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第2章 丹梅国グルメ戦記・四象の蛇亀
第159話 文庫での一幕 その3【戸瀬視点】
しおりを挟む「は? なんだ急に」
「その反応。だからカズキ、謎の万能感持ってるんスね」
「万能感……?」
「『オレの能力はオンリーワンなんだ!』って。自分が勝てもしない相手に喧嘩売って、玉砕して、挙句の果てに『今の俺はまだおまえには勝てない。キリッ』みたいなこと言って、そのちっぽけなプライドを守ろうとしてたんスね」
アスモデウスは口元をだらしなく半開きにしたまま、俺を指さして嘲笑してきた。
ダメだ。ここでキレるな。固めた拳を降ろせ。
今こいつと事を構えてもこいつの言うとおり、返り討ちに遭って終わりだ。
「お、おまえ……的確に人の心えぐるのうめえな……」
「あ、ごめんっス。一連のカズキの心の動きみたいなのがわかって、嬉しくて。つい」
「そ、それで、俺の能力がどうしたって……?」
「まあ、珍しくはあるっスが……まず、身体能力のほうは言わずもがな。武器収納に関しては、転移魔法の応用みたいなもんスからね。あたしだって……」
アスモデウスはそう言うと、何もない空間に手を突っ込ん――
「なッ!? 手首が消え……!」
「えーっと……これじゃなくて……これでもなくて……あっ、これっス!」
なにか雑誌のようなものを取り出し、俺に渡してきた。
「な、なんだこれ……」
「あたしが描いた本っス。記念に一冊」
表紙を見てみると、屈強な男と華奢な男が裸で抱き合っていた。
「いるかァ!」
俺は思い切り振りかぶると、文庫の隅に向けてそれを投げ捨てた。
「あーあー、あんなのここで発見されたら大問題っスよ」
「うるせえよ! アレはテメェで回収しろ!」
「……とまあ、こんな感じで、他の空間と今いる空間とを繋げて、物質を移動させる魔法なんてのは、ある程度の魔力と知識と、経験があれば誰でもできるんス。……まあ、これが生物になってくると、話は変わってくるんスけどね」
「そう……なのか……」
その……なんだ……。
こうして初めて俺の能力をバラされて、改めて……たしかに俺は、こいつの言うとおり、オンリーワンというか、特別感みたいなものを感じていた……のかもしれないと、じわじわ実感する。
思いあがった凡人。自分を特別だと思っている凡夫。
なんだかそういうのを意識してしまうと、時間差で先ほどのアスモデウスの言葉の重みに押しつぶされそうになる。
「あ、やっぱショックだった?」
「……うるせえな。今は俺たちの能力なんて、どうでもいいだろうが。さっさと本題にはいれ」
「そスね。じゃあ本題。まっさんの能力〝ステータス・オープン〟について」
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