Scapegoat Super Nova

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03.海へ

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 私が当時仲の良かった女の子2人を連れて集合場所に集まった。2人とも可愛くて綺麗な女の子だったので、男の子たちのテンションは爆上がり。明らかに私には向けることのない表情になっていて、やれやれだった。

「海行こう!海!みんなでBBQしよう!」

×××××という大型スーパーで小型のBBQセットと肉や野菜、酒も買い込んで小さな軽自動車にギュウギュウに乗り込んだ。夏の夜のことだった。

車は暗い海沿いを走っていった。だが、はじめに到着した海岸にはフェンスが貼られていて『立入禁止』と看板に書いていた。

「ここの海は死体がたくさん流れついたからな・・・・」

誰かの一言でみんな凍りついて車に逃げ込み、さっさとその場を後にした。

次の海岸には少ないけれど人がいた。私たちはそこでBBQを開始することにした。
小型のBBQセットに用意した肉と野菜をのせた。焼ける量が少ないので順番待ちになった。

「暗くて肉焼けてんのかわかんない」
女の子が言ったのでみんな携帯電話のライトで小型のBBQセットを照らした。

「まだ赤いね」
数十メートル先には私たちと同じくBBQしている人たちがいたが、本格的BBQセットに椅子、夜店で使うようなエンジンで動かす照明まであった。

携帯電話のライトで照らしあう私たちの姿は滑稽であったが、誰一人怒らず、むしろ大笑いしながらBBQしていた。砂浜に落としてしまった玉ねぎを海水で洗って食べ出す男の子もいた。

たくさん食べて樽型のでっかいビールのまわし飲みをした。ビールは苦手だったけどそのとき初めてビールが美味しいと感じた。
楽しくなった男の子たちはパンツ一丁になって夜の海に入っていった。

「ねぇ!一緒に海で泳ごうよ!ビキニは?ビキニ!」
たびたび海から上がってきてはよく喋って海に戻っていった。

「ねぇ!すごいよ!海の中で何かがたくさんピカピカ光ってんだ!本当だよ!」

次は別の男の子が海から上がってきた。この子は何言ってんだ、キマってんじゃないか?と思い私は、
「じゃあその光ってるやつこれに詰めてきてよ」
とスーパーのビニール袋を渡した。
「うん」

しばらくしたらビニール袋に海水をたっぷり入れて戻ってきた。

女の子たちと私は興味津々に待ち構えていたが、その目の前でビニール袋がパーンと破けた。
みんなでひっくり返るくらい笑った。男の子は少し寂しそうな顔をしていた。

ピカピカ光るものの正体はわからず。

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