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6章。外れスキルで闘神を超えます
46話。追放された闘神の息子は、戦闘能力のない外れスキル【植物王】を極限まで進化させて闘神を超えます。その1
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大地が爆散し、クレイター状の深い穴が穿たれた。
ミュシャが【黒い聖域】(ダーク・サンクチュアリ)で、不可視の障壁を展開してくれていなかったら、余波で城壁が吹き飛んでいたかも知れない。
親父がこの吸血鬼少女を連れて来たのは、周囲に被害を出さないためでもあったらしい。
「まさか、神獣フェンリルの助力を得たとはいえ、この俺の攻撃力を上回るとはな……っ」
クレイターの中央には、身体のあちこちから血を流したズタボロの親父が立っていた。
俺たちの攻撃は、【雷神の鉄槌(トールハンマー)】を押し切って、甚大なダメージを親父に与えていた。
「やったよ、あるじ様!」
リルが勝利を確信して叫ぶ。
「いや、ダメだ……!」
親父が両足で地面に立っている限り、どれだけダメージを与えても無意味だ。できれば、この一撃で決着をつけたかったが……
「【雷槌(ミニョミエル)】よ、轟け!」
親父が【雷槌(ミニョミエル)】を掲げる。発生した眩い雷が、親父に吸収され、その肉体の傷がみるみるふさがっていく。
「なに、それ……」
さすがのリルも仰天していた。
「俺はこの力で、ヨルムンガンドと三日三晩飲まず食わずに戦い続けた。俺は決して倒れることはない!」
「まったく吸血鬼も顔負けの不死身っぷりだね」
ミュシャが肩を竦めた。
「マスターに誰も勝てない訳だね。無限に戦い続けられる。まさに化け物だよ」
「そうだ。だが、老いには勝てん。故に、後継者を必要とするのだ。世界最高の強者が集う俺の理想のギルド【神喰らう蛇】を存続させていくためにはな!」
親父が豪快に笑う。
「うんうん、【神喰らう蛇】は楽しいよ。私と遊んでも壊れないヤツがそろっているなんてさ。本当の意味での友達が見つかる場所だよね」
愉快そうにミュシャも同意した。
「神獣を心服させ、俺の攻撃力を上回ったお前こそ、やはり俺の跡を継ぐにふさわしい! もう一度言うぞ、アッシュ。【神喰らう蛇】に戻って、闘神を継げ! この俺が直々に鍛え直してやろう」
「それで……イエスと答えたら、コレットを見逃してくれるとでも言うのかよ?」
「それは無いな。お前にエルフ王になど、なられたら困る。それにお前もその娘を本心から愛している訳ではなかろう? 美しい娘が欲しければ、俺がいくらでも都合をつけてやる。【神喰らう蛇】のトップともなれば、女など選り取りみどりだぞ!」
「じゃあ、話にならねぇな。俺はコレットを守って謀反人を倒すと約束しているんだ」
俺は神剣ユグドラシル弐式を再度構えた。
「退かないってんなら、ぶっ倒すまでだ!」
「ほぅ?」
「ご主人様!」
コレットが感極まったような声を上げた。
コレットに対する感情が愛なのかはわからないが、俺はコレットには死んで欲しくなかった。
この娘は他人を思いやることのできる良いヤツなんだ。
俺はコレットにエルフの女王になって欲しい。そうすれば、人間とエルフの戦争など、もう起きないハズだ。
「見たところ神剣の力を引き出す代償として、かなりの生命力を消耗するようだな? おそらく【天羽々斬】(あめのはばきり)とやらを使えるのは、あと一発が限度だろう。それで、どうやって俺に勝つつもりだ?」
親父が嘲るように俺の欠点を指摘した。
「リルがいる! リルがあるじ様を守る!」
リルが親父を睨みつけるが、親父は余裕の表情を崩さない。
「神獣フェンリル。今のがお前の最強の攻撃なら、お前は俺の脅威足りえんな」
「……うっ」
リルが呻き声をもらした。リルにも親父の強さが、嫌というほど理解できるのだろう。
親父は自分の優位を信じて疑っていないようだった。
それなら……付け入る隙はある。
俺にはまだ試していない最後の手があった。親父から、かつて戦闘に役立たないゴミスキルだと言われた【植物王(ドルイドキング)】。このスキルの真の可能性に俺は気付いていた。
これが最後の勝負だ。外れスキル【植物王(ドルイドキング)】で、俺は闘神を超える!
