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2章。500人の美少女から溺愛される
23話。イルティアに身代わりになってもらう
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「はい。ルカ様の聖剣にもアビリティが宿っているのは間違いないでしょう」
イルティアが太鼓判を押す。
だが、ステータスウィンドウを見ても、聖剣のアビリティは確認できなかった。
「まだ発現していない? ボクが聖剣に認められていない、ということか……」
「何か条件があるものと思われます。ルカ様は女神から選ばれた、この世で最も偉大なお方ですから。いずれアビリティを得ることは間違いありません」
肩を落とすと、イルティアに励まされた。
よく考えてみれば悪い話ではない。
ボクの聖剣の攻撃力は、驚愕の1万オーバーだ。
一般的に流通しているブロードソードの攻撃力は50くらい。もはや比較にならない力だった。
この先、アビリティまで加わるとなれば、まさに史上最強の武器となるだろう。
「それじゃ、そろそろ朝ご飯にしようか」
「はい、待ってました!」
イルティアが呼び鈴で侍女を呼びつける。すると侍女たちが、すぐに朝食を部屋に運んできてくれた。
竈から出されたばかりのこんがり焼けたパンが、編みカゴにいくつも盛られている。カリカリのベーコンと色とりどりの野菜サラダ、みずみずしい果物が食卓を彩った。
水差しには、新鮮な牛乳や果実水が、なみなみと満たされている。
ボクのお腹の虫が、思い出したように空腹を訴えた。
重要な話があると言って、侍女たちには退出してもらう。
王女様の食卓に給仕役がいないのは、あり得ないことだと言われたが、奴隷のイルティアにやってもらうと断った。
「うまっい!」
チーズを乗せてパンを齧ると、これが絶品だった。
今度はこっちのジャムを試してみようと、連続で頬張ってしまう。
王女がこんな食べ方をしていたら、眉をひそめられてしまうだろうが、気にする必要はない。
食卓を囲んでいるのは、ボクとエリザと、イルティアだけだ。
素の自分でいられるのは、すばらしいことだった。
ボクが牛乳を飲み干すと、イルティアがすぐに、コップに新しい牛乳を注いでくれる。手が届かない位置にある果物などは、視線を送るだけで、イルティアが皿を掴んで渡してくれた。
彼女はボクの挙動に注意を払い、笑顔でかいがいしく世話をしてくれる。
「そのお姿を拝見すると、ルカ様はやはり王女ではないのだと、実感させられます」
エリザが面食らって言う。
王女なのは外見だけです。
「しかし、今後は宮廷作法を身に着けていただかなくては。王女として振る舞うには困ってしまいますね」
「そうだけど……公の場に出る必要がある時は、なるべくイルティアに身代わりになってもらおうと思う」
堅苦しい宮廷作法を学ぶなど、考えただけでも胃が痛くなる。
テーブルマナーくらいはできた方が良いかも知れないが。
「はっ! お任せください。まずは外交によって、ルカ様に味方する貴族を増やしてご覧にいれましょう!」
イルティアが自分を売り込むかのように言い放った。
「それがよろしいかと。勇者であり、次期、女王であられるお方が、公然と反旗を翻したとなれば、この国の半分の貴族は取り込めるでしょう。さすれば、国王陛下の打倒も容易ですが……
問題は貴族たちに、どのような餌をちらつかせるかですね。
ルカ様はこの国を共和制にすると、すでに公言してしまわれました。貴族たちは、体制が変って既得権が失われるとなれば、決してこちらに味方しないでしょう」
エリザが思案顔をする。
そんな深いところまで考えていなかったので、ボクも困ってしまう。
貴族社会や政治のことなど、まったくわからない。
「ふっ、簡単です。貴族どもには、今回の反乱でルカ様に味方したら、領地を増やすと公約すれば良いのです。
あくまで共和制への移行は民衆の支持を集めるための方便だと説明します。お父様が私ではなく、弟のエリオットに王位を譲ろうと画策しているとデマを流し、正当な王位の回復に協力しなさい。と命令すれば、奴らは喜んで尻尾を振ってくるでしょう」
「既得権はそのままで、ボクの味方になった者の領地は増やす。と言うんだね?」
「その通りです。貴族どもは損得勘定で生きていますからね。いち早く忠誠を示せば、ルカ様の統治下で、うまい汁が吸えると思わせるのです。ルカ様が実際に王位についてしまえば、邪魔になった者を何か理由をつけて切り捨てるのも容易。いかようにもなります」
イルティアは悪の女王のような邪悪な笑みを見せた。
「戦わずして勝つことこそ兵法の極意。良い策だと思います」
エリザが賛同する。
「改革は王位についてから、ということか……」
ボクは女王になるつもりなどないが、貴族たちを味方にするためには、王位を奪うのが目的だと告げた方が効果的だと思う。
実際に共和制に移行することになったら、多少揉めるだろうが、所領が守られるのであれば、貴族たちも不満を持ちにくいだろう。
