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2章。500人の美少女から溺愛される
28話。美少女の領主様に愛の告白をされる
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「ところでルカお姉様。折り入ってお願いしたいことがあるんですが?」
かすかな湯気を上げる焼き立てパンを手に取ったミリアが、顔を赤らめながら告げた。
神殿から戻ったボクは、領主であるミリアと夕食を取っていた。
「……えっと、なんでしょうか?」
肉汁の滴る分厚いステーキに舌鼓を打っていたボクは、ドキリとして答える。
領主様と歓談するなど、場馴れしていないボクには、神経をすり減らすことだった。
ミリアは【鑑定】という手に触れた物の価値を見抜き、情報を読み取るスキルを持っていた。
並べられた贅沢な料理の数々は、ミリアがボクをもてなそうと【鑑定】スキルを使って自ら吟味した最高食材を使って作られたものだ。
テーブルマナーに不安があるので、イルティアにミリアとの会食を代わってもらうことも考えたが……
領主様自らがボクをもてなそうと骨を折ってくれた訳だし、ミリアとはすでに面識がある。
王女ルカの性格がコロコロ変わったら、怪しまれると思って、自分で対応することにしたのだ。
「お姉様の護衛士のルカ。そ、そうルカに、この恋文を届けていただけないでしょか!?」
「……はあっ?」
ミリアが手紙を取り出して、ボクに渡してきた。
はい。確かに受け取りましたが……
「じ、実は、以前、公爵家の使用人に化けた魔物に襲われたことがありまして! その時、ルカに助けてもらったんです! ご、ごめんなさい、お姉様を呼び捨てにするような感じになってしまって!」
耳まで真っ赤になったミリアは、照れ隠しか手をバタバタと振る。
魔物の中には人間そっくりに変化して、都市内に入り込む者もいた。ボクの【変身】スキルの劣化版のような能力の持ち主だ。
魔王軍に包囲され、都市防衛に兵力を裂かねばならなくなったため、領主の護衛は手薄となっていた。そこを公爵家の者に化けた魔物が襲ってきたのだ。
だが、たまたま居合わせたボクがミリアを守った。
剣術の修行を欠かさず続けていて、本当に良かったと思う。
「私、今回のことで、わかったんです! 人間、いつ死ぬかわからない。だから、なるべく正直に生きようって! 平民に恋するなんて、おかしいと思われるかも知れませんが……どうかお姉様、応援してください!」
まさか美少女の領主様から愛の告白をされるとは思っておらず、ボクの頭は真っ白になってしまった。
ミリアもまさか目の前にいる王女が想い人のルカだとは、思いもしないだろう。
「う、うん……なんと答えたら良いか。ありがとうございます。とてもうれしいのですけど、身分違いですし……」
「身分違いは百も承知なんですよ! お姉様!」
ミリアにかわいい顔でグイっと迫って来られて、ボクは慌てて弁明する。
「はあっ。し、しかしですね。彼には、いろいろあって暇を取らせました……! なので、応援するというのは難しいです!」
「そ、そんなぁ……」
ミリアはがっくりと肩を落とした。
「この手紙は預かっておきますので。気落ちされずに。彼の知り合いを通して、届けさせます」
手紙の内容については、かなり気になる。
女の子から恋文なんてもらうのは、生まれて初めてだ。
これは……あとで、じっくり読もう。
家宝として未来永劫、大事に取っておこう。
「お姉様! 疑問に思っていたのですが、どうして突然ルカに改名されたのですか!? 偽物が現れたこともあって、大混乱になっていますよ! ま、まさかとは思いますが……彼に何か特別な感情を持たれていたんじゃ、ありませんよね!?」
ミリアが噛み付くような勢いでテーブルを叩いた。
「いや、それは絶対にないんで!」
「それじゃ、なぜですか!? ぐぅうう……無礼を承知でお聞きします!」
「う、生まれ変わろうという決意の現れというだけで。アルビオン王家に反逆するわけですし……初代勇者の名にあやかった以上の深い意味はないです。ホントです!」
なんでボクが、ボクのことを好きかもしれないという理由で嫉妬されなくてはならないのか、わけがわからない。
「ミリア様、ご安心を! ……ルカ姫様に近づく悪い虫は、このエリザがすべて叩き斬ってやります!」
ボクの護衛役として、後ろに控えていたエリザが威勢よく宣言する。
「そ、それはいくら何でもやりすぎでは?」
「ルカ姫様は、女神ネーノイス様に純潔を誓われた聖女。いつまでも清らかな身であらねばなりません!
