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【17歳】
【17歳】35 カヤver.(7歳のあの日)
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精霊の森に着くとクロバイは精霊王の姿に戻った。
「……シオンは?」
「今……眠ってる……クロバイ、シオンは…」
「あぁ、あの時に鎮めた魔力が徐々に開放されつつある。成長で増幅した力もあるのだろう。」
精霊の樹が目覚め始めているのもそうだ。
予定では学園卒業までは大丈夫なはずだった。
……7歳のあの日の朝……
いつもの様に朝の支度を持ってドアを開けようとしたら、ドアの向こうでシオンの声がした。
「カッ…ッ…ハッ………!」
この声っ…?!
____バァァァン!____
「シオン様!大丈夫ですか?!………!!」
異変に気付いてドアを開けるとベッドのそばで吐いているシオンがいた。
血も少し吐いたのか口の端に赤いものが付いていた。
「…カ…ヤ……」
「シオン様っ!誰か!!医師を早くっっ!!………クロバイ!」
シオンを抱き締めて大きな声でクロバイを呼ぶ。
クロバイが到着したと同時に意識を失ったと思っていたシオンが目をカッと開き、俺を突き飛ばして魔力を放出し始めた。
「…っ!シオン様っ!」
「あぁぁああああっ!!」
異常な魔力の暴走にいつもと違うシオン。
おかしい…シオンにこんな魔力量は無かったはず。
「……ぼ……俺は……っ……」
「シオン様っ!」
「………シオンッ!」
異変に気付いてポーロウニア様も部屋に入ってきてシオンに駆け寄ろうとする。
「ポーロウニア様っ!危ないっ!!」
___バシッ!___
魔力の暴走でコントロールがきかず、ポーロウニア様へ攻撃が行くが咄嗟の所ですぐ後に部屋に入ってきたクロバイがそれを防いだ。
「カヤッ!大丈夫か⁉」
「はいっ!俺は大丈夫です!それよりも…っ。」
___バタバタバタ!___
「「シオンっ!!」様!!」
「エンジュ、カイエ!!ポーロウニア様を安全な場所へ!これからシオン様を落ち着かせるまでこの部屋周辺を立入禁止とする!他の使用人達の誘導も頼むっ!!」
「はいっ!」
「さ…ポーロウニア様…」
「いやよっ!シオンがぁっ!」
エンジュがポーロウニア様を促すがシオンを心配して動かない。
「大丈夫、俺がいますからっ!絶対に助けます!だからっ‼」
このままだとみんなが危ないっ。
「…ポーロウニア…っ…言うことを…聞きなさい……っ!」
クロバイがシールドを張りながらポーロウニア様に言った。
子どもを諭す様に…父親の様に。
「……っ…」
「さぁっ、ポーロウニア様!」
エンジュに連れ出されてカイエがドアを閉める。
それを確認してクロバイが本来の姿、精霊王の姿に変わった。
「シオンッ!」
「やぁあああっ!寄るなっっ!!」
___バシッ!___
「クッ!」
「……ぁ……ぼ……俺は…誰……ぇ…何……?」
今まで俺なんて言ったことのないシオンが俺と呼び、幼い顔のはずがまるで大人が苦悩している様にも見える。
魔力の暴走も益々激しくなり、俺達ではどうしても防げそうに無かった。
「……精霊の友…兄弟姉妹達よ……我と共に愛し子の魂を鎮める手助けを……!」
___ポゥ…___
クロバイ身体が光り、周囲に精霊達が集まり始める。
『クロバイッ!助けにきたわよっ!』
「あぁ……ありがとう……」
屋敷の精霊の樹が姿を現した。
___くろばい…このこ……つぎのおうさま?___
「そうだ。」
___こんにちは___
___よろしくね___
小さな精霊達が次々に俺の周りを楽しそうに回ってからクロバイの中に溶け込んでいく。
「カヤ…今から精霊達の力全てを使い身体の中に宝石を作ってその中に余分の魔力を封じる…お前も…力を貸せっ…」
「はいっ!」
『さぁ、妹達!私に力を貸してちょうだい!!』
光が集まり沢山の歌が聴こえる。
楽しそうに歌ってシオンの周りにもクルクルと回っていった。
「あぁぁああああ!」
「シオンッ!」
___パァァァァァンッッ!!___
俺は最後の力を振り絞ってシオンに抱きついて魔力を流した。
部屋中に眩しい光が輝く。
光が落ち着くと腕の中を見るとシオンは穏やかな顔で眠っていた。
「……クッ……」
「クロバイッ!」
力尽きるようにクロバイがよろめく。
「大丈夫だ……それより…シオンはしばらく体調を崩しやすくなる…ポーロウニアには私から説明しておくから……お前はシオンを寝かせたら自分も休め。」
「はい…」
シオン様はそれから体調を崩しやすくなり、高熱で意識もハッキリしない日が続いた。
「シオン……何か食べたいものはないの?」
ポーロウニア様がシオンの手を握り一生懸命に話し掛ける。
「…ガ……ぃ……」
「……え?」
「ガリガ○くん……食べたぃ……」
「「ガリガ○…クン?」」
……ガリガ○クン…何だ…その名前は…それは食べ物なのか……?