ミュシャが【黒い聖域】(ダーク・サンクチュアリ)で、不可視の障壁を展開してくれていなかったら、余波で城壁が吹き飛んでいたかも知れない。
親父がこの吸血鬼少女を連れて来たのは、周囲に被害を出さないためでもあったらしい。
「まさか、神獣フェンリルの助力を得たとはいえ、この俺の攻撃力を上回るとはな……っ」
クレイターの中央には、身体のあちこちから血を流したズタボロの親父が立っていた。
俺たちの攻撃は、【雷神の鉄槌(トールハンマー)】を押し切って、甚大なダメージを親父に与えていた。
「やったよ、あるじ様!」
リルが勝利を確信して叫ぶ。
「いや、ダメだ……!」
親父が両足で地面に立っている限り、どれだけダメージを与えても無意味だ。できれば、この一撃で決着をつけたかったが……
「【雷槌(ミニョミエル)】よ、轟け!」
親父が【雷槌(ミニョミエル)】を掲げる。発生した眩い雷が、親父に吸収され、その肉体の傷がみるみるふさがっていく。
「なに、それ……」
さすがのリルも仰天していた。
「俺はこの力で、ヨルムンガンドと三日三晩飲まず食わずに戦い続けた。俺は決して倒れることはない!」
「まったく吸血鬼も顔負けの不死身っぷりだね」
ミュシャが肩を竦めた。
「マスターに誰も勝てない訳だね。無限に戦い続けられる。まさに化け物だよ」
「そうだ。だが、老いには勝てん。故に、後継者を必要とするのだ。世界最高の強者が集う俺の理想のギルド【神喰らう蛇】を存続させていくためにはな!」
親父が豪快に笑う。
「うんうん、【神喰らう蛇】は楽しいよ。私と遊んでも壊れないヤツがそろっているなんてさ。本当の意味での友達が見つかる場所だよね」
愉快そうにミュシャも同意した。
「神獣を心服させ、俺の攻撃力を上回ったお前こそ、やはり俺の跡を継ぐにふさわしい! もう一度言うぞ、アッシュ。【神喰らう蛇】に戻って、闘神を継げ! この俺が直々に鍛え直してやろう」
「それで……イエスと答えたら、コレットを見逃してくれるとでも言うのかよ?」
「それは無いな。お前にエルフ王になど、なられたら困る。それにお前もその娘を本心から愛している訳ではなかろう? 美しい娘が欲しければ、俺がいくらでも都合をつけてやる。【神喰らう蛇】のトップともなれば、女など選り取りみどりだぞ!」
「じゃあ、話にならねぇな。俺はコレットを守って謀反人を倒すと約束しているんだ」
俺は神剣ユグドラシル弐式を再度構えた。
「退かないってんなら、ぶっ倒すまでだ!」
「ほぅ?」
「ご主人様!」
コレットが感極まったような声を上げた。
コレットに対する感情が愛なのかはわからないが、俺はコレットには死んで欲しくなかった。
この娘は他人を思いやることのできる良いヤツなんだ。
俺はコレットにエルフの女王になって欲しい。そうすれば、人間とエルフの戦争など、もう起きないハズだ。
「見たところ神剣の力を引き出す代償として、かなりの生命力を消耗するようだな? おそらく【天羽々斬】(あめのはばきり)とやらを使えるのは、あと一発が限度だろう。それで、どうやって俺に勝つつもりだ?」
親父が嘲るように俺の欠点を指摘した。
「リルがいる! リルがあるじ様を守る!」
リルが親父を睨みつけるが、親父は余裕の表情を崩さない。
「神獣フェンリル。今のがお前の最強の攻撃なら、お前は俺の脅威足りえんな」
「……うっ」
リルが呻き声をもらした。リルにも親父の強さが、嫌というほど理解できるのだろう。
親父は自分の優位を信じて疑っていないようだった。
それなら……付け入る隙はある。
俺にはまだ試していない最後の手があった。親父から、かつて戦闘に役立たないゴミスキルだと言われた【植物王(ドルイドキング)】。このスキルの真の可能性に俺は気付いていた。
これが最後の勝負だ。外れスキル【植物王(ドルイドキング)】で、俺は闘神を超える!
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