男など、絶対に近づけさせません! 騎士の名にかけて誓います!」
「わかりました、お姉様! 私はお姉様を信じます!」
ボクはほっと胸をなでおろした。
エリザが穏やかではないことを言っていたが、この場をやり過ごせたので、まあ良しとしよう。
「では、ふたつ目のお願いです。今日は一緒に寝ましょう、お姉様!」
「はぁ!?」
思わず口から心臓が飛び出そうになった。
かわいい女の子と寝室を共にするなんて、想像しただけで理性が蒸発してしまう。
しかも、ミリアには恋文を渡されたばかりだ。意識しすぎて、眠れなくなってしまうだろう。
「魔王領での冒険譚をいっぱい聞かせて欲しいです! むろん、彼のことも!」
「こ、この際、ハッキリ言っておこうと思いますけど。ボクは男性にはまったく興味ないんです! むしろ、女の子が大好きで、ミリアみたいなかわいい娘と一緒に寝たら、興奮で鼻血が出てしまいそうになるんで、絶対にお断りします!」
ボクが大声を上げてカミングアウトすると、ミリアは目を瞬いた。
同性愛者の変な女だとか思われたかも知れないが。
これでミリアの疑惑は払拭できるし、一緒に寝るなんて事態も回避できるだろう。
「え、えっと? よくわかりませんが、仲の良い姉妹が一緒に寝て、何か問題があるんでしょうか?」
「そ、それはないかも知れませんが……」
そう言われてしまうと反論のしようもない。
困っていると、ミリアが席を立ってボクにギュッと抱きついてきた。
え? おっ、おい……
少女の温もりを感じ、ボクは息を飲む。
「うわぁ。ルカお姉様って、お花みたいな、とっても良い匂いがしますね。大好きです!」
ミリアはうっとりと目を細めて幸せそうにつぶやく。
その一瞬、彼女は何かに驚いた顔をした。それはすぐに笑顔に覆い隠されてしまう。
「……今夜はふたりで同じベッドの中で、ゆっくり語り合いましょうね! お姉様とお話したいことが、いっぱいあるんです!」
かすかな湯気を上げる焼き立てパンを手に取ったミリアが、顔を赤らめながら告げた。
神殿から戻ったボクは、領主であるミリアと夕食を取っていた。
「……えっと、なんでしょうか?」
肉汁の滴る分厚いステーキに舌鼓を打っていたボクは、ドキリとして答える。
領主様と歓談するなど、場馴れしていないボクには、神経をすり減らすことだった。
ミリアは【鑑定】という手に触れた物の価値を見抜き、情報を読み取るスキルを持っていた。
並べられた贅沢な料理の数々は、ミリアがボクをもてなそうと【鑑定】スキルを使って自ら吟味した最高食材を使って作られたものだ。
テーブルマナーに不安があるので、イルティアにミリアとの会食を代わってもらうことも考えたが……
領主様自らがボクをもてなそうと骨を折ってくれた訳だし、ミリアとはすでに面識がある。
王女ルカの性格がコロコロ変わったら、怪しまれると思って、自分で対応することにしたのだ。
「お姉様の護衛士のルカ。そ、そうルカに、この恋文を届けていただけないでしょか!?」
「……はあっ?」
ミリアが手紙を取り出して、ボクに渡してきた。
はい。確かに受け取りましたが……
「じ、実は、以前、公爵家の使用人に化けた魔物に襲われたことがありまして! その時、ルカに助けてもらったんです! ご、ごめんなさい、お姉様を呼び捨てにするような感じになってしまって!」
耳まで真っ赤になったミリアは、照れ隠しか手をバタバタと振る。
魔物の中には人間そっくりに変化して、都市内に入り込む者もいた。ボクの【変身】スキルの劣化版のような能力の持ち主だ。
魔王軍に包囲され、都市防衛に兵力を裂かねばならなくなったため、領主の護衛は手薄となっていた。そこを公爵家の者に化けた魔物が襲ってきたのだ。
だが、たまたま居合わせたボクがミリアを守った。
剣術の修行を欠かさず続けていて、本当に良かったと思う。
「私、今回のことで、わかったんです! 人間、いつ死ぬかわからない。だから、なるべく正直に生きようって! 平民に恋するなんて、おかしいと思われるかも知れませんが……どうかお姉様、応援してください!」
