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妖精の森へ行くとドライアドとハーピーが出迎えてくれた。
バラのことに関してはやっぱり切花ではなく鉢植えの花が良いらしい。
花も自分を愛でてくれる人になら切られるのも良いそうだが、ずっと一緒にいない森に置かれては嫌だと感じるだろうという判断だ。
『バラの品種については花の精霊から伝え聞いているわ。とても綺麗に改良したんですってね。人間の探究心は素晴らしいわ。』
「ドライアドは新しい花を作らないの?」
『私は自然に誕生して自然に変わっていくのを見守るだけよ。人間のように想像しながら創り上げるということは考えたことがないわね。』
「ハーピーはどう思う?」
『う~ん…私は楽しめたら良いかなぁ。あ、花びらだけになったら光は消えちゃうのかな?』
「こちらに伺う前に庭師に聞いた所、原種は花びらになると消えますが品種改良したものに関しては枯れるまで大丈夫だそうです。」
そう、これは品種改良で枯れにくくした上で花びらの照明など、インテリアにもできるように今後更に改良していきたいらしい。
『じゃあ、夜に花びらを私と精霊達の風でパァッ…って散らせたら…すっごく綺麗じゃないかな?お祭りの時にやったらすごく盛り上がると思うよ!』
『ウフフ、それは良いですね。』
確かに…夜桜の花吹雪みたいで綺麗なんだろうな。
「光輝く花びらが舞う中のリオか…フフッ…良いな…」
何が⁈
「そうだな…ジルコンの………っ……良い!」
「……お前…今何想像した。」
オニキスまで⁈
「沢山花びらいるんだな?絶対揃えるっ!」
「そうだな、何が何でも…うん、ロードに掛け合おう。」
色々と花びらの話で頷き合い盛り上がる2人、目が怖い。
『では、今日はオニキスは庭の場所を決めましょ。ベリル、一緒に選んであげて。』
「あぁ。」
『ジルコンとリオは今日は私とお話しましょ。』
『私もリオとおしゃべりしたい!』
『分かりました。じゃあ貴女には学園でのリオのお話も伺いましょう。』
『良いよ!』
俺達はその場に残り、ベリルとオニキスは光の精霊達に誘導されながらオニキスの妖精の庭にちょうど良い場所を探しに行った。
「ハァ…何か俺…オニキスのご両親に合わす顔がなくなってきた…アイツ…あんなだったか?」
「アハハ…ちょっと違うような…」
ここに来て色々な表情を見せてきているオニキス。
入学した頃はあんなに無表情だったのに、ジルコンを好きになってたくさんの表情を顔に出すようになったんだろうな。
確かに若干ベリルに感化されてるけど…あれが正解じゃないんだぞ、オニキス…ロードでもないけどな。
…アウィンとコーラル呼ぼうかな…あ、そうしたらアウィンも感化されるか…コーラルのためにもやめておこう。
『あら、何故?彼はあんなに良い子なのに。』
「違いますよ。元々良い子ですけど…何というか…思い込んだら一直線過ぎると言うか…」
『私、学園のオニキス見てたけど今の方が良いと思うよ?』
『普段の彼はどんな子なんですか?』
『ん~…動物に優しいよ、人間にもね。でも、どの子にもなの。人間って好きと嫌いってあるんでしょ?オニキスは…みんな大好き、みんな一緒。特別はないの。人間なのに不思議だね。』
『あら、そうなの?リオ。』
「あっ…うん、そうかも。オニキスって寡黙って言うか…俺達のこと大切にしてくれるし良いヤツだよ?ジルコンに会うまではみんなに優しくて…ただ、笑う時は今みたいに顔に出して笑わなかったんだよね。本人は楽しい…とは言ってたけど。」
常に冷静沈着で静かに微笑む。でも、ここに来てからは感情を表に出して、ジルコンの前ではコロコロと表情が変わる。
学生らしい新しいオニキスの顔。
『私が親なら…そうね…植物達にはたくさん太陽の光を浴びて、暗闇が必要な子達には温かな闇を感じて…生きることを楽しんでほしいわね。植物達は私の子どものようなものだもの。』
『私だって、子どもじゃないけどリオには生きることを楽しんでほしいよ!』
「ありがと、ハーピー。」
『ねぇ、リオ。早く私に名前を付けてよ。』
「名前?」
