僕がマジナミ様に気に入られてしまった件

ツバキ

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2話 黄マジナミ

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ズゴゴゴゴゴ
空から物凄い音が響いていた。
超巨大なマジナミ様が地上に降り立とうとしていた。
一方俺は冷汗をかきながら地上からそれを見上げる事しかできなかった、正直どうしようもないのは一目瞭然であったし、そもそもあれが地上に着地してどうなるのかも創造できなかった。
踏みつぶされて死ぬのか、それともただ何事もなく日常が流れていくのか判断しかねいるうちにそれは着地した、ただしどうやらそのマジナミ様は透けているようで住宅地一帯に影響は皆無だった。
例えるならば富士山をプリンのようにプルルンとさせて、それをホログラムのように実体を無くし、かえるのような顔つきのマジナミ様だ。
ここまで巨大なマジナミ様ならば特に僕に対しての影響は、視界が少し悪くなった事を除いてないのでかえって安心した。
まるで超巨大なプールに黄色の液体を貯めてその中を歩いているような、でも違う黄色とかは言いたくない、言ってしまったら誰がプールの中を黄色に変えたかを想像しなくてはいけなくなってしまうから。

現状を説明すると僕は今高校に向かっている途中である。
違うのである、僕が説明する事はもっと他にあるのである、そうマジナミ様とは一体なんなのかとか説明する事は大量にあるはずなのである。
でも僕は今高校へ登校中であって、毎日徒歩20分かけて通っている3年生である。
1年生の頃は友達と登校したりもしていたが、朝ギリギリに起きたい派の僕としては朝わざわざ待ち合わせして登校する事への意義が見いだせず、友を見捨てる形になった。
もちろんそれが彼女ならば話は別なのだろうが、現在僕は恋人募集中なので想像でしか語れない。
そんなわけで今日も登校しているのだが、今日のマジナミ様は格別である。
どれくらい格別かというと、ここまで大きなマジナミ様は僕の人生で初めてなのである。
ただし、僕は生まれてこのかたマジナミ様への特別なリアクションはしないようにしている。
マジナミ様が見えない方達へ、分かりやすく説明しよう。
例えば犬がいる、犬は獲物を見つけると吠えて威嚇する。
この時に犬っていう生き物は雑魚かどうかを判断しているのである、つまり人間様に向かって咆哮し、そこで初めて犬はそのリアクションを見て人間様と雑魚を判別するのである。
一度雑魚を見つけてしまえば、あとは噛みつくなり追いかけるなりして雑魚のリアクションを見て楽しむ、僕の偏見で言えば犬っていうのはそういう生き物なのである。
ただし!!ただしこれは犬だけではなく、人間社会、またはマジナミ社会でも当てはまる。
ようは必要以上に何かを引き付けたくない時は反応しないに限るので、僕は基本的にマジナミに対しては反応しなうようにしていて、もちろん今日もいつも通りである。
ただし僕はいつも通りであるのだが、この日のマジナミ様はいつも通りではなかった。
なんと巨大な眼がずっと僕を見ているのだ。
最初は気のせいだと思った、空を見上げてその大きな眼と視線があったのだが僕自身はマジナミ様に比べたらとても小さいので気づいてないと思ったのだが何度見上げても、やはりこっちを見ているのだ。
そしてその巨大な体がずるりずるりと動き僕の前で止まった。
これはとうとう勘弁するしかなく、僕も足を止めてマジナミ様を見上げた。
するとマジナミ様が僕に向かってしゃべりだした。
「冬春」
僕の名前だ。
ちなみに解説すると喋るマジナミ様っていうのは相当に位が高い、大抵は言葉を持たないマジナミ様ばかりなのだ。
「全てのマジナミを見る事のできる唯一の人間」
生まれてこの方、同じ事ができる友達を見た事がなかったが、世界中で僕だけなのかもしれない。
「そなたはマジナミと人間の架け橋になる事ができる唯一の人間、我が息子を託したい」
僕は間髪いれずに答えた。
「マジナミ様それはできません!私はマジナミ様達とは関わらないように生きています。自然の流れには逆らう物ではないと考えているからです。」
「だからこそ息子を託したい、既にそなたはその流れに巻き込まれていて、もはやそれはそなた自身だけの力では無い。ともあれ息子は置いていく。あとは息子から聞いてくれ」
僕はすかさずお辞儀をする。
格式の高いマジナミ様には敬意を表する、扱いには十分気を付けなくてはいけない。
辺りから一気に黄色い視界が消え、上空にマジナミ様は消えていった。

すると黄色の小さなマジナミ様が目の前に浮いていた。
大抵のマジナミ様と形は同じで、マッチを擦って起こした火を逆さまにして手と足をはやしたような形だ。
このマジナミ様は拳程の大きさがあった。
「俺、黄マジナミ!よろしくな」
「よろしくお願いします」
なんだか少しバカそうだったので、敬語を使った事に後悔した。


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もう1作品書いているのですこちらは不定期で更新します!
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