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第44話・運命の日-2
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学院のパーティー会場は、流石に父王の開催するパーティーらしく、きらびやかな飾りと豪華な食事で、とても素晴らしい。普段から質素な暮らしをしている平民はもとりより、下級貴族にとっても、これは人一生に一度の贅沢なパーティーだろう。
この盛大なパーティーに、王国各地から貴族が一堂に集まり、身分の違う貴族達がグループを形成して交流を深めていた。
カシリアはパーティーに慣れている。国王の発言、自分の発言、すべてが整然と何事もなく進んでいった。全ての流れが終わると、カシリアは理由をつけて、自分を囲む貴族の少年女性の群れから急いで抜け出した。
やるべきことは済んだ、さっさと食べ物をとって離れよう。カシリアはパーティー会場の隅へ歩きながらそう考えていた。このままパーティー会場から抜け出そうとしたその時、不意に人目のつかない片隅に不思議な貴族の夫人を見つけた。
この見たことのない貴族の夫人は、自分の入るグループを見つけられないようで、静かにパーティー会場の隅に立っていて、また彼女も自ら貴族に話しかけようとはしていなかった。
しかし彼女が身につけていたのは、サファイアを散りばめた最近流行りの極めて豪華なドレスだった。その高価なデザインとアクセサリーから見て伯爵かそれ以上の家の出身に違いない。
おかしい、最近学院には新たに生徒は入学していないはずだ。
あるとしても、その生徒の家族をカシリアが知らない訳が無い。なぜならカシリアはほぼ全ての上流貴族を知っているからだ。
もし忍び込んできたのだとしても、彼女の上品な雰囲気と仕草から見て、高度な貴族教育を受けてきた者に間違いない。
更に、今回は父王自ら出席するパーティーだから、警備がいつもより厳しい。そう容易く忍び込める筈がない。
だとしたらそれは——彼女はとある爵位の高い貴族の新たな婚約者か愛人か。
だがこの夫人はどの貴族の男性とも接触せず、ただ緊張した面持ちで、誰かを探していたようだった。
本当におかしな夫人だ。
でもカシリアはそんな些細なことに拘らない。
なぜなら、貴族の家の事情など自分とは全く無関係なことだから。
貴族の少年女性達との関わりをなるべく避けようと、カシリアは片手にグラス、もう片手には腹の足しになる肉を載せた皿を持って、黙ってバルコニーへ向かった。
普通パーティーでは、バルコニーへ行く人はそうそういない。
極まれに交際が上手くいかずショックを受けた貴族が景色を眺めてくつろぐことはあったかもしれないけど、バルコニーで談笑する人はいない。
バルコニーとホールの間は分厚いカーテンがあり、貴族として醜態を晒したとしても、誰にも気づかれない。
カシリアにとっては、そこがくつろぐための良い場所だった。カシリアはこっそりと最奥のバルコニーへ、カーテンを開けて出た。
「あ…」
そこには意外にも先客がいた。しかも自分と歳の近い貴族の女性だった。
待て、貴族??
目の前の若くてキレイな女性は、食べ物をいっぱい載せた皿を持ち、必死に食べ物を口に詰め込んでいる…
あれは…貴族のあるべき姿じゃないぞ!?
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この盛大なパーティーに、王国各地から貴族が一堂に集まり、身分の違う貴族達がグループを形成して交流を深めていた。
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おかしい、最近学院には新たに生徒は入学していないはずだ。
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だとしたらそれは——彼女はとある爵位の高い貴族の新たな婚約者か愛人か。
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本当におかしな夫人だ。
でもカシリアはそんな些細なことに拘らない。
なぜなら、貴族の家の事情など自分とは全く無関係なことだから。
貴族の少年女性達との関わりをなるべく避けようと、カシリアは片手にグラス、もう片手には腹の足しになる肉を載せた皿を持って、黙ってバルコニーへ向かった。
普通パーティーでは、バルコニーへ行く人はそうそういない。
極まれに交際が上手くいかずショックを受けた貴族が景色を眺めてくつろぐことはあったかもしれないけど、バルコニーで談笑する人はいない。
バルコニーとホールの間は分厚いカーテンがあり、貴族として醜態を晒したとしても、誰にも気づかれない。
カシリアにとっては、そこがくつろぐための良い場所だった。カシリアはこっそりと最奥のバルコニーへ、カーテンを開けて出た。
「あ…」
そこには意外にも先客がいた。しかも自分と歳の近い貴族の女性だった。
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