外れスキル《魔王城クリエイト》で無敵の城を築け!〜魔王の娘であることが発覚して実家を追放された聖女は、最強城塞を築いて引きこもります

こはるんるん

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3章。魔王城、攻防戦

35話。魔王城の攻防戦

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「……これで良しと」

 私はダメージ床を城門前に設置し、ゴブリンたちに頼んで土を被せてもらった。
 見た目からでは、まず罠が仕掛けられているとは思えない。

「みんな、ありがとう。食事を用意しているから、休んでくださいね」

「やったぁー、ゴブ!」

 私が労うとゴブリンたちは手を叩いて喜ぶ。

「伝令! 馬上より失礼いたします。ヴィクトル様が傭兵団の撃退に成功したよしにございます!」

 馬に跨ったアンデッドナイトがやって来て報告してくれた。

「さらに迷いの森に入り込んだヴェルトハイム聖騎士団に、我らアンデッド部隊が散発的な攻撃を仕掛けております。奴らは満足に休息が取れず、疲弊しつつあります」

「ご苦労さまです。あなたも下がって休んでください」

「お心遣いありがとうございます。しかし、我はアンデッドである故に休息は不要でございます。失礼つかまつります!」

 アンデッドナイトは馬に鞭を入れて、すぐさま去っていく。

「アルフィン様! 作戦は成功です。聖騎士団が徴発した食糧に、遅効性のしびれ薬を混ぜることに成功しました!」

 ホワイトウルフのシロに乗ったティファがやって来て、嬉々として叫んだ。

「さらに聖女シルヴィアに下剤入り高級ワインを送って、大恥をかかせてやりましたよ」

「………大恥?」

「ふふふっ、彼女を挑発する材料を手に入れたということです」

 ティファは意味有りげに笑って、城門をを潜った。



 次の日の朝、魔王城の前にきらびやかな鎧をまとった聖騎士たちが姿を現した。
 本来なら、威風堂々とした屈強な軍勢だったのだろうけれど……
 昨夜もゴーストたちに一晩中襲撃され、睡眠を取れなかった彼らは、明らかにやつれきっていた。

「……お、お疲れ様です、皆さん……帰って休まれた方が良いのでは?」

 城壁の上に立った私は、音声拡大魔法で、聖騎士団に聞こえるように声を届ける。

「うん、良い感じの挑発だな」

 ランギルスお父様が頷くが、私に挑発の意図はなかった。できれば、彼らには負けを認めて帰ってもらいたかった。

「あの。このまま戦えば、皆さんに甚大な被害が出る可能性があります……」

 私たちは英気を養い、作戦を緻密に立てて、準備万端で待ち構えていた。聖騎士団には、残念だけど勝ち目は無いと思う。

「その声はアルフィンお嬢様!? やはりお嬢様が魔王の娘という噂は、本当だったのか?」

 聖騎士団から、動揺のざわめきが上がった。
 私が魔王の娘だったことを隠蔽したいロイドお父様は、事ここに至ってもちゃんと説明してなかったらしい。

「アルフィンお姉様! よくも、よくもやってくれましたわね! この魔女が! この聖女シルヴィアが、八つ裂きにしてやりますわ!」

 シルヴィアから大音声が返ってくる。かなり興奮しているようだった。

「ふん! あのような汚物にまみれて、聖女であるなどと、良く言えたモノですね! あなたが粗相をした話、全世界にばら撒いてやるから、覚悟しなさい!」

 私の護衛役のティファが、シルヴィアを挑発した。
 敵軍、特にシルヴィアを怒らせて、全軍突撃してもらうのが、こちらの作戦だった。

「かかって来やがれ、クソ聖女様!」

 城壁に陣取ったゴブリンやオークたちが、一斉にはやし立てる。

「な、な、なっ……!」

 シルヴィアは凄まじく動揺した様子で、呂律が回らなくなった。

「殺す! 今すぐ、殺してやりますわ! その口を永久に封じてやるわ、邪悪な魔族ども!」

「待てシルヴィア! 敵の挑発に乗ってはいかん!」

 ロイドお父様がシルヴィアを制止しようとしたが、彼女は聞く耳を持たなかった。

「うるさい! 総大将は私ですのよ! 全軍突撃!」

「「おおっ!」」

 騎乗した聖騎士団が槍を構えて、一斉に突っ込んで来た。
馬と人のパワーとスピードを、槍の穂先の一点に集中させる騎兵最大の攻撃。ランスチャージを仕掛けてくるつもりだ。

本来なら、城門を破る程の破壊力にはならないが、神聖魔法で肉体強化された聖騎士の一撃は、それを成し得る。

「さぁ、城門を一気に突破しますのよ!」

 シルヴィアが激を飛ばす。
 だけど、聖騎士たちは睡眠もまともに取れず、遅効性のしびれ薬がようやく効果を発揮し出していた。何名かは馬上で、体勢を維持するのも大変そうで、よろめいている。
 そして、極めつけは……

「うああああっ!?」

 城門前に敷き詰められたダメージ床だ。
 それは馬に雷撃ダメージを与えて感電させ、騎士たちは一斉に落馬する。
 彼らは後続の仲間に踏まれて、悲鳴を上げた。

「ショクカノン、発射!」

 そこを城門前を狙えるように設置したショックカノンが狙撃した。
 この兵器は電撃を発して、敵を失神させるモノだった。敵を殺傷するのではなく、捕虜にするための兵器だ。

「おおっ、これでもう城門を破ることはできないな!」

 ランギルスお父様が喝采を上げる。
 城門前には失神した聖騎士たちが折り重なっていた。

 後続の聖騎士たちは、味方を踏み潰すことを恐れて突撃ができない。無理に突撃しても、倒れた仲間が障害物となって突撃の勢いを殺されてしまう。

「ま、まさか……世界最強の勇者の聖騎士団が!?」

 シルヴィアが一瞬にして瓦解した軍勢を見て、声を震わせた。

 城壁に陣取ったゴブリンやオークたちが、弓や投槍で聖騎士たちを狙い撃つ。聖騎士たちは、盾を構えて防戦一方となった。

「ロイドお父様! すでに勝負は付きました。降伏してください!」

 私は城壁の上から、大声で降伏を勧告した。
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