血と死神と女子高生

橘スミレ

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第九話 料理

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 1コール、2コール、3コール。
 5コール目の途中で限界が来て私は電話を切った。頭が痛い、というか頭痛が痛い。なんとか電話をかけたものの状況は良くなるどころか悪化した。先ほどの吐瀉物のもつ特有の酸っぱい臭いに釣られてまた胃からせりあがってくる感覚があるも何も出てこない。だめだ。私の意識は強制シャットダウンされた。

「とりあえずお米だけ準備しとくか」
 死神ちゃんはボウルを取り出し、米を必要量取り分けて、洗う。そして良さそうな鍋に入れ、水を入れる。このまま30分ほど浸水させるのだ。
「その間に……死神ちゃんの血みどろお料理教室開講!!」
 彼女はにっこにこの笑顔で包丁を持って誰もいない空間に宣言する。ふりふりの可愛らしいワンピースを着ていることもありメンヘラにしか見えない。
「本日作るのは……トマト煮込み風ロールキャベツ!」
 彼女は手際よく調理をしてゆく。
「まずはキャベツを使います」
 彼女はキャベツを一枚ずつ丁寧にはぎ、ザルにいれる。それを冷水で一枚ずつ洗う。それをもう一度ザルに戻しておく。
「次にジャガイモよ」
 洗ったジャガイモを切るのだがこの家にはピーラーなんて便利なものはなかった。全て包丁で皮を剥き、芽をとる。全て終わったらこれはサイコロみたいに切ってボウルに。
「タマネギ、切らないとね」
 彼女は水で洗った後のタマネギを涙目になりながらもみじん切りにした。目が痛い。目が痛い。ボウルに入れるのも一苦労。
「目が痛いのでこの誰かの肉に八つ当たりしよと思いますがその前に……」
 彼女はもうひとつの包丁とまな板を取り出した。まな板に人の二の腕が乗せられた。包丁で切り込みを挿れてから手で強引に皮をはぐ。骨から肉を外し適当な大きさに切り分ける。それをひたすら叩いて切ってミンチにする。ミンチとまでは言えなくてもそれらしいものにはなる。
 それもボウルに入れて混ぜる。良い感じに混ざったら丸めてキャベツで包む。爪楊枝がないのでそのままだが多分なんとかなる。ならなくても味は変わらないし大丈夫だろう。
「みなさまお鍋の準備は良い?」
 鍋に少し水と血液を入れる。さらにそこに先ほどのロールキャベツを沈め、塩を少々胡椒を多々。振りかけたら蓋をして火にかける。
 ぐつぐつ煮込んでいる間にお片付け。野菜を切った包丁とまな板を洗剤で洗って水気を拭き取りしまう。肉を切ったものは洗った後に別の鍋で煮沸し収納する。
「まだかなー、まだかなー」
 彼女はぐつぐつと何かを話す鍋を見ながら片付けをする。はいだ皮を一口大にちぎりレンジでチンする。よく手を洗ってから皮に塩をかける。一枚つまみとりパリパリ食べる。
 美味しい。
「これはいくらでも食べれそうだわ。パリッ。朝も食べたのに。パリッ。」
 おいしさのあまり手が止まらない。ポテトチップス代わりだ。
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