可愛くなりたい訳じゃない!

mana.

文字の大きさ
45 / 105

44

しおりを挟む
「まず、明日からのことなんだけど…」

「素敵な湖、静かで神秘的な森の中にあるベリルの思い出の別荘…そして2人きりの婚前旅行。」

「…こんな素晴らしいネ…いいえっ!お話はないじゃないですか!」

真剣な顔のガーネット。
うっとり乙女な顔のベリー。
…で、パールよ…今って、言おうとしたよね?

「兄様、今後の外交も兼ねてしっかりとベリルのハートを握っとかないとダメじゃない?」

「あの様子じゃ大丈夫と思うけど…」

「いえいえ、やっぱり恋のスパイスって必要ですよ!」

グイグイ来るなぁ。

「2人って言っても従者や護衛の騎士、ジルコンもいるし…」

「でも、2人は2人!ジルコンは夜になったら別棟でしょ?」

あぁ、何か『夜の世話を任せられるなら森に行こう♪』って、喜んでたっけ?
あの森、確か精霊の加護のある森だから安全っていうしな。もしかして精霊でも見つけに行くのかなぁ。

「良いですか?折角の旅行なんですから羽目を外しちゃって下さい!」

「あら、良いのかしら?」

「先に兄であるリオが頑張って外してもらったら…妹も楽なんじゃない?私の転生前の言葉に『旅の恥は掻き捨て』ってあるくらいだもの♪」

「…そうね、兄様。じゃぁ、私の為に外れてちょうだい!」

「簡単に言うなぁ。」

羽目を外すねぇ…何?ウェイな感じ?俺、元々そういうタイプじゃないんだけど。

「外すにしても、色々あるじゃないですか。例えば…そう、女装とか。」

「あら、良いわね。最初の出会いは女装だもの。」

「そうなの?見たいわっ!」

…ベリーさん、ちょっと目が怖い。

「そうなんですよ!なので…」

___ドサッ!___

「本日はこちら、女装セットをご用意!様々なお洋服をご用意しております‼︎」

部屋の端に見慣れない箱があると思っていたら、どうやらパールが用意した女装のセットだった。
可愛いものからセクシーなものまで…

「リオ様の身体つきは最近男性らしくなっておりますので…喉仏を隠して…少し透けた布を使ったデザインのお洋服や…」

「あ、これ良いわね。」

「えぇ、身体のラインを強調した…」

「あら、これはガーネットが良いんじゃない?」

3人でワイワイ言い出したので逃げようとしたけど…

「兄様…どこに行くの?」
「あら、お気に召しませんでしたか?では、こちらのフリルなんかは…ミニスカートが可愛いですよ♡なんとベリー様考案の異世界デザインです!」
「リオ、可愛いから…これなんかどう?私の世界では結構流行ったの。可愛いでしょ?」

…ベリーさん、それ流行ったの一部でしょ?俺、TVで見たもんっ。
それ、メイド服ぅっ‼︎

「これ着て…髪を2つ括りにして…『俺がぁ…美味しくなぁれ、萌え萌えキュン♡』とか言ったら、ベリル燃えちゃうかも♡」

はいビンゴ☆メイドじゃん⁈
俺がぁ…とか、言えねっちゅ~のっ!
しかも、ベリーの甘い声の方が男は喜ぶだろうけど、俺なんか言ったところで気持ち悪いだけだろ⁈

「でも、こちらではそういう時はセクシーな寝姿よね。斬新ねぇ…私もロードにしようかしら…」

「ガーネット様は大人っぽいので、こちらの方が…あ、こちらも異世界デザインです。」

ガーネットに手渡されたのは大きくスリットの入ったシルクのセクシーな服だ。

「これ、胸が細かいレースで綺麗だけど乳首が見えそう…あら、透けないわね。」

「そうなの、昔ネットで見たんだけどデザインがカッコ良くて。ワンショルダーなので身体のラインが綺麗なガーネットなら綺麗に着こなせるんじゃないかしら?貴女の名前と同じガーネットの色よ?スカートの裾もレースで綺麗でしょ?」

うん…そのレース…スカートに胸のレースと同じものを一部あしらってるけどさ…その…パンツ見えるんじゃね?

