可愛くなりたい訳じゃない!

mana.

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「へぇ……名前…ですか。」

「うん、名前……っ…そこぉっ………あ゛ぁっ!」

アロマキャンドルが部屋に灯され……

「フフッ…ここも……っ…ですよね?」

ラリマーの手がうつ伏せになった俺の背中から腰を確かめる様にゆっくりと触る。

「うぁっ……んんっ!」

「クスクス…おかしいなぁ…そんな力入れてませんよ?」

「……だよ…っん……ねぇええんっっ⁈」

___ビクンッ!___

「ブフッ!……リオ様…感じ過ぎっ………グフッ…」

声だけ聞いたらめちゃくちゃ怪しいよな⁈
只今、マッサージオイルを手に付けたラリマーの施術を受けてます。

「だって…んっ…ちょっと押されただけで…ひゃ……変な変な…声出ちゃ……ぅんっ!」

「あ~、俺がマッサージするとこうなっちゃう人が多いんで気にしないで下さい…あ、でも…ちょっと…感じやすいのかな…っ。」

___ビクビクッ!___

「ひゃんっ!」

「ククッ…」

「………ラリマー…今のはワザとだろ……?」

「フフフッ…はい、ワザとです♡可愛らしくて♪」

……コイツ絶対にSっ気ある!

「クスクス。スミマセン、ワザとはもうしません。リオ様も悪いんですよ?恋人以外にそんな可愛らしいお顔を見せるのが悪い。」

「可愛らしい顔って…何だ…よ……っ…んんぅっ。」

「そのお顔です。」

だから、どんな顔だよっ!

「ほら、同じ力を入れてるのに段々と声も出ないし身体の力が抜けてきましたね…大分筋肉も解れてきたと思いますよ。」

あ、確かに。

「かなり色々と無茶をさせられてますねぇ……」

このまま寝そう…

「こことか…」

「んぅっ!」

「あ、こんなとことか。」

「あんっ!」

何事⁈一気に目が覚めた!

「グフッ…フフッ……ブッ…」

「……遠慮せず笑ったら良いじゃん。」

「ブッ…アッハハハハ!リオ様、本当に可愛らしい!」

「可愛い言うなぁっっ!」

「アハッ…すみま…せんっ…フフフッ…」

ひとしきり笑った後に再びマッサージが再開される。
マッサージ自体はかなり気持ち良いんだよなぁ…

「あの2人にも言いましたが、腰はとても大切です。でも、今日は揉み返しもあるのでこの辺で……」

……あれ…眠く…

「…おやすみ…」

ラリマーの声が遠くに響く。
目が覚めると俺はベッドの上にいた。


***************************



「あれ…俺、マッサージベッドで寝ちゃ………ん?」

目の前にベリルが寝てるけど…布団でグルグル巻きにされて…る?
これって…確か……そう、簀巻きだ!

「…スゥー…スゥゥゥ………」

…眠れるんだ…ちょっと怖い顔しながら寝てるけど…

「…スゥ…んっ……ぁ…リオ…」

「…おはよ、ベリル。」

「おは…あれ……んっ…あ゛ぁっ、何だこりゃあっ‼︎」

「ブフゥゥッッ‼︎」

簀巻きのベリルがピチピチしてるっ。
ダメだこれ、久々見たよっ…TVで見てたコントみたい!

「リオ…お前っ…昨日…っ…」

「アハハハッ!その状態で…その顔っ!」

キラキラした顔で…簀巻きぃ…っ!

「もうっ!何で解けねぇんだよっ‼︎」

ピチピチがビチビチになって面白さが倍増したぁ!

