53 / 53
4章。5億人の美少女から神と崇められる
53話。エピローグ
しおりを挟む
「おうおう! 兄ちゃんよ。ここで買ったポーションが腐っていて、弟が腹を壊しちまったんだぜ!?」
「兄貴、痛えよ!」
店にやって来たのは、ガラの悪い男ふたり組だった。
魔王が滅んでモンスターが弱体化したため、魔王領を探索しにやって来る冒険者が増えていた。
見慣れない顔なので、多分、このふたりもそういった手合いだろう。
「わわっ……何かの間違いだよ。本当にウチで買ったポーションなの?」
「たっりめぇだろ!? とっとと慰謝料を払いやがれ! 冒険者の俺らにハズレを引かせやがって! ちいとばかし痛い目を見るか?」
男が妹に向かって拳を振り上げる。
ボクはすかさず割って入って、男の脳天に木刀を叩き込んだ。
「なぁ!? ……あ、兄貴ぃ! てめぇ、なにしやがる!」
兄貴が気絶したのを見て、弟分が激怒して立ち上がった。
「腹が痛いにしては、ずいぶん、元気そうじゃないか? ウチで扱っているポーションは、妹が品質管理しているんだ。傷んだ商品なんて、置いておくものか」
「野郎っ! 俺たちはロゼ一家の者だぞ! 俺たちに手を出して、タダですむと思うなよ!」
ロゼ一家? 聞かない名だが、ならず者組織だろう。冒険者の中には犯罪者とほぼ変わらないような連中もいる。
「脅しか? 喧嘩を売ってくるなら、こちらも黙ってはいないぞ」
「……や、野郎。多少、腕が立つからって調子に乗りやがって」
この店と妹に手を出せばどういうことになるか、教育してやらねばならない。
ボクは相手に向かって一歩、踏み込む。
「何をしているか、無礼者!」
その時、突入して来た少女が、冒険者の胸ぐらを掴み上げた。
「ぐえっ!?」
「エリザ!?」
尖った耳が特徴のハーフエルフの娘は、王冠を被り、場違いなほど豪奢な衣装を着ていた。
彼女は間違いない。ボクの聖騎士団長だったエリザだ。
「はっ! 長らくお暇を頂いておりましたが、ルカ様の支援のおかげでエルフ王国の情勢が安定したので戻って参りました!」
「うわっ!? 誰、このキレイな女の子」
「エリザだよ。元勇者の聖騎士団長で、今は、エルフの女王様だ」
コレットと男が口をあんぐりと開けた。
「う、嘘をつけ……!」
「ルカ様。この者、この場で首をはねますか?」
エリザが平然と剣に手を掛けたのを見て、男は絶句する。
「そこまでする必要はないって。冒険者ギルドに苦情を入れるだけでいい」
エルフの女王からの苦情となれば、冒険者ギルドは即刻ライセンス剥奪などの処分を下してくれるハズだ。
「命拾いしたな小悪党。だが、もし今後、ルカ様とその妹君に無礼な振る舞いをしたら……すべてのエルフ族を敵に回すと思え!」
「は、はい……!」
男は青ざめて頷く。そのまま、兄貴分を連れて、慌てて逃げ出して行った。
エリザはボクの前に、うやうやしくひざまずく。
「またルカ様にお仕えすることをお許しいただけますか? 我が国の精鋭兵1000名を引き連れて参りました。この者らを近衛とし、御身を護らせていただきたく存じます」
「もちろん。と言いたいところだけど……ボクは今はいっかいの冒険者で、薬屋の店員なんで。エリザにも身分を隠してもらって、冒険者の仲間としてなら良いよ。
兵たちには、悪いけど国に帰ってもらって欲しい」
エリザのような美少女を連れていたら、かなり目立つことになるだろう。
だが、まさかエルフの女王が冒険者をやっているなど、誰も夢にも思わないハズだ。
「はっ! しかし、困りました。連れてきたエルフの娘たちは、ひと目、ルカ様にお目通り願いたい、と申しておるのですが……」
「えっ? ボクの正体については秘密にする約束でしょ」
「はっ。申し訳ありません。王女の姿に変身していただけると、助かります」
「それじゃ、めちゃくちゃ目立つでしょうが!」
ルカ女王の人気は、このオーダンではもはや信仰の域にある。
その姿に変身したら、上を下への大騒ぎとなるだろう。
「実はルカ様がいかにすばらしいお方か言い広めたせいで、皆がルカ様に拝謁できるのを楽しみにしておりまして……引っ込みがつかなくなっているのです」
