。

ぴたりと王子の手が止まった。
オレの心臓も止まった気がした。

唇ばかりを見つめていたオレは、王子の目を見れずにチロッと舌を出したまま目線を動かせずにいた。

お湯で流してもらったばかりなのに、また鼻水が出てきそうだ。

マジで、マジで許してくださーいっ!!!!

まさかのホワイトタヌキの甘えたが、ここで出てしまった!
しかもこんな泡だるま状態でっ!

だってふわふわした唇が気持ち良かったんだもん!

ほらっ、犬が甘えて人間の顔をペロペロ舐めるだろ?アレなんだ!おじさんになんて、会って1分もしないうちに顔中舐めまわしていたんだからっ!

オレ、殺されるんじゃない?とシッポをぎゅっとまるめた時、鼻にチュッとキスされた。

オレは驚いて視線を上げた。

「おまえ、かわいいね」

王子はクスリと笑い、オレの泡もこオデコを撫でた。

オレはあまりにも嬉しくなって、お返しにと王子のスッと伸びた鼻先をペロリと舐めた。











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