可愛くなりたい訳じゃない!

mana.

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ベリルの国へ使いをやってから、すぐに返事が返ってきた。
ロードに聞いたら、早馬を飛ばして使者もゼ~ゼ~言ってたらしいから…結構無茶させたっぽい。

「リオ。早速だが、フォスター公との話し合いの場を持ちたいんだが…王宮でも良いだろうか?」

「あぁ、相手は隣国の王様だしな。まさか俺の屋敷に来るわけにはいかんだろ?」

いくらなんでも最高権威の人がウチに来るなんて…転生前で言ったら貴族が一般家庭に茶の間にお邪魔して「息子さんを僕に下さい!」って言ってるようなもんだろ?
ありえん。
転生前ならホテルですると思う。

「すまない、警備も兼ねてそうさせて欲しい。」

全くな。
ウチを他国の騎士でガッチガチに警備されたら、使用人達がガッチガチになるわ。
幸いこの国の王と王妃はウチの両親とも仲良しだ。俺も頻度は下がったが幼い頃から何度か行っている。
緊張はさほどないだろう。

「じゃぁ、日程はこちらの手紙を渡すから…返事を近日中にもらうようにお願いしたい。」

「分かった、今日はジルコンが従者の控室にいるから頼んでおくよ。」

俺は休憩中にジルコンの元へ行って手紙を渡した。

「分かった…仕事が早いな。じゃぁ、お前の授業中に手紙を届けて返事を書いてもらったら戻ってくる。少し遅くなるが…いつもの時間が良いなら代わりの者を…」

「それは大丈夫。ガーネットも今日は授業で質問したいことがあると話していたし…手紙の返事の方が大事だ。俺は中庭でのんびりしてるさ。」

「分かった。じゃぁ、後でな。」

ジルコンはそう言うと御者の元へと走っていった。

「リオ。」

「あ、オニキス。」

「…ジルコンさんは…帰ってしまったのか?」

「いや、用事を頼んだだけだから。少し遅くなるけど後で戻ってくるよ。」

最近オニキスはジルコンにアプローチしているらしい。
ジルコンも口では嫌がってるけど…まんざらでもなさそうなんだけどなぁ…

「そうか…」

大柄なオニキスのシュンとした姿…シェパード犬のシュンとした姿に似て…フフッ、可愛いな。

「ジルコン…手強い?」

「あぁ…手強いな。」

フッと、笑う姿にいつもの力強さは無い。

「どうして、ジルコンなんだ?お前なら引く手数多じゃん。」

「いや…ジルコンさんが良いんだ…俺はお前にパーティで頼まれて、彼の手を掴んで引き止めた時、全身に電流が走ったんだ。」

ん?何か聞いた事あるな。

「運命の相手と言うのはよく分からない。けど、相手と出会い…共に慈しみ、時間を掛けて愛を育むものだと思っていた。」

「そうだね。」

うん、俺はベリルと一緒に学園生活や外出を通して…ベリルを知って好きになったぞ?

「だが、一瞬で分かることもあると…分かったんだ。」

「…激しい愛だね。」

「フッ…そうだな。」

オニキスが苦笑する。

「手を触れた時…俺が一生を捧げる人はこの人だと感じた。けど…ジルコンさんは俺を認めようとしないんだ。」

言いたくはないが、俺達を…だからかな?

「俺は、酒の勝負に勝った。だから…この駆け引きも…勝つつもりだ。」

寡黙で優しいと言われたオニキス。
それでも譲れないものもあるんだよね。

「うん、俺達のお兄ちゃんを任せられるのはオニキスだけだな。みんなもそうとは思うけど、俺は絶対応援するよ。」

「ありがとう。」

「さ、教室に戻ろうぜ。次は剣術だっけ?」

「あぁ、今日は王宮から王直属の人が来るらしい。」

アウィンとコーラル、オニキスとジルコン…そして俺達。

俺がベリルの婚約者になったら…


…………俺…この国を離れなきゃいけないのか…………


___チクン___


アウィンとコーラルは同じ位の貴族同士。コーラルが長男でアウィンが三男だから…魔術に長けたの家系も考慮してコーラルの家に婿養子だろう。
オニキスとジルコンは、ジルコンは元々貴族の位で今の職は家の事情でやってただけだし…
オニキス…何人兄弟だっけ?
俺だけ…ここを出るんだ…ハッ!ネガティブ志向はいけないな!!

ブルブルと頭を振って気を紛らわせ、俺は放課後中庭へとやって来た。

___チチッ♪___

「今日はお前1羽か?」

___ピィ♪___

オレンジ色の鳥が1羽、俺の頭に飛んできた。
この鳥は2年生の夏にグッタリとしていた所を助けて以来、俺を見つけてはよく飛んでくる。

___ピッ…チチッ!___

「ん、どうしたどうした?」

パタパタしながら俺の周りを飛び、肩へとまると話すように鳴いてきた。

「もしかして『元気出せ』って言ってる?」

___ピィ♡___

「人間の言葉、分かるの⁉」

___ピピピィ♪___

パタパタ羽ばたきながらホバリング…これは……ドヤ顔な感じがするな。

___ピィ…ピピィ……ッ!___

「わっ!どうした、チビッ‼」

___バサバサバサ…!___

誰かの気配を感じたのか飛んでいってしまった。

「フフッ…珍しい鳥だったな。」

「ベリル。」

ベリルがこちらに来たので、中庭の草の上だが隣に座るように誘った。

「ジルコンを待ってるのか?」

「うん。もうすぐ戻ってくると思う。」

「すまないな、急がせてしまって。」

「いや、良いよ…でも…」

「でも…?」

「いや…何でも無い…それよりさ……」

俺は心のしこりを取りたくてベリルの首に手を回した。

「…今なら…ここ…誰も…来ないんだけど…」

「良いのか…?」

「うん…キスして…ん…」

国を離れても愛する人がそばにいるなら大丈夫だよな…転生前だって短い時間だったけど、俺は1人で大学に通ったんだ。
うん、きっと大丈夫。

「ん……もっと……ほし…んんっ…」

ベリルを焚き付けてしまったと後悔する間も無くベリルの口が俺の咥内を蹂躙する。
もっと…変な考えが出来ないくらい…融かしてほしい…気付けば俺はベリルの膝に乗せられてキスをしていた。
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