へ、変な風に期待を高めないで欲しい。
「お兄ちゃん、良い考えがあるよ。私とキスして私に変身したら、良いじゃない? それでこっそり逃げちゃおうよ」
コレットがどさくさに紛れてトンデモないことを言ってくる。
「なるほど。今後のことを考えると、私とキスしていただくもの良いですね」
エリザも顔を赤らめる。言っていることが意味不明だ。
「いや、ちょっと待て。絶対にしないから!」
「女王陛下! ルカ様はどちらにおわしますか!?」
外が騒がしいと思って窓から覗くと、エルフ族の美少女軍団が路上を埋め尽くしていた。
思わず腰を抜かしてしまいそうになる。
「エルフ族の救世主。神にも等しい超英雄であるルカ様に、なにとぞ拝謁の栄誉を!」
「まあ、まあ、ルーくん、お客さん? すごい大繁盛ね!」
母さんが出て来て、とぼけたことを言う。
「悪いが、ボクは逃げる! エリザ、後のことは任せた!」
「あっ、ルカ様! お待ちを!」
ボクは店の裏口から、脇目も振らずに逃げ出した。
前途多難な新しい生活が始まろうとしていた。
完結
「兄貴、痛えよ!」
店にやって来たのは、ガラの悪い男ふたり組だった。
魔王が滅んでモンスターが弱体化したため、魔王領を探索しにやって来る冒険者が増えていた。
見慣れない顔なので、多分、このふたりもそういった手合いだろう。
「わわっ……何かの間違いだよ。本当にウチで買ったポーションなの?」
「たっりめぇだろ!? とっとと慰謝料を払いやがれ! 冒険者の俺らにハズレを引かせやがって! ちいとばかし痛い目を見るか?」
男が妹に向かって拳を振り上げる。
ボクはすかさず割って入って、男の脳天に木刀を叩き込んだ。
「なぁ!? ……あ、兄貴ぃ! てめぇ、なにしやがる!」
兄貴が気絶したのを見て、弟分が激怒して立ち上がった。
「腹が痛いにしては、ずいぶん、元気そうじゃないか? ウチで扱っているポーションは、妹が品質管理しているんだ。傷んだ商品なんて、置いておくものか」
「野郎っ! 俺たちはロゼ一家の者だぞ! 俺たちに手を出して、タダですむと思うなよ!」
ロゼ一家? 聞かない名だが、ならず者組織だろう。冒険者の中には犯罪者とほぼ変わらないような連中もいる。
「脅しか? 喧嘩を売ってくるなら、こちらも黙ってはいないぞ」
「……や、野郎。多少、腕が立つからって調子に乗りやがって」
この店と妹に手を出せばどういうことになるか、教育してやらねばならない。
ボクは相手に向かって一歩、踏み込む。
「何をしているか、無礼者!」
その時、突入して来た少女が、冒険者の胸ぐらを掴み上げた。
「ぐえっ!?」
「エリザ!?」
尖った耳が特徴のハーフエルフの娘は、王冠を被り、場違いなほど豪奢な衣装を着ていた。
彼女は間違いない。ボクの聖騎士団長だったエリザだ。
「はっ! 長らくお暇を頂いておりましたが、ルカ様の支援のおかげでエルフ王国の情勢が安定したので戻って参りました!」
「うわっ!? 誰、このキレイな女の子」
「エリザだよ。元勇者の聖騎士団長で、今は、エルフの女王様だ」
コレットと男が口をあんぐりと開けた。
「う、嘘をつけ……!」
「ルカ様。この者、この場で首をはねますか?」
エリザが平然と剣に手を掛けたのを見て、男は絶句する。
「そこまでする必要はないって。冒険者ギルドに苦情を入れるだけでいい」
エルフの女王からの苦情となれば、冒険者ギルドは即刻ライセンス剥奪などの処分を下してくれるハズだ。
「命拾いしたな小悪党。だが、もし今後、ルカ様とその妹君に無礼な振る舞いをしたら……すべてのエルフ族を敵に回すと思え!」
「は、はい……!」
男は青ざめて頷く。そのまま、兄貴分を連れて、慌てて逃げ出して行った。
エリザはボクの前に、うやうやしくひざまずく。
「またルカ様にお仕えすることをお許しいただけますか? 我が国の精鋭兵1000名を引き連れて参りました。この者らを近衛とし、御身を護らせていただきたく存じます」
「もちろん。と言いたいところだけど……ボクは今はいっかいの冒険者で、薬屋の店員なんで。エリザにも身分を隠してもらって、冒険者の仲間としてなら良いよ。
