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3章。国王との決戦
40話。エルフの空中都市落し
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ふいに日が陰り、闇が周囲に落ちた。
何事かと空を見上げたボクたちは、例外なく凍りつく。
天空にあったのは雲を蹴散らして移動する巨大な浮遊島だ。
オーダンをすっぽり覆うほどの大きさの空飛ぶ大地が、ボクたちの頭上にあった。
「あ、あれは……エルフの空中都市アルフヘイム!?」
エリザが驚愕の声をあげる。
ボクも噂には聞いたことがあった。
エルフの王族は、純血を維持すべく人間や他種族と交わることを嫌い、空を飛ぶ王都を築いた。そこに純血のエルフだけを住まわせているという。
「なぜ、そんなモノがここに……?」
呆然とつぶやいてから気づく。
エルフ王国はアルビオン王国に滅ぼされた。エルフたちは奴隷にされ、彼らの領地はすべて占領されている。
だとしたら、空中都市アルフヘイムは、国王軍の移動要塞と化しているハズだ。
「あの空中都市はどこから現れたの!? 軍の斥候は……索敵班は何をしていたの!?」
ミリアが取り乱している。例え空中を移動してきたとはいえ、敵の接近にここまで気づかなかったとは異常事態だ。
「申し訳ありません! おそらくあれは隠蔽魔法を重ねがけした上で、魔王領を移動してきたものと思われます!」
索敵担当の魔導士が身を縮み上がらせて報告する。
魔王領への警戒は、20万の大軍に勝利したことで、すっかり緩んでいた。そこを突かれたようだ。
「やられたわ! 王都から侵攻してくるとばかり思っていた。オーダン全軍、戦闘準備! 北側諸侯たちにも援軍の要請を! 急いで!」
「エリザ、聖騎士団を集めてくれ!」
「はっ!」
ボクたちは、泡を食って対応に奔走する。敵が空から攻めて来たのなら、城壁も役には立たない。
都市上空には敵の侵入を防ぐ結界が張られているが、それでどこまで時間が稼げるか……
『余はアルビオン王国国王シュナイゼルである!』
上空より拡大された威厳のある声が響いてきた。
いきなり国王自らが攻めて来たことに、ボクたちは腰を抜かす。
戦慄しているミリアの様子から察するに、偽物ではなく、国王本人であるらしい。
『アルビオン王国第二王女、ルカ=ミレーヌ=アルビオン。20万の魔王軍に勝利したは見事なれど。余に楯突くとは不届きせんばん! 余の娘を名乗るのであれば、即刻、我が軍門に下るべし!
拒否するのであれば、今、この瞬間よりオーダンの地は消えてなくなるであろう』
オーダンの地が消えてなくなる? オーダンを占領するのではなく、滅ぼすつもりか……?
無論、そんな要求には従えない。
ボクに注目が集まる中、幻獣ユニコーンの頭を撫でた。
「フェリオ、あの空中都市まで飛べるか? 乗り込んでいって、国王を倒す!」
「もちろん、行けるけど。ルカひとりでは危険だよ?」
「無論、ルカ様の護衛には、このエリザがつきます! あの空中都市には、おそらくエルフの王女殿下が……アナスタシア姫がいらっしゃるはず!」
エリザが必死の形相で駆け寄って来た。
「ルカ様! 私もお供します!」
屋敷より飛び出してきたイルティアが、ボクの前にひざまずいた。
彼女は投影魔法の制御を、魔導士たちを率いて行っていた。
「ルカ様こそ、この世界の支配者にふさわしきお方。お父様を屈服させ、世界制覇の拠点として、この国と、あの空中都市を献上いたしましょう!」
軽く頭痛を覚える。
……ボクは世界を征服するつもりなどないと、何度言ったらわかるのだろう?
「……キミを背中に乗せるのは無理だな。そのハーフエルフの娘なら良いよ」
「別にアンタの力なんて必要ないわよ。エルフの王都は一度、陥落させたことがあるし。あの程度の高さくらい、飛行魔法で、ひとっ飛びよ」
イルティアが不機嫌そうに腕を組んだ。
『余の慈悲を解さぬか。ならば、潰れて消えるが良い』
その声と同時に、空中都市が、その大きさを増した。驚いたことに落ちてきているのだ。
巨大質量がうなりをあげて、みるみる迫ってくる。
「なっ!?」
ボクたち一堂は、恐怖に縮み上がった。
空中都市には、国王の軍勢が詰めているのかと思ったけど……オーダンに落すために使うつもりだったのか!?