この前は「イセカイテンセイはテンゴク経由…?」「メガミ…テッパン…?」とか「ミソシル飲みたい…」とか……
どの文献にも無いしクロバイもよく分からないと首を捻っていた。
でも…ガリガ○クン…今度は探してやろうじゃないか!
俺はポーロウニア様と話し合い、ポーロウニア様は肉の種類、俺は果物の種類と思い、顔の広いエンジュとカイエに頼んで一緒に探し回ったが全く成果はなかった…
未だに「ガリガ○クン」と、いうものが分からない……冷静に考えればシオンの転生前のものだろうが……今度聞いてみよう…。
あの日、俺とクロバイ以外の精霊達はみんな力を使い果たして眠りに付いた。
俺達も本来の力をかなり使い、クロバイは俺も分まで使っていたので俺は半分ほどで済んだが…
「もしかしたら…私の推測が正しければ……シオンの次の暴走を止められるかもしれん。」
「本当に?」
「あぁ…それにはお前と王子…2人の力が必要だがな。」
…アイツもか…
「フッ…顔に出てるぞ。まぁ…近々お前達2人には魔力訓練を受けてもらう。王子には話を通しておこう。」
「分かった。」
そして俺達は屋敷へと戻り、その日に備える為の準備を始めた。
「……シオンは?」
「今……眠ってる……クロバイ、シオンは…」
「あぁ、あの時に鎮めた魔力が徐々に開放されつつある。成長で増幅した力もあるのだろう。」
精霊の樹が目覚め始めているのもそうだ。
予定では学園卒業までは大丈夫なはずだった。
……7歳のあの日の朝……
いつもの様に朝の支度を持ってドアを開けようとしたら、ドアの向こうでシオンの声がした。
「カッ…ッ…ハッ………!」
この声っ…?!
____バァァァン!____
「シオン様!大丈夫ですか?!………!!」
異変に気付いてドアを開けるとベッドのそばで吐いているシオンがいた。
血も少し吐いたのか口の端に赤いものが付いていた。
「…カ…ヤ……」
「シオン様っ!誰か!!医師を早くっっ!!………クロバイ!」
シオンを抱き締めて大きな声でクロバイを呼ぶ。
クロバイが到着したと同時に意識を失ったと思っていたシオンが目をカッと開き、俺を突き飛ばして魔力を放出し始めた。
「…っ!シオン様っ!」
「あぁぁああああっ!!」
異常な魔力の暴走にいつもと違うシオン。
おかしい…シオンにこんな魔力量は無かったはず。
「……ぼ……俺は……っ……」
「シオン様っ!」
「………シオンッ!」
異変に気付いてポーロウニア様も部屋に入ってきてシオンに駆け寄ろうとする。
「ポーロウニア様っ!危ないっ!!」
___バシッ!___
魔力の暴走でコントロールがきかず、ポーロウニア様へ攻撃が行くが咄嗟の所ですぐ後に部屋に入ってきたクロバイがそれを防いだ。
「カヤッ!大丈夫か⁉」
「はいっ!俺は大丈夫です!それよりも…っ。」
___バタバタバタ!___
「「シオンっ!!」様!!」
「エンジュ、カイエ!!ポーロウニア様を安全な場所へ!これからシオン様を落ち着かせるまでこの部屋周辺を立入禁止とする!他の使用人達の誘導も頼むっ!!」
「はいっ!」
「さ…ポーロウニア様…」
「いやよっ!シオンがぁっ!」
エンジュがポーロウニア様を促すがシオンを心配して動かない。
「大丈夫、俺がいますからっ!絶対に助けます!だからっ‼」
このままだとみんなが危ないっ。
「…ポーロウニア…っ…言うことを…聞きなさい……っ!」
クロバイがシールドを張りながらポーロウニア様に言った。
子どもを諭す様に…父親の様に。
「……っ…」
「さぁっ、ポーロウニア様!」
