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あざとさが売りなので
しおりを挟む王様触る?触るよね?
ぎぎぎと操られたようにぎこちなく、王様の手がオレへと伸ばされる。
オレを撫でようかと迷っているであろう手を控えめにちろりと舐めた。
「…!!」
びくっと王様の手が震えると共に、オレも舌ぺろのままびくっと震える。
えと、今の不敬じゃないよね?
只今無礼講モードだよね?
ちら。
…ヒィッ!
そんな…「信じられん…私のこの高潔な手を、汚い獣の舌が舐めただとっっ!?」みたいな目で見ないでくださいぃぃ!(被害妄想)
ホワイトタヌキ流の、どうぞお触りくださいの意ですからぁ!
「クゥゥン…ミュゥゥ…」
ちら。
オレはどんな悪党の心にでも響くのではないかという切ない声で鳴き、そして庇護欲を掻き立てるであろうウルルンまなこで王様を見つめた。
「…っっっ!!!!!」
「もうあなた、何をしているの?ニナさんに気を使わせて…ほらニナさんこちらにいらっしゃい。ヨーグルトでもどう??」
「あ」
ニコリと美しく微笑みながら抱き上げられ、まさかの王妃様のお膝の上へ。
撫で撫でされながら、ヨーグルトを口元へと運ばれたので遠慮なく頂く。
ペロペロと、銀のスプーンの上にあるヨーグルトを食べつつ王様を盗み見た。
行き場のない手がゆっくりと戻っていく。心なしかポーカーフェイスの王様のお顔が悲しげに見えるのは気のせいだろうか?
何気にさっき、「あ」って惜しむような声も聞こえたんだけど。
まあそんなこんなで終えた、王様と王妃様との朝食タイム。緊張したけど、思ったより穏やかな時間だった。
さて王子の元へ行こうと思っていたら、お迎えにアティカスが来てくれた。広ーいお城だから助かります!
「それじゃあニナさん、またお茶かお食事でもご一緒しましょう。ルイの事もよろしくお願いしますね」
オレはアティカスの逞しい腕の中で、しっぽを振りながらコクコクと頷いた。
「…そなたのその姿はその…好ましいと思う者が多いだろう。城の中だろうと油断せず気を付けなさい」
…王様!オレの事を心配してくれてるんだ!
「ミャンッ!」
と元気よく返事を返すと、少しだけ王様の目尻が和らいだ。
ふふふ、分かるよ王様。視線がオレを可愛いと言ってくれているのが…!
「それではニナ、殿下の元へ戻ろうか」
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王子、待っててね!今、会いに行くからね!!
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