明らかに着陸目的の落下速度ではなかった。
「アークデーモンども!」
真っ先に動いたのはイルティアだった。
彼女は【光翼(シャイニング・フェザー)】を背中に展開し、手を天にかざす。
上空に巨大魔法陣が出現し、そこから巨大な翼を生やした悪魔の群れが飛び出してきた。
「お父様! 土塊ごときで、我が主を討てるとは思わぬことです!」
イルティアより発せられる魔力はより強大になっていた。配下の全能力値を20%アップさせるボクのスキル【軍神の加護】の効果だ。
これはイルティアの召喚したアークデーモンたちにも重ねがけで適用されていた。
百体以上の悪魔たちが落下してくる空中都市の底部に取り付き、これを全力で押し上げる。落下速度が目に見えて緩やかになった。
「ルカ様!【滅龍聖矢(ゲオルギウス)】を!」
「そうか! イルティア、ありがたい!」
それは魔竜王と数万の軍勢を跡形もなく消し飛ばしたボクの切り札だ。
「一か八か、あの浮遊島を吹き飛ばす! みんなの力を貸してくれ!」
「はっ!」
ボクの言葉に聖騎士の少女たちが応じる。
「【滅龍聖矢(ゲオルギウス)】!? わかりましたお姉様!」
ミリアが投影魔法の媒介である水晶玉の前に立った。
ミリアの幻影がオーダンの上空に浮かび上がる。
「私は領主ミリア=ティアルフィよ! 神官、及び回復魔法を使える者たちは、全員、ルカ王女殿下に【ライフギフト】の魔法を送りなさい! 生命力を神聖属性エネルギーに変換して放つ勇者最強の技で、あの空中都市を破壊するわ!」
その呼びかけは、都市全域に鳴り響いた。
何事かと空を見上げたボクたちは、例外なく凍りつく。
天空にあったのは雲を蹴散らして移動する巨大な浮遊島だ。
オーダンをすっぽり覆うほどの大きさの空飛ぶ大地が、ボクたちの頭上にあった。
「あ、あれは……エルフの空中都市アルフヘイム!?」
エリザが驚愕の声をあげる。
ボクも噂には聞いたことがあった。
エルフの王族は、純血を維持すべく人間や他種族と交わることを嫌い、空を飛ぶ王都を築いた。そこに純血のエルフだけを住まわせているという。
「なぜ、そんなモノがここに……?」
呆然とつぶやいてから気づく。
エルフ王国はアルビオン王国に滅ぼされた。エルフたちは奴隷にされ、彼らの領地はすべて占領されている。
だとしたら、空中都市アルフヘイムは、国王軍の移動要塞と化しているハズだ。
「あの空中都市はどこから現れたの!? 軍の斥候は……索敵班は何をしていたの!?」
ミリアが取り乱している。例え空中を移動してきたとはいえ、敵の接近にここまで気づかなかったとは異常事態だ。
「申し訳ありません! おそらくあれは隠蔽魔法を重ねがけした上で、魔王領を移動してきたものと思われます!」
索敵担当の魔導士が身を縮み上がらせて報告する。
魔王領への警戒は、20万の大軍に勝利したことで、すっかり緩んでいた。そこを突かれたようだ。
「やられたわ! 王都から侵攻してくるとばかり思っていた。オーダン全軍、戦闘準備! 北側諸侯たちにも援軍の要請を! 急いで!」
「エリザ、聖騎士団を集めてくれ!」
「はっ!」
ボクたちは、泡を食って対応に奔走する。敵が空から攻めて来たのなら、城壁も役には立たない。
都市上空には敵の侵入を防ぐ結界が張られているが、それでどこまで時間が稼げるか……
『余はアルビオン王国国王シュナイゼルである!』
上空より拡大された威厳のある声が響いてきた。
いきなり国王自らが攻めて来たことに、ボクたちは腰を抜かす。
戦慄しているミリアの様子から察するに、偽物ではなく、国王本人であるらしい。
『アルビオン王国第二王女、ルカ=ミレーヌ=アルビオン。20万の魔王軍に勝利したは見事なれど。余に楯突くとは不届きせんばん! 余の娘を名乗るのであれば、即刻、我が軍門に下るべし!