まさか美少女の領主様から愛の告白をされるとは思っておらず、ボクの頭は真っ白になってしまった。
ミリアもまさか目の前にいる王女が想い人のルカだとは、思いもしないだろう。
「う、うん……なんと答えたら良いか。ありがとうございます。とてもうれしいのですけど、身分違いですし……」
「身分違いは百も承知なんですよ! お姉様!」
ミリアにかわいい顔でグイっと迫って来られて、ボクは慌てて弁明する。
「はあっ。し、しかしですね。彼には、いろいろあって暇を取らせました……! なので、応援するというのは難しいです!」
「そ、そんなぁ……」
ミリアはがっくりと肩を落とした。
「この手紙は預かっておきますので。気落ちされずに。彼の知り合いを通して、届けさせます」
手紙の内容については、かなり気になる。
女の子から恋文なんてもらうのは、生まれて初めてだ。
これは……あとで、じっくり読もう。
家宝として未来永劫、大事に取っておこう。
「お姉様! 疑問に思っていたのですが、どうして突然ルカに改名されたのですか!? 偽物が現れたこともあって、大混乱になっていますよ! ま、まさかとは思いますが……彼に何か特別な感情を持たれていたんじゃ、ありませんよね!?」
ミリアが噛み付くような勢いでテーブルを叩いた。
「いや、それは絶対にないんで!」
「それじゃ、なぜですか!? ぐぅうう……無礼を承知でお聞きします!」
「う、生まれ変わろうという決意の現れというだけで。アルビオン王家に反逆するわけですし……初代勇者の名にあやかった以上の深い意味はないです。ホントです!」
なんでボクが、ボクのことを好きかもしれないという理由で嫉妬されなくてはならないのか、わけがわからない。
「ミリア様、ご安心を! ……ルカ姫様に近づく悪い虫は、このエリザがすべて叩き斬ってやります!」
ボクの護衛役として、後ろに控えていたエリザが威勢よく宣言する。
「そ、それはいくら何でもやりすぎでは?」
「ルカ姫様は、女神ネーノイス様に純潔を誓われた聖女。いつまでも清らかな身であらねばなりません!
男など、絶対に近づけさせません! 騎士の名にかけて誓います!」
「わかりました、お姉様! 私はお姉様を信じます!」
ボクはほっと胸をなでおろした。
エリザが穏やかではないことを言っていたが、この場をやり過ごせたので、まあ良しとしよう。
「では、ふたつ目のお願いです。今日は一緒に寝ましょう、お姉様!」
「はぁ!?」
思わず口から心臓が飛び出そうになった。
かわいい女の子と寝室を共にするなんて、想像しただけで理性が蒸発してしまう。
しかも、ミリアには恋文を渡されたばかりだ。意識しすぎて、眠れなくなってしまうだろう。
「魔王領での冒険譚をいっぱい聞かせて欲しいです! むろん、彼のことも!」
「こ、この際、ハッキリ言っておこうと思いますけど。ボクは男性にはまったく興味ないんです! むしろ、女の子が大好きで、ミリアみたいなかわいい娘と一緒に寝たら、興奮で鼻血が出てしまいそうになるんで、絶対にお断りします!」
ボクが大声を上げてカミングアウトすると、ミリアは目を瞬いた。
同性愛者の変な女だとか思われたかも知れないが。
これでミリアの疑惑は払拭できるし、一緒に寝るなんて事態も回避できるだろう。
「え、えっと? よくわかりませんが、仲の良い姉妹が一緒に寝て、何か問題があるんでしょうか?」
「そ、それはないかも知れませんが……」
そう言われてしまうと反論のしようもない。
困っていると、ミリアが席を立ってボクにギュッと抱きついてきた。
え? おっ、おい……
少女の温もりを感じ、ボクは息を飲む。
「うわぁ。ルカお姉様って、お花みたいな、とっても良い匂いがしますね。大好きです!」
ミリアはうっとりと目を細めて幸せそうにつぶやく。
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