「下着ラインは…これも見えないのね。」

「えぇ、薄いけど見えにくい素材の布を下地に使っているのよ。だから大丈夫。」

…ベリー、聖女じゃなくデザイナーの素質があったのか?

「ウフフ、私転生前はコスプレも趣味だったの。お洋服大好きだったんだ。ここで活用出来て嬉しいわ♪」

「コスぷ…?ウフフ、さっきからベリーの言っている異世界の言葉が良く分からないけど、素敵なことは良く分かったわ。私、これを持って行くわ♪」

「じゃぁ、ガーネット様は別荘で過ごされるお洋服も何着かご用意しておきますね。リオ様は…」

「俺はジルコンに任せてるから大丈夫!」

萌え萌えきゅん♡とか出来るかぁ‼︎

「フフッ…」

「ベリー、どうしたの?」

「ううん、何か…この世界に転生して良かったなぁ…って思って。」

「私もベリーに出会えて、本当に良かったですよ。」

「私もよ、ベリー。」

転生前は色々あったベリー。
聖女として、ゲームのヒロインとして転生して断罪されたけど…今はこうして落ち着いている。

「それにね…」

___ガシッ!___

「はい?」

「私ね…転生前に隠していたことがあるの…私…」

俺の両手を握って最高の微笑みで俺に言った。

「私、腐女子だったの。」

あ゛あ゛ぁぁぁぁ…貴女もですかあぁ……
ベリーの後ろでパールが微笑む。
ガーネットは…意味分かってねぇな。

あっ!俺はこの世界の住人、腐女子は知らない!

「あ~…ふぅ…女子ぃ?」

ちょっと変な外国人風になっちゃった。

「異世界の言葉で、私達と同じ趣味の人だそうです!」

自慢気にパールが答える。

「あぁ…そうなんだ。この世界の男同士は問題ないもんね。」

「そうなの!しかも受胎の儀式はしなきゃいけないけど、子どもが授かるんでしょ?凄い!アルファとオメガみたい!」

「ある…おめ…?」

ゴメン、ベリー…そこは俺も分からない。

「えぇ、異世界の物語で男同士でも子どもが授かるお話があるのよ。この世界は素晴らしいわ!」

「あぁ、喜んでくれて…何…より?」

「大好きな推しの貴方に可愛い子どもが宿るのよ!今から楽しみだわ!」

「いやぁ…それは…気が早いよ…」

「その話を聞いて創作意欲が湧いちゃって!帰ってきたらゆっくり話を聞かせて下さいね!」

…控室の話も本のお礼として少しだけ相談も兼ねてパールに話している。
前にコーラルに相談したら結構ハードで……もうね…相談する人がいないんだよ…背に腹は変えられない。
俺はヒートアップしたパールとベリーを落ち着かせ、明日の支度があるからと3人をガーネットの部屋に移動させた。

___コンコン___

「フフッ、大丈夫か?」

「ジルコン、何で来なかったんだよっ!」

「ごめんごめん。」

「…明日から1週間、お前…一緒に行って良かったのか?」

最近ジルコンはオニキスと一緒にいるのをよく見かけるから。

「…あぁ、まぁ……ちょっと離れた方が、アイツの熱も冷めるだろうし。」

「…その…キスとか…したの?」

「ん~…何だ、ヤキモチかぁ?」

「違うよっ!」

「フフッ、分かってるよ。キスだろ?…うん、したよ。」

「それって。」

「キスな、ご褒美のチュウ♡」

「何だよ、それ。」

「何度も『キスしたい』って、言うから『じゃぁ、王宮の騎士を10人倒して来い』って言ったらさぁ…」

「倒しちゃったんだ。」

スゲェな、オニキス!