拒否するのであれば、今、この瞬間よりオーダンの地は消えてなくなるであろう』
オーダンの地が消えてなくなる? オーダンを占領するのではなく、滅ぼすつもりか……?
無論、そんな要求には従えない。
ボクに注目が集まる中、幻獣ユニコーンの頭を撫でた。
「フェリオ、あの空中都市まで飛べるか? 乗り込んでいって、国王を倒す!」
「もちろん、行けるけど。ルカひとりでは危険だよ?」
「無論、ルカ様の護衛には、このエリザがつきます! あの空中都市には、おそらくエルフの王女殿下が……アナスタシア姫がいらっしゃるはず!」
エリザが必死の形相で駆け寄って来た。
「ルカ様! 私もお供します!」
屋敷より飛び出してきたイルティアが、ボクの前にひざまずいた。
彼女は投影魔法の制御を、魔導士たちを率いて行っていた。
「ルカ様こそ、この世界の支配者にふさわしきお方。お父様を屈服させ、世界制覇の拠点として、この国と、あの空中都市を献上いたしましょう!」
軽く頭痛を覚える。
……ボクは世界を征服するつもりなどないと、何度言ったらわかるのだろう?
「……キミを背中に乗せるのは無理だな。そのハーフエルフの娘なら良いよ」
「別にアンタの力なんて必要ないわよ。エルフの王都は一度、陥落させたことがあるし。あの程度の高さくらい、飛行魔法で、ひとっ飛びよ」
イルティアが不機嫌そうに腕を組んだ。
『余の慈悲を解さぬか。ならば、潰れて消えるが良い』
その声と同時に、空中都市が、その大きさを増した。驚いたことに落ちてきているのだ。
巨大質量がうなりをあげて、みるみる迫ってくる。
「なっ!?」
ボクたち一堂は、恐怖に縮み上がった。
空中都市には、国王の軍勢が詰めているのかと思ったけど……オーダンに落すために使うつもりだったのか!?
明らかに着陸目的の落下速度ではなかった。
「アークデーモンども!」
真っ先に動いたのはイルティアだった。
彼女は【光翼(シャイニング・フェザー)】を背中に展開し、手を天にかざす。
上空に巨大魔法陣が出現し、そこから巨大な翼を生やした悪魔の群れが飛び出してきた。
「お父様! 土塊ごときで、我が主を討てるとは思わぬことです!」
イルティアより発せられる魔力はより強大になっていた。配下の全能力値を20%アップさせるボクのスキル【軍神の加護】の効果だ。
これはイルティアの召喚したアークデーモンたちにも重ねがけで適用されていた。
百体以上の悪魔たちが落下してくる空中都市の底部に取り付き、これを全力で押し上げる。落下速度が目に見えて緩やかになった。
「ルカ様!【滅龍聖矢(ゲオルギウス)】を!」
「そうか! イルティア、ありがたい!」
それは魔竜王と数万の軍勢を跡形もなく消し飛ばしたボクの切り札だ。
「一か八か、あの浮遊島を吹き飛ばす! みんなの力を貸してくれ!」
「はっ!」
ボクの言葉に聖騎士の少女たちが応じる。
「【滅龍聖矢(ゲオルギウス)】!? わかりましたお姉様!」
ミリアが投影魔法の媒介である水晶玉の前に立った。
ミリアの幻影がオーダンの上空に浮かび上がる。
「私は領主ミリア=ティアルフィよ! 神官、及び回復魔法を使える者たちは、全員、ルカ王女殿下に【ライフギフト】の魔法を送りなさい! 生命力を神聖属性エネルギーに変換して放つ勇者最強の技で、あの空中都市を破壊するわ!」
その呼びかけは、都市全域に鳴り響いた。
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