パワハラ騎士団長に追放されたけど、君らが最強だったのは僕が全ステータスを10倍にしてたからだよ。外れスキル《バフ・マスター》で世界最強

こはるんるん

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3章。バフ・マスター、Lv6覚醒

38話。【バランSIDE】バラン団長、反逆の疑いで逮捕される

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 ブラックナイツの練兵場では、騎士たちが剣の素振りをしていた。

「貴様ら、なんだそのへっぴり腰は! そでも王国最強のブラックナイツの一員か!?」

 バランから激が飛ぶ。
 王国最強は、今やアベルが率いるルーンナイツになっていたが、バランはいつまでも過去の栄光にしがみついていた。

「あと素振り7千回! 死ぬ気でつづけろ!」

「無茶です!」

 団員たちから悲鳴が上がる。
 彼らはすでに3千回近い素振りをしており、すでに疲労困憊であった。

「だ、団長! 質問させて下さい。
 ぜぇぜぇ……っ。
 先日のアンデッドの討伐では、物理攻撃の効かないリッチという化け物がいました。
 そ、そんな敵に遭遇したら、どうすれば良いですか!?」

 若い騎士が木剣を振りながら尋ねた。

「バカがっ! 決まっておろうが。
 物理攻撃が効かない敵は、より強い物理攻撃で粉砕するのだ!」

「だぁっー!? 本気っすか!?」

 バランの答えに、団員たちの何人かがずっこける。

「とにかくパワーだ! 筋力ですべてをなぎ倒すのだ! そのためには素振り、1日最低でも1万回だ!」

「敵の前に、俺たちを殺す気ですか!?」

 団員たちは、全員泣き出しそうであった。
 ちょうどその時、練兵場に剣聖の美少女イブが入って来た。彼女は呆れ返って告げる。

「……はぁ。バカも休み休みに言って欲しい。
 物理攻撃が効かない敵に対しては、そくざに退く。あるいは、仲間の魔法使いに任せる。無理をしたら死ぬだけ。
 そんなこともわからないで、騎士団長をしていたの? ……この国の軍部はどうかしてる」

「イブ様だ!」

「やっぱりそうですよね!?」

 イブの回答に騎士たちは、目を輝かせる。

「当たり前。私たちの敵は魔法王国フォルガナ。奴らは魔族と組んでいる。
 今後は物理攻撃では対処できない状況になることも考えて、ルーンナイツと共同作戦を取るつもり」

「はい! イブ副団長はブラックナイツの救世主です!」

「ルーンナイツと一緒に戦えるなんて夢のようだ!」

 騎士たちが、感涙にむせぶ。
 イブは彼らの心を早くも掴んでいた。

 アンデッドの討伐で殿(しんがり)を買って出た功績は、誰もが認めるところだ。

「ルーンナイツとの共同作戦だと!? ふざけるな! そんなことは許さん」

「そう? でも、あなたに付き合って部下を無駄死にさせるのはごめん」

 バランの怒声に、イブはクールに答える。

「なに!? くそぅ、どいつもこいつも……!」

 バランは昨夜のアベルに対する襲撃が失敗に終って、不機嫌だった。
 襲撃を命じた部下3人うち、ひとりは死亡し、ひとりは罪を問われて投獄されていた。もうひとりは、どういう訳か行方不明だ。
 
 あいつら、無様に失敗しおって……

 捕らえられた騎士からバランの名前が出てくることはないだろうが、使える手駒を失ったのは痛かった。

「失礼。ブラックナイツの団長バラン・オースティン殿はおられるか?」

 その時、武装した騎士たちが練兵場に入ってきた。

「何ごとだ?」

 やって来たのは、軍内部の治安維持を務める憲兵だ。
 彼らが、なぜやって来たのか分からず、バランは首をひねる。

「バラン殿。貴殿には反逆の疑いがかけられています。刺客を放ってリディア王女殿下と、その婚約者アベル王太子殿下のお命を狙いましたね?
 いや、何も答えていただかなくて結構。王宮にて、時間をかけて詳しく取り調べさせていだきますので」

 憲兵は一方的に話して、バランに手錠をかけた。

「ブラックナイツの指揮は、副団長であるイブ殿に取っていただくことになりますが。よろしいでしょうか?
 イブ殿は団長に昇格となります。これはぜひにとの国王陛下のご意思であります」

「これは願ってもないこと。
 これでブラックナイツはアベル殿の前衛として戦える」
 
 イブが満足そうに頷いた。

「こ、これは何かの間違いだ! 俺は王家の分家筋にあたるオースティン侯爵家の人間だぞ!?」

「弁明は後ほどお聞きします。連れて行け!」
 
 バランは憲兵に王宮へと連行されていくのであった。
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