『うん、だってハーピーは私達風の使いはみんなハーピーだもん。私、リオの特別になりたい。』
『ウフフ。ハーピー様、言い方が違いますよ。『もっと、仲良くなりたい』です。ベリルにヤキモチ妬かれちゃいますよ?』
「え゛っ⁈」
『良いも~ん。負けないんだからっ!』
ハーピーが可愛くドヤ顔で答える。
…インコのドヤ顔、最強だな。あ、インコじゃないか。
『じゃあ、私も…ジルコンの『特別』になろうかしら?』
「貴女なら、喜んで。」
『ウフフ、分かってて言ってるわね。貴方とは良い契約ができそうだわ。そうだ、私も貴方に名前を決めてもらいましょう。』
ポンッと、両手を合わせてドライアドが嬉しそうに微笑む。
ドライアドは綺麗な姿をしているけど…恋人というより俺達の姉のような感じだもんな。オニキスはきっと妬かないだろう。
「ドライアドの名前…分かりました。」
名前…転生前の日本では名前には漢字で意味を込められている。
親が最初にする愛情表現の1つだ。
俺の…瑞希は…幸運に恵まれ、希望に満ち溢れた子でありますように…だったかな…
この世界は横文字。どういった名前にしようか…
『リオ、名前考えるの嫌?』
「あ、いや…嫌じゃないけど…責任重大だなっ…て、思って。」
『リオが考えてくれるから良いんだよ。難しく考えなくて良いよ。』
って、言ってもなぁ…転生前の日本人の考え方が残ってるしな。
「ん、ありがと。ちょっと考えてみる。」
『うん。楽しみにしてるね!』
___ポゥ…___
精霊の1つが囁くようにドライアドの光りと重なった。
『…あら、ありがとう…分かったわ。リオ、ジルコン、貴方達食事をしないでこちらに来たでしょ?ラリマーが貴方達を呼びにこちらに向かっているわ。今日は戻りなさい。』
「そうですね。今日は思った以上にスケジュールが回らなかった。明日はもう少し早く来ます。」
『そうだね、オニキスやベリルがそうさせてくれたらね。待ってるよ♪』
「…シメてでも来ます…」
『アハハ、ホントかなぁ。』
『ウフフ、難しいところね。頑張りなさい。』
2人にはお見通しなんだろうか…
俺達はオニキスとベリルに声を掛け、ドライアドとハーピーに挨拶をして別荘へと戻っていった。
バラのことに関してはやっぱり切花ではなく鉢植えの花が良いらしい。
花も自分を愛でてくれる人になら切られるのも良いそうだが、ずっと一緒にいない森に置かれては嫌だと感じるだろうという判断だ。
『バラの品種については花の精霊から伝え聞いているわ。とても綺麗に改良したんですってね。人間の探究心は素晴らしいわ。』
「ドライアドは新しい花を作らないの?」
『私は自然に誕生して自然に変わっていくのを見守るだけよ。人間のように想像しながら創り上げるということは考えたことがないわね。』
「ハーピーはどう思う?」
『う~ん…私は楽しめたら良いかなぁ。あ、花びらだけになったら光は消えちゃうのかな?』
「こちらに伺う前に庭師に聞いた所、原種は花びらになると消えますが品種改良したものに関しては枯れるまで大丈夫だそうです。」
そう、これは品種改良で枯れにくくした上で花びらの照明など、インテリアにもできるように今後更に改良していきたいらしい。
『じゃあ、夜に花びらを私と精霊達の風でパァッ…って散らせたら…すっごく綺麗じゃないかな?お祭りの時にやったらすごく盛り上がると思うよ!』
『ウフフ、それは良いですね。』
確かに…夜桜の花吹雪みたいで綺麗なんだろうな。
「光輝く花びらが舞う中のリオか…フフッ…良いな…」
何が⁈
「そうだな…ジルコンの………っ……良い!」
「……お前…今何想像した。」
オニキスまで⁈
「沢山花びらいるんだな?絶対揃えるっ!」
「そうだな、何が何でも…うん、ロードに掛け合おう。」
色々と花びらの話で頷き合い盛り上がる2人、目が怖い。
『では、今日はオニキスは庭の場所を決めましょ。ベリル、一緒に選んであげて。』
「あぁ。」
『ジルコンとリオは今日は私とお話しましょ。』
『私もリオとおしゃべりしたい!』
『分かりました。じゃあ貴女には学園でのリオのお話も伺いましょう。』
『良いよ!』
俺達はその場に残り、ベリルとオニキスは光の精霊達に誘導されながらオニキスの妖精の庭にちょうど良い場所を探しに行った。