「アハハハハッ…し…死ぬ…っ…!」

___コンコン___

「失礼します。」

「あ、ラリマー。」

「おはようございます、リオ様。よく眠れたようですね。」

ベリルが朝の準備を持って来てくれた。

「昨日はあれから殿下にも施しましたからね。グッスリとお休みになられたので、リオ様の邪魔にならないように巻いときました☆」

「お前っ!」

「だって、筋肉解れていつもよりリラックスなお顔。身体から香る仄かなアロマオイル。殿下…我慢出来ないでしょ?」

「…うっ…でも、お前がリオをベッドに運んだんだろ?それは俺の役目だっ。」

「殿下も運びましたよ、お姫様抱っこで♡」
「ヤメロォッ、知りたくなかったわっっ‼︎」

「アハハ。では、解きましょうねぇ~」

ラリマーが笑いながら簀巻きを外す。

「…ふぅ…お前…ジルコンより俺の扱い酷くなってるぞ?」

「あれ、そうですか?」

「なぁ、俺もしてベリルもして…ジルコンにもしたの?」

「はい、もちろん。そしてオニキスにはしっかりと釘を刺した後、ドアの前に俺が護衛で立ってました♡」

…わぁ…オニキス眠れなかったんじゃないかな?

「マッサージはいつでもしますからね。言って下さい。」

「ありがとう。」

ラリマーって、結婚したらすごく良い旦那さんになりそうだよね。
でも昨日の感じでは…ちょっと心配な気もするけど。

「じゃぁ、朝食にしましょうか。ベッドで食べますか?」

「ううん、天気が良いし動けるからバルコニーが良いよ。」

「畏まりました。では、朝食の準備はバルコニーで取ることを他の者に伝えて来ますね。すぐに戻るので殿下やリオ様はお顔を洗って下さい。」

「「分かった。」」

ラリマーは言葉の通り、ドアの外にいる騎士に伝言を頼むとすぐに戻ってきて俺達の服の着替えを手伝ってくれた。
最近朝は筋肉痛でギシギシいう身体もマッサージのお陰か、少し軽い。

「では、そのままバルコニーへどうぞ。俺はそのままジルコン達の元へ行ってきます。」

昨日ジルコン達のドア前で護衛…寝てないよね?
何だか2組の世話を申し訳ないなぁ…

「フフ、大丈夫ですよ。王宮の勤務に比べれば、こういう給仕も楽しいです。それにこの後は少し仮眠を取りますのでご安心を。」

笑ってラリマーがそう言うと颯爽と部屋を出ていった。

「…凄いなぁ…ラリマー…」

___ギュッ___

「ん?」

「……ない…」

「どうした、ベリル?」

ベリルが後ろから抱き締めて首筋に顔を埋めた。

「…そんな目で俺を見てくれたこと…ない…」

どんな目⁈

「…んっ…くすぐったいよ…ベリルッ…」

「…俺もラリマーみたいになったら、そういう目で見てくれるのか?」

シュンとしたような、拗ねた子どものような目で俺を見詰めるベリル…

「フフッ…」

可愛いなぁ。

「しないよ。」

「えっ⁈」

「ベリルはベリルでしょ?ラリマーじゃない。」

俺はベリルの方へ体を向けた首に手を回した。

「俺は、色々とベリルのカッコイイ所も凄い所もたくさん学園でもここでも知ったよ?ラリマーにはない良さがあるのに、何で真似するの?」

「リオ…ッ!」

「きっとベリルがラリマーみたいだったら俺を弟みたいにしか思えなかっただろうし、俺も兄としてしか見れなかったよ。」

うん、ラリマーみたいな人って凄いし憧れるけど…恋人ってなると違う気がする。
俺には子どもっぽくて甘えん坊で…時々可愛い…俺の事になると暴走しちゃうこのベリルが良い。

「リオ…キスしたい…」

「うん、良いよ。」

腰をゆっくりと引き寄せられて俺もゆっくりと腕を回す。
ベリルに可愛いと連呼したらどうなるんだろうか…?
ちょっと、反応が怖いけど…今度やってみよう。

「…ん…ふっ…あっ…んぅ…ベリ……っ!」
「ん…リオ…ベッド…行こ……っっ‼︎」

ベリルにキスをされならベッドへ誘導され、ふと見えたベッドの上には……


___ 簀巻きセット ___


キチンと畳まれておりました。

「…ご飯食べよ?」
「……そうだな…」

俺達は大人しく朝食を食べにバルコニーへ行った。
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