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王子とホワイトタヌキのお風呂タイム
しおりを挟むモコモコ、モコモコ。
ひぁ~ん…きもちー。
ただいまオレは、ホワイトタヌキの姿で王子と朝風呂タイムだ。
巧みのシャンプーを施してくれているのは、やはり王子。
城から屋敷へと帰ってきたばかりで疲れているだろうから、王子一人でゆっくり浸かって来てって言ったら、「ニナと湯船でゆっくり出来たら、疲れなんて吹っ飛ぶなぁ」なんて言うもんだからさ、それじゃあって一緒にお風呂に入っている次第です。
やわやわと、いつものように強弱をつけてモコモコとマッサージしてくれている。
目周りも、王子の指で優しくゴシゴシ。結構汚れやすい所だからありがたい。
王子って優しい。とっても優しい。
ぼおっと王子を見る。
濡れた王子って、更に色気が増すんだよなぁ。
「気持ちいい?ニナ」
(…うん、ありがとう王子)
オレの顔を覗き込んで、甘い声でニナと呼ぶ。
鼻の先についていたらしい泡を、ふぅっと息を吹いて飛ばしてくれた。
きゅっと目を瞑って、ゆっくり目を開けたら「可愛い、ニナ」と頭を撫でてくれる。
お湯で泡を洗い流してもらった後、抱っこされてお湯に浸かる。
今日は、オレが調合したハーブも入れてみた。身体の凝りにじんわり良く効くんだ。
ああ…日頃の疲れがほぐれていく。王子も気持ち良さそうに、目を瞑っている。
(王子ってさ、わりとクールな時あるよね)
主にアーネラ様にだけど。
「ふふっ。なんせ冷酷王子だからね」
(そんな事ないのに…王子はこの国を、身体を張って全力で守ってる)
涼しい顔をしているけどさ。本当はしんどい事とか一杯ある筈だ。
溢れる魔力をコントロール出来ずにいた王子。
死にかけた事もあるって言ってた。
(ねえ、王子?オレ、何も出来ないけどさ辛い時や苦しい時は言ってね?…なんも出来ないけどさ)
言いながら、本当に何もしてあげられないと気付く。
はぁ…頼りないタヌキでゴメンね。。
ションボリと、情けなくなり耳が垂れる。
「…ニナ…嬉しいよ」
(王子…)
王子を見つめると、困ったような嬉しいような複雑な顔をして笑っている王子がいた。
「おかしいな…。
兄上は俺の事をいつも心配してくれるし、アティカスの事もとても信頼している。だから誰に何て言われようと、孤独だなんて思った事はないし、寂しいと思う事もなかった」
「けど今は、ニナが側にいないと寂しいし、孤独とさえ思う事がある」
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