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1章
後日譚
しおりを挟む「早くせんと電車行ってしまうぞ?」
先に電車の元に辿り着いた雪華さんが、五十メートルほど後方をよろめきながら走る私を急かす。
「ちょ、待って……!」
息を切らしながら体力の全てを出し切り、ようやく電車のドアの前に辿り着く。
「うーむ、ようやくゴールに着いたの。少しは運動を日課に入れたほうが良いぞ?」
「妖怪に!勝てるわけないじゃん!」
乱れた息を少しずつ整えて、思ったことをそのまま口にする。
余談にはなるが、雪華さんの走る速さは多分自動車並みと思われる。少なくとも、自転車があっても追い抜ける気がしない。
「……また、遊びに来てもいいですか?」
私の些細な問いに、雪華さんが耳を微かに震わせながら笑みを溢す。
「いつでも来るがよい。ただし、妾を退屈させたら承知せぬぞ?」
無邪気な雪華さんの一言と同時にどこからか警笛が響き、いよいよ電車が発車の時を迎える。
何の根拠もない再会を誓ったものの、不思議とそれは自ずと叶い、それも近い未来に実現するだろう。私は不思議なほどに、確信めいた何かを抱きつつ電車に乗り込んだ。
~三週間後~
「雪華さぁぁぁん!!」
暗闇に佇むあの老朽化が著しい寺院に、私の声が大きく響き渡る。
そう、私の確信めいた再会は本当に実現した。驚くほどあっさり、それも短期間で。
「なんじゃい、騒がしいの。お祭りなら他所でやれぃ」
週刊誌をめくりながら煎餅を頬張り、めんどくさそうな様子で雪華さんがこちらを見る。
「うちの学校のプールで河童の目撃情報が多発してるんだけど!それも三十センチくらいの!それって……」
「うーむ、緑め、プールに魚はおらぬと何度言えばわかるのやら」
「触れるところ違う!」
喚く私に見兼ねて、対応が相当面倒と感じたらしく早速他人に丸投げしようとある人物を呼び出す。
「おーい、今から緑を連れ戻してくれぬか?海山……うむ、今はヒゲおじさんのほうがよいかの?」
「え、ヒゲ?……あー!!」
雪華さんが呼んですぐ、襖を開けて現れたやたらと見覚えのあるその姿、無精髭に私はただただ驚愕し、意外すぎる再会に呆然としてしまった。
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