兵たちには、悪いけど国に帰ってもらって欲しい」
エリザのような美少女を連れていたら、かなり目立つことになるだろう。
だが、まさかエルフの女王が冒険者をやっているなど、誰も夢にも思わないハズだ。
「はっ! しかし、困りました。連れてきたエルフの娘たちは、ひと目、ルカ様にお目通り願いたい、と申しておるのですが……」
「えっ? ボクの正体については秘密にする約束でしょ」
「はっ。申し訳ありません。王女の姿に変身していただけると、助かります」
「それじゃ、めちゃくちゃ目立つでしょうが!」
ルカ女王の人気は、このオーダンではもはや信仰の域にある。
その姿に変身したら、上を下への大騒ぎとなるだろう。
「実はルカ様がいかにすばらしいお方か言い広めたせいで、皆がルカ様に拝謁できるのを楽しみにしておりまして……引っ込みがつかなくなっているのです」
へ、変な風に期待を高めないで欲しい。
「お兄ちゃん、良い考えがあるよ。私とキスして私に変身したら、良いじゃない? それでこっそり逃げちゃおうよ」
コレットがどさくさに紛れてトンデモないことを言ってくる。
「なるほど。今後のことを考えると、私とキスしていただくもの良いですね」
エリザも顔を赤らめる。言っていることが意味不明だ。
「いや、ちょっと待て。絶対にしないから!」
「女王陛下! ルカ様はどちらにおわしますか!?」
外が騒がしいと思って窓から覗くと、エルフ族の美少女軍団が路上を埋め尽くしていた。
思わず腰を抜かしてしまいそうになる。
「エルフ族の救世主。神にも等しい超英雄であるルカ様に、なにとぞ拝謁の栄誉を!」
「まあ、まあ、ルーくん、お客さん? すごい大繁盛ね!」
母さんが出て来て、とぼけたことを言う。
「悪いが、ボクは逃げる! エリザ、後のことは任せた!」
「あっ、ルカ様! お待ちを!」
ボクは店の裏口から、脇目も振らずに逃げ出した。
前途多難な新しい生活が始まろうとしていた。
完結
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。
たかなしポン太
青春
僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。
助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。
でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。
「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」
「ちょっと、確認しなくていいですから!」
「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」
「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」
天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。
異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー!
※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。
※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
最上級のパーティで最底辺の扱いを受けていたDランク錬金術師は新パーティで成り上がるようです(完)
みかん畑
ファンタジー
最上級のパーティで『荷物持ち』と嘲笑されていた僕は、パーティからクビを宣告されて抜けることにした。
在籍中は僕が色々肩代わりしてたけど、僕を荷物持ち扱いするくらい優秀な仲間たちなので、抜けても問題はないと思ってます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる