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4章。5億人の美少女から神と崇められる
53話。エピローグ
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「おうおう! 兄ちゃんよ。ここで買ったポーションが腐っていて、弟が腹を壊しちまったんだぜ!?」
「兄貴、痛えよ!」
店にやって来たのは、ガラの悪い男ふたり組だった。
魔王が滅んでモンスターが弱体化したため、魔王領を探索しにやって来る冒険者が増えていた。
見慣れない顔なので、多分、このふたりもそういった手合いだろう。
「わわっ……何かの間違いだよ。本当にウチで買ったポーションなの?」
「たっりめぇだろ!? とっとと慰謝料を払いやがれ! 冒険者の俺らにハズレを引かせやがって! ちいとばかし痛い目を見るか?」
男が妹に向かって拳を振り上げる。
ボクはすかさず割って入って、男の脳天に木刀を叩き込んだ。
「なぁ!? ……あ、兄貴ぃ! てめぇ、なにしやがる!」
兄貴が気絶したのを見て、弟分が激怒して立ち上がった。
「腹が痛いにしては、ずいぶん、元気そうじゃないか? ウチで扱っているポーションは、妹が品質管理しているんだ。傷んだ商品なんて、置いておくものか」
「野郎っ! 俺たちはロゼ一家の者だぞ! 俺たちに手を出して、タダですむと思うなよ!」
ロゼ一家? 聞かない名だが、ならず者組織だろう。冒険者の中には犯罪者とほぼ変わらないような連中もいる。
「脅しか? 喧嘩を売ってくるなら、こちらも黙ってはいないぞ」
「……や、野郎。多少、腕が立つからって調子に乗りやがって」
この店と妹に手を出せばどういうことになるか、教育してやらねばならない。
ボクは相手に向かって一歩、踏み込む。
「何をしているか、無礼者!」
その時、突入して来た少女が、冒険者の胸ぐらを掴み上げた。
「ぐえっ!?」
「エリザ!?」
尖った耳が特徴のハーフエルフの娘は、王冠を被り、場違いなほど豪奢な衣装を着ていた。
彼女は間違いない。ボクの聖騎士団長だったエリザだ。
「はっ! 長らくお暇を頂いておりましたが、ルカ様の支援のおかげでエルフ王国の情勢が安定したので戻って参りました!」
「うわっ!? 誰、このキレイな女の子」
「エリザだよ。元勇者の聖騎士団長で、今は、エルフの女王様だ」
コレットと男が口をあんぐりと開けた。
「う、嘘をつけ……!」
「ルカ様。この者、この場で首をはねますか?」
エリザが平然と剣に手を掛けたのを見て、男は絶句する。
「そこまでする必要はないって。冒険者ギルドに苦情を入れるだけでいい」
エルフの女王からの苦情となれば、冒険者ギルドは即刻ライセンス剥奪などの処分を下してくれるハズだ。
「命拾いしたな小悪党。だが、もし今後、ルカ様とその妹君に無礼な振る舞いをしたら……すべてのエルフ族を敵に回すと思え!」
「は、はい……!」
男は青ざめて頷く。そのまま、兄貴分を連れて、慌てて逃げ出して行った。
エリザはボクの前に、うやうやしくひざまずく。
「またルカ様にお仕えすることをお許しいただけますか? 我が国の精鋭兵1000名を引き連れて参りました。この者らを近衛とし、御身を護らせていただきたく存じます」
「もちろん。と言いたいところだけど……ボクは今はいっかいの冒険者で、薬屋の店員なんで。エリザにも身分を隠してもらって、冒険者の仲間としてなら良いよ。
兵たちには、悪いけど国に帰ってもらって欲しい」
エリザのような美少女を連れていたら、かなり目立つことになるだろう。
だが、まさかエルフの女王が冒険者をやっているなど、誰も夢にも思わないハズだ。
「はっ! しかし、困りました。連れてきたエルフの娘たちは、ひと目、ルカ様にお目通り願いたい、と申しておるのですが……」
「えっ? ボクの正体については秘密にする約束でしょ」
「はっ。申し訳ありません。王女の姿に変身していただけると、助かります」
「それじゃ、めちゃくちゃ目立つでしょうが!」
ルカ女王の人気は、このオーダンではもはや信仰の域にある。
その姿に変身したら、上を下への大騒ぎとなるだろう。
「実はルカ様がいかにすばらしいお方か言い広めたせいで、皆がルカ様に拝謁できるのを楽しみにしておりまして……引っ込みがつかなくなっているのです」
へ、変な風に期待を高めないで欲しい。
「お兄ちゃん、良い考えがあるよ。私とキスして私に変身したら、良いじゃない? それでこっそり逃げちゃおうよ」
コレットがどさくさに紛れてトンデモないことを言ってくる。
「なるほど。今後のことを考えると、私とキスしていただくもの良いですね」
エリザも顔を赤らめる。言っていることが意味不明だ。
「いや、ちょっと待て。絶対にしないから!」
「女王陛下! ルカ様はどちらにおわしますか!?」
外が騒がしいと思って窓から覗くと、エルフ族の美少女軍団が路上を埋め尽くしていた。
思わず腰を抜かしてしまいそうになる。
「エルフ族の救世主。神にも等しい超英雄であるルカ様に、なにとぞ拝謁の栄誉を!」
「まあ、まあ、ルーくん、お客さん? すごい大繁盛ね!」
母さんが出て来て、とぼけたことを言う。
「悪いが、ボクは逃げる! エリザ、後のことは任せた!」
「あっ、ルカ様! お待ちを!」
ボクは店の裏口から、脇目も振らずに逃げ出した。
前途多難な新しい生活が始まろうとしていた。
完結
「兄貴、痛えよ!」
店にやって来たのは、ガラの悪い男ふたり組だった。
魔王が滅んでモンスターが弱体化したため、魔王領を探索しにやって来る冒険者が増えていた。
見慣れない顔なので、多分、このふたりもそういった手合いだろう。
「わわっ……何かの間違いだよ。本当にウチで買ったポーションなの?」
「たっりめぇだろ!? とっとと慰謝料を払いやがれ! 冒険者の俺らにハズレを引かせやがって! ちいとばかし痛い目を見るか?」
男が妹に向かって拳を振り上げる。
ボクはすかさず割って入って、男の脳天に木刀を叩き込んだ。
「なぁ!? ……あ、兄貴ぃ! てめぇ、なにしやがる!」
兄貴が気絶したのを見て、弟分が激怒して立ち上がった。
「腹が痛いにしては、ずいぶん、元気そうじゃないか? ウチで扱っているポーションは、妹が品質管理しているんだ。傷んだ商品なんて、置いておくものか」
「野郎っ! 俺たちはロゼ一家の者だぞ! 俺たちに手を出して、タダですむと思うなよ!」
ロゼ一家? 聞かない名だが、ならず者組織だろう。冒険者の中には犯罪者とほぼ変わらないような連中もいる。
「脅しか? 喧嘩を売ってくるなら、こちらも黙ってはいないぞ」
「……や、野郎。多少、腕が立つからって調子に乗りやがって」
この店と妹に手を出せばどういうことになるか、教育してやらねばならない。
ボクは相手に向かって一歩、踏み込む。
「何をしているか、無礼者!」
その時、突入して来た少女が、冒険者の胸ぐらを掴み上げた。
「ぐえっ!?」
「エリザ!?」
尖った耳が特徴のハーフエルフの娘は、王冠を被り、場違いなほど豪奢な衣装を着ていた。
彼女は間違いない。ボクの聖騎士団長だったエリザだ。
「はっ! 長らくお暇を頂いておりましたが、ルカ様の支援のおかげでエルフ王国の情勢が安定したので戻って参りました!」
「うわっ!? 誰、このキレイな女の子」
「エリザだよ。元勇者の聖騎士団長で、今は、エルフの女王様だ」
コレットと男が口をあんぐりと開けた。
「う、嘘をつけ……!」
「ルカ様。この者、この場で首をはねますか?」
エリザが平然と剣に手を掛けたのを見て、男は絶句する。
「そこまでする必要はないって。冒険者ギルドに苦情を入れるだけでいい」
エルフの女王からの苦情となれば、冒険者ギルドは即刻ライセンス剥奪などの処分を下してくれるハズだ。
「命拾いしたな小悪党。だが、もし今後、ルカ様とその妹君に無礼な振る舞いをしたら……すべてのエルフ族を敵に回すと思え!」
「は、はい……!」
男は青ざめて頷く。そのまま、兄貴分を連れて、慌てて逃げ出して行った。
エリザはボクの前に、うやうやしくひざまずく。
「またルカ様にお仕えすることをお許しいただけますか? 我が国の精鋭兵1000名を引き連れて参りました。この者らを近衛とし、御身を護らせていただきたく存じます」
「もちろん。と言いたいところだけど……ボクは今はいっかいの冒険者で、薬屋の店員なんで。エリザにも身分を隠してもらって、冒険者の仲間としてなら良いよ。
兵たちには、悪いけど国に帰ってもらって欲しい」
エリザのような美少女を連れていたら、かなり目立つことになるだろう。
だが、まさかエルフの女王が冒険者をやっているなど、誰も夢にも思わないハズだ。
「はっ! しかし、困りました。連れてきたエルフの娘たちは、ひと目、ルカ様にお目通り願いたい、と申しておるのですが……」
「えっ? ボクの正体については秘密にする約束でしょ」
「はっ。申し訳ありません。王女の姿に変身していただけると、助かります」
「それじゃ、めちゃくちゃ目立つでしょうが!」
ルカ女王の人気は、このオーダンではもはや信仰の域にある。
その姿に変身したら、上を下への大騒ぎとなるだろう。
「実はルカ様がいかにすばらしいお方か言い広めたせいで、皆がルカ様に拝謁できるのを楽しみにしておりまして……引っ込みがつかなくなっているのです」
へ、変な風に期待を高めないで欲しい。
「お兄ちゃん、良い考えがあるよ。私とキスして私に変身したら、良いじゃない? それでこっそり逃げちゃおうよ」
コレットがどさくさに紛れてトンデモないことを言ってくる。
「なるほど。今後のことを考えると、私とキスしていただくもの良いですね」
エリザも顔を赤らめる。言っていることが意味不明だ。
「いや、ちょっと待て。絶対にしないから!」
「女王陛下! ルカ様はどちらにおわしますか!?」
外が騒がしいと思って窓から覗くと、エルフ族の美少女軍団が路上を埋め尽くしていた。
思わず腰を抜かしてしまいそうになる。
「エルフ族の救世主。神にも等しい超英雄であるルカ様に、なにとぞ拝謁の栄誉を!」
「まあ、まあ、ルーくん、お客さん? すごい大繁盛ね!」
母さんが出て来て、とぼけたことを言う。
「悪いが、ボクは逃げる! エリザ、後のことは任せた!」
「あっ、ルカ様! お待ちを!」
ボクは店の裏口から、脇目も振らずに逃げ出した。
前途多難な新しい生活が始まろうとしていた。
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