「ハァ…何か俺…オニキスのご両親に合わす顔がなくなってきた…アイツ…あんなだったか?」
「アハハ…ちょっと違うような…」
ここに来て色々な表情を見せてきているオニキス。
入学した頃はあんなに無表情だったのに、ジルコンを好きになってたくさんの表情を顔に出すようになったんだろうな。
確かに若干ベリルに感化されてるけど…あれが正解じゃないんだぞ、オニキス…ロードでもないけどな。
…アウィンとコーラル呼ぼうかな…あ、そうしたらアウィンも感化されるか…コーラルのためにもやめておこう。
『あら、何故?彼はあんなに良い子なのに。』
「違いますよ。元々良い子ですけど…何というか…思い込んだら一直線過ぎると言うか…」
『私、学園のオニキス見てたけど今の方が良いと思うよ?』
『普段の彼はどんな子なんですか?』
『ん~…動物に優しいよ、人間にもね。でも、どの子にもなの。人間って好きと嫌いってあるんでしょ?オニキスは…みんな大好き、みんな一緒。特別はないの。人間なのに不思議だね。』
『あら、そうなの?リオ。』
「あっ…うん、そうかも。オニキスって寡黙って言うか…俺達のこと大切にしてくれるし良いヤツだよ?ジルコンに会うまではみんなに優しくて…ただ、笑う時は今みたいに顔に出して笑わなかったんだよね。本人は楽しい…とは言ってたけど。」
常に冷静沈着で静かに微笑む。でも、ここに来てからは感情を表に出して、ジルコンの前ではコロコロと表情が変わる。
学生らしい新しいオニキスの顔。
『私が親なら…そうね…植物達にはたくさん太陽の光を浴びて、暗闇が必要な子達には温かな闇を感じて…生きることを楽しんでほしいわね。植物達は私の子どものようなものだもの。』
『私だって、子どもじゃないけどリオには生きることを楽しんでほしいよ!』
「ありがと、ハーピー。」
『ねぇ、リオ。早く私に名前を付けてよ。』
「名前?」
『うん、だってハーピーは私達風の使いはみんなハーピーだもん。私、リオの特別になりたい。』
『ウフフ。ハーピー様、言い方が違いますよ。『もっと、仲良くなりたい』です。ベリルにヤキモチ妬かれちゃいますよ?』
「え゛っ⁈」
『良いも~ん。負けないんだからっ!』
ハーピーが可愛くドヤ顔で答える。
…インコのドヤ顔、最強だな。あ、インコじゃないか。
『じゃあ、私も…ジルコンの『特別』になろうかしら?』
「貴女なら、喜んで。」
『ウフフ、分かってて言ってるわね。貴方とは良い契約ができそうだわ。そうだ、私も貴方に名前を決めてもらいましょう。』
ポンッと、両手を合わせてドライアドが嬉しそうに微笑む。
ドライアドは綺麗な姿をしているけど…恋人というより俺達の姉のような感じだもんな。オニキスはきっと妬かないだろう。
「ドライアドの名前…分かりました。」
名前…転生前の日本では名前には漢字で意味を込められている。
親が最初にする愛情表現の1つだ。
俺の…瑞希は…幸運に恵まれ、希望に満ち溢れた子でありますように…だったかな…
この世界は横文字。どういった名前にしようか…
『リオ、名前考えるの嫌?』
「あ、いや…嫌じゃないけど…責任重大だなっ…て、思って。」
『リオが考えてくれるから良いんだよ。難しく考えなくて良いよ。』
って、言ってもなぁ…転生前の日本人の考え方が残ってるしな。
「ん、ありがと。ちょっと考えてみる。」
『うん。楽しみにしてるね!』
___ポゥ…___
精霊の1つが囁くようにドライアドの光りと重なった。
『…あら、ありがとう…分かったわ。リオ、ジルコン、貴方達食事をしないでこちらに来たでしょ?ラリマーが貴方達を呼びにこちらに向かっているわ。今日は戻りなさい。』
「そうですね。今日は思った以上にスケジュールが回らなかった。明日はもう少し早く来ます。」
『そうだね、オニキスやベリルがそうさせてくれたらね。待ってるよ♪』
「…シメてでも来ます…」
『アハハ、ホントかなぁ。』
『ウフフ、難しいところね。頑張りなさい。』
2人にはお見通しなんだろうか…
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