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2章。500人の美少女から溺愛される
29話。美少女の領主様に正体がバレて。結婚して欲しいと言われる。
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「お姉様! 失礼とは思いましたが、ステータスを確認させていただきました。【変身】【コピー復元】って、なんですか!?」
部屋に突入してきたミリアが、開口一番、ボクに問いただしてきた。
「なぜそれを……!?」
ボクは屋根裏部屋のベッドに腰掛け、ミリアからもらった恋文を読んでいた。
『助けていただいた日から、ルカ様のことが忘れられません。まずはお友達としてでも良いので、時々会っていただけないでしょうか? だ、だ、だ、大好きです!』
といった内容が、かわいらしい文字で書かれていた。
うれしすぎて、大悶絶級だった。
とはいえ、ミリアと正体を隠したまま寝室を共にすることなどできない。
ボクはイルティアと入れ代わり、奴隷イルティア用に宛てがわれた、屋根裏部屋で寝ることにしたのだが……
「私が女神様からもらったスキル【鑑定】は、物の価値を見抜くだけじゃないんです! 秘密にしていましたが、実は触れた人間のステータスも閲覧することができるんです!」
「そんな反則でしょ!?」
本来、他人のステータスを覗き見することはできない。
能力値やどんなスキルや魔法を習得しているかは、重要な個人情報だ。
高名な冒険者の中には、敵に対策されることを恐れて、自分のスキルの本当の力を伏せている者もいる。
ミリアはスキルの真価を隠すことで、他者に対する圧倒的優位性を得ていたようだ。
領主だけあって、知恵の回る娘らしい。
「やっぱり! 奴隷のあっちが本物のイルティアお姉様だったのね。再会した時、あまりに謙虚で可憐になられていたので、おかしいとは感じていたわ」
「……うっ!?」
「あなたは【変身】スキルでイルティアお姉様に変身した別人。でも、魔王軍に打ち勝ち、女神様から究極の聖剣を与えられた勇者であるもの事実……何者ですか!?」
決然とした目で睨まれて、ボクは言葉に詰まった。
どうやらミリアは、イルティアにも触れてステータスをチェックしてきたようだ。ステータスにはスキルやクラスだけでなく、名前も表示されるので、いかに外見が同じでも見分けがつく。
ミリアは晩餐を共にしたボクこそ偽物であると、完全に確信していた。
ここで対応を誤ると、まずいことになるだろう。
まずは、と、とにかく落ち着こう……
もしミリアがボクを偽の王女だと追求するのが目的なら、ボクが大勢の前で、王女として振る舞っているタイミングで行っただろう。
それにイルティアと対決した際、ミリアはボクこそ本物の王女だと宣言してくれた。ボクの正体に多少なりとも疑問を感じた上で、味方してくれたのだ。
ボクは正直に話すことにした。
「ご、ごめんなさい。ミリア様。ボクは王女の護衛士のルカです。【変身】スキルでイルティアの身代わりになって、魔王軍と戦ったんです」
「ま、まさかとは思ったけど……あ、あなた、ルカなの!?」
想い人がボクだと知って、ミリアは口をあんぐりと開けた。
その顔は、驚愕と恥ずかしさからか、茹でたように赤くなっている。
「はい。ボクは勇者であって王女ではありません。女神様は、もはや聖なる血筋を伝える王家こそが人々の敵だと、おっしゃっていたので。
イルティアは王女であって勇者ではない、ということですね」
王家の者が勇者となってきた歴史からすれば、異常事態だ。
「な、なるほど……女神様は自らが創造されたエルフの王国が侵略されたこと。相当、お怒りになられたようね」
ミリアはまだ衝撃から立ち直れないようで、若干、声をつまらせている。
「それにしても、あなた。かなり厄介な呪いをかけられているわね。その腕輪の効果。オーダンが他の勢力に陥落させられたら、あなたは命を絶たれるのでしょう? イルティアお姉様がつけた枷ね」
ミリアがボクの右手の腕輪に視線を投げた。
「詳細な条件は、都市内に敵勢力が侵入し、領主を殺す。あるいは都市の抵抗を完全に抑えこんだら、陥落とみなされるようね。
あなたの【コピー復元】は、不老不死になるといっても生命力(HP)を無限回復するタイプ。呪いのような即死攻撃を防ぐことはできないみたいね」
「そんなことまで、わかるんですか!?」
領主を殺すのが、呪いの発動条件?
だとしたら、ボクを倒すために国王はいずれミリアを狙ってくるだろう。
「この腕輪を外す方法はないのでしょうか? 例えば、聖剣で壊したりしたらどうなりますか?
呪いをかけたイルティア本人にも解呪方法がわからないようなんです」
ミリアの【鑑定】スキルなら、呪いを解く方法がわかるのではないかと、一縷の望みをかけて尋ねた。
「無理やり壊したりすると、すぐさま呪いが発動するから絶対にダメよ!