「うん。だから…ご褒美。そしたら熱くなっちゃってね。だから距離置くの。」

「逃げるんだ。」

「まぁ…そうかな。」

ジルコンが珍しく苦笑いした。
いつもなら気が乗らないなら上手に振ってんのに。

「俺にも考える時間が欲しいかなぁ…って。」

あれ、これってもしかして…

「そっか。」

俺はそれ以上聞かなかった。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

転生したようだけど?流れに身を任せていたら悪役令息?として断罪されていた――分からないまま生きる。

星乃シキ
BL
発作の後に目覚めたら、公爵家嫡男の身体だった。 前世の記憶だけを抱えたまま生きるレイは、ある夜、男の聖女への嫌がらせの罪で断罪される。 だが図書室の記録が冤罪を覆す。 そしてレイは知る。 聖女ディーンの本当の名はアキラ。 同じ日本から来た存在だった。 帰りたい聖女と、この身体で生きるレイ。 秘密を共有した二人は、友達になる。 人との関わりを避けてきたレイの人間関係が、少しずつ動き始める。

【完結】悪役令息の伴侶(予定)に転生しました

  *  ゆるゆ
BL
攻略対象しか見えてない悪役令息の伴侶(予定)なんか、こっちからお断りだ! って思ったのに……! 前世の記憶がよみがえり、反省しました。 BLゲームの世界で、推しに逢うために頑張りはじめた、名前も顔も身長もないモブの快進撃が始まる──! といいな!(笑) 本編完結しました! おまけのお話を時々更新しています。 きーちゃんと皆の動画をつくりました! もしよかったら、お話と一緒に楽しんでくださったら、とてもうれしいです。 インスタ @yuruyu0 絵もあがります Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます プロフのwebサイトから両方に飛べるので、もしよかったら! 本編以降のお話、恋愛ルートも、おまけのお話の更新も、アルファポリスさまだけですー! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!

魔法学園の悪役令息ー替え玉を務めさせていただきます

オカメ颯記
BL
田舎の王国出身のランドルフ・コンラートは、小さいころに自分を養子に出した実家に呼び戻される。行方不明になった兄弟の身代わりとなって、魔道学園に通ってほしいというのだ。 魔法なんて全く使えない抗議したものの、丸め込まれたランドルフはデリン大公家の公子ローレンスとして学園に復学することになる。無口でおとなしいという触れ込みの兄弟は、学園では悪役令息としてわがままにふるまっていた。顔も名前も知らない知人たちに囲まれて、因縁をつけられたり、王族を殴り倒したり。同室の相棒には偽物であることをすぐに看破されてしまうし、どうやって学園生活をおくればいいのか。混乱の中で、何の情報もないまま、王子たちの勢力争いに巻き込まれていく。

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

虚ろな檻と翡翠の魔石

篠雨
BL
「本来の寿命まで、悪役の身体に入ってやり過ごしてよ」 不慮の事故で死んだ僕は、いい加減な神様の身勝手な都合により、異世界の悪役・レリルの器へ転生させられてしまう。 待っていたのは、一生を塔で過ごし、魔力を搾取され続ける孤独な日々。だが、僕を管理する強面の辺境伯・ヨハンが運んでくる薪や食事、そして不器用な優しさが、凍てついた僕の心を次第に溶かしていく。 しかし、穏やかな時間は長くは続かない。魔力を捧げるたびに脳内に流れ込む本物のレリルの記憶と領地を襲う未曾有の魔物の群れ。 「僕が、この場所と彼を守る方法はこれしかない」 記憶に翻弄され頭は混乱する中、魔石化するという残酷な決断を下そうとするが――。

【完結】最強公爵様に拾われた孤児、俺

福の島
BL
ゴリゴリに前世の記憶がある少年シオンは戸惑う。 目の前にいる男が、この世界最強の公爵様であり、ましてやシオンを養子にしたいとまで言ったのだから。 でも…まぁ…いっか…ご飯美味しいし、風呂は暖かい… ……あれ…? …やばい…俺めちゃくちゃ公爵様が好きだ… 前置きが長いですがすぐくっつくのでシリアスのシの字もありません。 1万2000字前後です。 攻めのキャラがブレるし若干変態です。 無表情系クール最強公爵様×のんき転生主人公(無自覚美形) おまけ完結済み

処理中です...