なにより、無駄な血を流すのは避けたい。
「まずは北側諸侯どもを偉大なる我が主、ルカ様の足元にひれ伏せさせてご覧に入れましょう! このイルティアにご命令ください!」
イルティアが太鼓判を押す。
だが、ステータスウィンドウを見ても、聖剣のアビリティは確認できなかった。
「まだ発現していない? ボクが聖剣に認められていない、ということか……」
「何か条件があるものと思われます。ルカ様は女神から選ばれた、この世で最も偉大なお方ですから。いずれアビリティを得ることは間違いありません」
肩を落とすと、イルティアに励まされた。
よく考えてみれば悪い話ではない。
ボクの聖剣の攻撃力は、驚愕の1万オーバーだ。
一般的に流通しているブロードソードの攻撃力は50くらい。もはや比較にならない力だった。
この先、アビリティまで加わるとなれば、まさに史上最強の武器となるだろう。
「それじゃ、そろそろ朝ご飯にしようか」
「はい、待ってました!」
イルティアが呼び鈴で侍女を呼びつける。すると侍女たちが、すぐに朝食を部屋に運んできてくれた。
竈から出されたばかりのこんがり焼けたパンが、編みカゴにいくつも盛られている。カリカリのベーコンと色とりどりの野菜サラダ、みずみずしい果物が食卓を彩った。
水差しには、新鮮な牛乳や果実水が、なみなみと満たされている。
ボクのお腹の虫が、思い出したように空腹を訴えた。
重要な話があると言って、侍女たちには退出してもらう。
王女様の食卓に給仕役がいないのは、あり得ないことだと言われたが、奴隷のイルティアにやってもらうと断った。
「うまっい!」
チーズを乗せてパンを齧ると、これが絶品だった。
今度はこっちのジャムを試してみようと、連続で頬張ってしまう。
王女がこんな食べ方をしていたら、眉をひそめられてしまうだろうが、気にする必要はない。
食卓を囲んでいるのは、ボクとエリザと、イルティアだけだ。
素の自分でいられるのは、すばらしいことだった。
ボクが牛乳を飲み干すと、イルティアがすぐに、コップに新しい牛乳を注いでくれる。手が届かない位置にある果物などは、視線を送るだけで、イルティアが皿を掴んで渡してくれた。
彼女はボクの挙動に注意を払い、笑顔でかいがいしく世話をしてくれる。
「そのお姿を拝見すると、ルカ様はやはり王女ではないのだと、実感させられます」
エリザが面食らって言う。
王女なのは外見だけです。
「しかし、今後は宮廷作法を身に着けていただかなくては。王女として振る舞うには困ってしまいますね」
「そうだけど……公の場に出る必要がある時は、なるべくイルティアに身代わりになってもらおうと思う」
堅苦しい宮廷作法を学ぶなど、考えただけでも胃が痛くなる。
テーブルマナーくらいはできた方が良いかも知れないが。
「はっ! お任せください。まずは外交によって、ルカ様に味方する貴族を増やしてご覧にいれましょう!」
イルティアが自分を売り込むかのように言い放った。
「それがよろしいかと。勇者であり、次期、女王であられるお方が、公然と反旗を翻したとなれば、この国の半分の貴族は取り込めるでしょう。さすれば、国王陛下の打倒も容易ですが……
問題は貴族たちに、どのような餌をちらつかせるかですね。
ルカ様はこの国を共和制にすると、すでに公言してしまわれました。貴族たちは、体制が変って既得権が失われるとなれば、決してこちらに味方しないでしょう」
エリザが思案顔をする。
そんな深いところまで考えていなかったので、ボクも困ってしまう。
貴族社会や政治のことなど、まったくわからない。
「ふっ、簡単です。貴族どもには、今回の反乱でルカ様に味方したら、領地を増やすと公約すれば良いのです。
あくまで共和制への移行は民衆の支持を集めるための方便だと説明します。お父様が私ではなく、弟のエリオットに王位を譲ろうと画策しているとデマを流し、正当な王位の回復に協力しなさい。と命令すれば、奴らは喜んで尻尾を振ってくるでしょう」
「既得権はそのままで、ボクの味方になった者の領地は増やす。と言うんだね?」
「その通りです。貴族どもは損得勘定で生きていますからね。いち早く忠誠を示せば、ルカ様の統治下で、うまい汁が吸えると思わせるのです。ルカ様が実際に王位についてしまえば、邪魔になった者を何か理由をつけて切り捨てるのも容易。いかようにもなります」
イルティアは悪の女王のような邪悪な笑みを見せた。
「戦わずして勝つことこそ兵法の極意。良い策だと思います」
エリザが賛同する。
「改革は王位についてから、ということか……」
ボクは女王になるつもりなどないが、貴族たちを味方にするためには、王位を奪うのが目的だと告げた方が効果的だと思う。
実際に共和制に移行することになったら、多少揉めるだろうが、所領が守られるのであれば、貴族たちも不満を持ちにくいだろう。
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