魔王が作ったアイテムみたいだから、ふつうの解呪魔法なんかは受け付けないみたいね……」
ミリアは顔を曇らせる。
「ミリア様、どうかボクにこれからも力を貸していただけないでしょうか? 今の王家は、エルフ王国を不当に蹂躙したり、魔王の財宝目当てで戦争を起こして、民を平気で見捨てるような連中です。
ボクは国王を倒したいと思っています」
「あなたに喜んで協力したいと言いたいところだけど……条件があるわ」
ミリアはそこで言葉を切って、ボクをじっと見つめた。
一体なんだろう? 緊張にボクはツバを飲み込む。
「今日からルカお姉様は私だけのお姉様! 私のフィアンセということで、良いでしょうか!?」
部屋に突入してきたミリアが、開口一番、ボクに問いただしてきた。
「なぜそれを……!?」
ボクは屋根裏部屋のベッドに腰掛け、ミリアからもらった恋文を読んでいた。
『助けていただいた日から、ルカ様のことが忘れられません。まずはお友達としてでも良いので、時々会っていただけないでしょうか? だ、だ、だ、大好きです!』
といった内容が、かわいらしい文字で書かれていた。
うれしすぎて、大悶絶級だった。
とはいえ、ミリアと正体を隠したまま寝室を共にすることなどできない。
ボクはイルティアと入れ代わり、奴隷イルティア用に宛てがわれた、屋根裏部屋で寝ることにしたのだが……
「私が女神様からもらったスキル【鑑定】は、物の価値を見抜くだけじゃないんです! 秘密にしていましたが、実は触れた人間のステータスも閲覧することができるんです!」
「そんな反則でしょ!?」
本来、他人のステータスを覗き見することはできない。
能力値やどんなスキルや魔法を習得しているかは、重要な個人情報だ。
高名な冒険者の中には、敵に対策されることを恐れて、自分のスキルの本当の力を伏せている者もいる。
ミリアはスキルの真価を隠すことで、他者に対する圧倒的優位性を得ていたようだ。
領主だけあって、知恵の回る娘らしい。
「やっぱり! 奴隷のあっちが本物のイルティアお姉様だったのね。再会した時、あまりに謙虚で可憐になられていたので、おかしいとは感じていたわ」
「……うっ!?」
「あなたは【変身】スキルでイルティアお姉様に変身した別人。でも、魔王軍に打ち勝ち、女神様から究極の聖剣を与えられた勇者であるもの事実……何者ですか!?」
決然とした目で睨まれて、ボクは言葉に詰まった。
どうやらミリアは、イルティアにも触れてステータスをチェックしてきたようだ。ステータスにはスキルやクラスだけでなく、名前も表示されるので、いかに外見が同じでも見分けがつく。
ミリアは晩餐を共にしたボクこそ偽物であると、完全に確信していた。
ここで対応を誤ると、まずいことになるだろう。
まずは、と、とにかく落ち着こう……
もしミリアがボクを偽の王女だと追求するのが目的なら、ボクが大勢の前で、王女として振る舞っているタイミングで行っただろう。
それにイルティアと対決した際、ミリアはボクこそ本物の王女だと宣言してくれた。ボクの正体に多少なりとも疑問を感じた上で、味方してくれたのだ。
ボクは正直に話すことにした。
「ご、ごめんなさい。ミリア様。ボクは王女の護衛士のルカです。【変身】スキルでイルティアの身代わりになって、魔王軍と戦ったんです」
「ま、まさかとは思ったけど……あ、あなた、ルカなの!?」
想い人がボクだと知って、ミリアは口をあんぐりと開けた。
その顔は、驚愕と恥ずかしさからか、茹でたように赤くなっている。
「はい。ボクは勇者であって王女ではありません。女神様は、もはや聖なる血筋を伝える王家こそが人々の敵だと、おっしゃっていたので。
イルティアは王女であって勇者ではない、ということですね」
王家の者が勇者となってきた歴史からすれば、異常事態だ。
「な、なるほど……女神様は自らが創造されたエルフの王国が侵略されたこと。相当、お怒りになられたようね」
ミリアはまだ衝撃から立ち直れないようで、若干、声をつまらせている。
「それにしても、あなた。かなり厄介な呪いをかけられているわね。その腕輪の効果。オーダンが他の勢力に陥落させられたら、あなたは命を絶たれるのでしょう? イルティアお姉様がつけた枷ね」
ミリアがボクの右手の腕輪に視線を投げた。
「詳細な条件は、都市内に敵勢力が侵入し、領主を殺す。あるいは都市の抵抗を完全に抑えこんだら、陥落とみなされるようね。
あなたの【コピー復元】は、不老不死になるといっても生命力(HP)を無限回復するタイプ。呪いのような即死攻撃を防ぐことはできないみたいね」
「そんなことまで、わかるんですか!?」
領主を殺すのが、呪いの発動条件?
だとしたら、ボクを倒すために国王はいずれミリアを狙ってくるだろう。
「この腕輪を外す方法はないのでしょうか? 例えば、聖剣で壊したりしたらどうなりますか?
呪いをかけたイルティア本人にも解呪方法がわからないようなんです」
ミリアの【鑑定】スキルなら、呪いを解く方法がわかるのではないかと、一縷の望みをかけて尋ねた。
「無理やり壊したりすると、すぐさま呪いが発動するから絶対にダメよ!
魔王が作ったアイテムみたいだから、ふつうの解呪魔法なんかは受け付けないみたいね……」
ミリアは顔を曇らせる。
「ミリア様、どうかボクにこれからも力を貸していただけないでしょうか? 今の王家は、エルフ王国を不当に蹂躙したり、魔王の財宝目当てで戦争を起こして、民を平気で見捨てるような連中です。
ボクは国王を倒したいと思っています」
「あなたに喜んで協力したいと言いたいところだけど……条件があるわ」
ミリアはそこで言葉を切って、ボクをじっと見つめた。
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