エンジュに連れ出されてカイエがドアを閉める。
それを確認してクロバイが本来の姿、精霊王の姿に変わった。
「シオンッ!」
「やぁあああっ!寄るなっっ!!」
___バシッ!___
「クッ!」
「……ぁ……ぼ……俺は…誰……ぇ…何……?」
今まで俺なんて言ったことのないシオンが俺と呼び、幼い顔のはずがまるで大人が苦悩している様にも見える。
魔力の暴走も益々激しくなり、俺達ではどうしても防げそうに無かった。
「……精霊の友…兄弟姉妹達よ……我と共に愛し子の魂を鎮める手助けを……!」
___ポゥ…___
クロバイ身体が光り、周囲に精霊達が集まり始める。
『クロバイッ!助けにきたわよっ!』
「あぁ……ありがとう……」
屋敷の精霊の樹が姿を現した。
___くろばい…このこ……つぎのおうさま?___
「そうだ。」
___こんにちは___
___よろしくね___
小さな精霊達が次々に俺の周りを楽しそうに回ってからクロバイの中に溶け込んでいく。
「カヤ…今から精霊達の力全てを使い身体の中に宝石を作ってその中に余分の魔力を封じる…お前も…力を貸せっ…」
「はいっ!」
『さぁ、妹達!私に力を貸してちょうだい!!』
光が集まり沢山の歌が聴こえる。
楽しそうに歌ってシオンの周りにもクルクルと回っていった。
「あぁぁああああ!」
「シオンッ!」
___パァァァァァンッッ!!___
俺は最後の力を振り絞ってシオンに抱きついて魔力を流した。
部屋中に眩しい光が輝く。
光が落ち着くと腕の中を見るとシオンは穏やかな顔で眠っていた。
「……クッ……」
「クロバイッ!」
力尽きるようにクロバイがよろめく。
「大丈夫だ……それより…シオンはしばらく体調を崩しやすくなる…ポーロウニアには私から説明しておくから……お前はシオンを寝かせたら自分も休め。」
「はい…」
シオン様はそれから体調を崩しやすくなり、高熱で意識もハッキリしない日が続いた。
「シオン……何か食べたいものはないの?」
ポーロウニア様がシオンの手を握り一生懸命に話し掛ける。
「…ガ……ぃ……」
「……え?」
「ガリガ○くん……食べたぃ……」
「「ガリガ○…クン?」」
……ガリガ○クン…何だ…その名前は…それは食べ物なのか……?
この前は「イセカイテンセイはテンゴク経由…?」「メガミ…テッパン…?」とか「ミソシル飲みたい…」とか……
どの文献にも無いしクロバイもよく分からないと首を捻っていた。
でも…ガリガ○クン…今度は探してやろうじゃないか!
俺はポーロウニア様と話し合い、ポーロウニア様は肉の種類、俺は果物の種類と思い、顔の広いエンジュとカイエに頼んで一緒に探し回ったが全く成果はなかった…
未だに「ガリガ○クン」と、いうものが分からない……冷静に考えればシオンの転生前のものだろうが……今度聞いてみよう…。
あの日、俺とクロバイ以外の精霊達はみんな力を使い果たして眠りに付いた。
俺達も本来の力をかなり使い、クロバイは俺も分まで使っていたので俺は半分ほどで済んだが…
「もしかしたら…私の推測が正しければ……シオンの次の暴走を止められるかもしれん。」
「本当に?」
「あぁ…それにはお前と王子…2人の力が必要だがな。」
…アイツもか…
「フッ…顔に出てるぞ。まぁ…近々お前達2人には魔力訓練を受けてもらう。王子には話を通しておこう。」
「分かった。」
そして俺達は屋敷へと戻り、その日に備える為の準備を始めた。
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