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第53話 黒豹
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──キキッー!
ブレーキ音の直後、車体はバランスを崩す。
幸い、衝突は免れたがバイクを避けた為、道路に倒れる単車。
その単車の下敷きになるように横たわっていたのはヘルメットを被った男女。
「……っあ、葵っ! だい、じょうぶか?」
「だ、いじょうぶ。蓮は?」
「俺も平気だ。これ……起こすぞ」
そこにいたのは蓮と葵だった。
2人は単車を起こすと状況を把握する。
この日、蓮と葵は学校帰りに倉庫へ向かう途中だった。
細い路地を走ってると路地裏から1台のバイクがノーブレーキで突っ込んできた。
蓮がとっさの判断でブレーキをかけ、ハンドルを切ったことにより、衝突は免れた。
「な、なんだ。お前らは」
2人がヘルメットを外すと路地裏から男達が姿を表す。
そして、4人の男に囲まれた葵と蓮。
「なんだ生きてるじゃん」
ヘルメットを被った男が口を開いた。
先程、蓮達の単車に突っ込んできた男だ。
「(くそっ……逃げるか。でも逃げた所で撒けるかわからねえ。また突っ込まれてもおかしくないか)」
蓮が大きく息を吐く。
「……葵、俺から離れるなよ」
「(俺が絶対こいつを守ってやる)」
そう決意した蓮は拳を握りしめる。
「(俺から離れるなよ……か。蓮1人でも4人倒せるかもしれない。けど、あたしはお荷物にはなりたくない)」
「ありがとう蓮。でも、大丈夫。あたしはこっちの2人をやるから。蓮はその2人をよろしく」
葵は俯いた顔を上げると左隣にいる蓮にそう告げた。
葵は蓮に背を向けると2人の男と向き合う。
1人はヘルメットを被ったバイクで突っ込んできた男。
もう1人は赤髪の男。
「は? え、すごっ!」
葵の言葉に驚き、振り返る蓮。
そこには葵の回し蹴りにより、体勢を崩した男がいた。
蓮は葵に背を向けると、目の前の男と向き合い、拳をぶつける。
その拳は相手に避けられ当たることはなかった。
すぐさま体勢を整える蓮。
相手の拳は全て避け、自分の拳を相手の頬にめり込ませる。
蓮の拳が男の頬にめり込み吹き飛んだ。
一方、葵は相手の攻撃を避け、もう1人の男の顔めがけて拳をぶつける。
それは無駄がなく、キレのあるしなやかな動き。
そのままの勢いで回し蹴りを決める葵。
回し蹴りをしたことにより、男のヘルメットが飛ぶ。
「え……あ、あの時の」
「ははっ……気づいたか」
「ん? 葵知り合い?」
男2人を倒した蓮が問いかける。
「あー転校初日にぶつかったスキンヘッド」
「ああ! なんか葵がスキンヘッドの男とぶつかって狙われてるから俺たちで守ろうってなった張本人か!」
「みたいだね。で、なんであたし達を狙ったの? いや、あたしか」
葵は鋭い目で男を睨みつける。
「嫌なんだよ! 俺たち男だけだったのに、急に女が転校してきたのが! だから痛い思いすれば辞めるかと思ったんだよ。だから……あの日、白狼の倉庫へ行った」
「は? お前黒豹か?」
男の言葉に反応したのは蓮だった。
その男は葵が初めて白狼の倉庫に来た時に乗り込んできた黒豹の1人だった。
ブレーキ音の直後、車体はバランスを崩す。
幸い、衝突は免れたがバイクを避けた為、道路に倒れる単車。
その単車の下敷きになるように横たわっていたのはヘルメットを被った男女。
「……っあ、葵っ! だい、じょうぶか?」
「だ、いじょうぶ。蓮は?」
「俺も平気だ。これ……起こすぞ」
そこにいたのは蓮と葵だった。
2人は単車を起こすと状況を把握する。
この日、蓮と葵は学校帰りに倉庫へ向かう途中だった。
細い路地を走ってると路地裏から1台のバイクがノーブレーキで突っ込んできた。
蓮がとっさの判断でブレーキをかけ、ハンドルを切ったことにより、衝突は免れた。
「な、なんだ。お前らは」
2人がヘルメットを外すと路地裏から男達が姿を表す。
そして、4人の男に囲まれた葵と蓮。
「なんだ生きてるじゃん」
ヘルメットを被った男が口を開いた。
先程、蓮達の単車に突っ込んできた男だ。
「(くそっ……逃げるか。でも逃げた所で撒けるかわからねえ。また突っ込まれてもおかしくないか)」
蓮が大きく息を吐く。
「……葵、俺から離れるなよ」
「(俺が絶対こいつを守ってやる)」
そう決意した蓮は拳を握りしめる。
「(俺から離れるなよ……か。蓮1人でも4人倒せるかもしれない。けど、あたしはお荷物にはなりたくない)」
「ありがとう蓮。でも、大丈夫。あたしはこっちの2人をやるから。蓮はその2人をよろしく」
葵は俯いた顔を上げると左隣にいる蓮にそう告げた。
葵は蓮に背を向けると2人の男と向き合う。
1人はヘルメットを被ったバイクで突っ込んできた男。
もう1人は赤髪の男。
「は? え、すごっ!」
葵の言葉に驚き、振り返る蓮。
そこには葵の回し蹴りにより、体勢を崩した男がいた。
蓮は葵に背を向けると、目の前の男と向き合い、拳をぶつける。
その拳は相手に避けられ当たることはなかった。
すぐさま体勢を整える蓮。
相手の拳は全て避け、自分の拳を相手の頬にめり込ませる。
蓮の拳が男の頬にめり込み吹き飛んだ。
一方、葵は相手の攻撃を避け、もう1人の男の顔めがけて拳をぶつける。
それは無駄がなく、キレのあるしなやかな動き。
そのままの勢いで回し蹴りを決める葵。
回し蹴りをしたことにより、男のヘルメットが飛ぶ。
「え……あ、あの時の」
「ははっ……気づいたか」
「ん? 葵知り合い?」
男2人を倒した蓮が問いかける。
「あー転校初日にぶつかったスキンヘッド」
「ああ! なんか葵がスキンヘッドの男とぶつかって狙われてるから俺たちで守ろうってなった張本人か!」
「みたいだね。で、なんであたし達を狙ったの? いや、あたしか」
葵は鋭い目で男を睨みつける。
「嫌なんだよ! 俺たち男だけだったのに、急に女が転校してきたのが! だから痛い思いすれば辞めるかと思ったんだよ。だから……あの日、白狼の倉庫へ行った」
「は? お前黒豹か?」
男の言葉に反応したのは蓮だった。
その男は葵が初めて白狼の倉庫に来た時に乗り込んできた黒豹の1人だった。
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