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第2章 丹梅国グルメ戦記・黄龍降臨
第179話 か細い希望
しおりを挟む螭龍。
螭龍ってたしか青竜の――
「今しがた青竜と最後の連絡が取れた。じき他の守護者もおぬしとの通信を図る頃であろう」
通信――
その言葉について考え始めるよりも先に、今度は軽薄そうな声が脳内に流れてくる。
「はいはい、百爪だよ。……聞こえてるかな? こっちも白虎との連絡が取れたとこだよ。ついでに、キミたちが今置かれている状況もね。なんか、大変みたいだね。朱雀も。……って、あれ、フェニ子でいいんだっけ? それに、はじめまして……で、いいのかな?」
「時間ない……本題いこ……」
続いて、ひどく億劫そうな声も流れてくる。
「玄冥の言うとおりだ。前置きは省け、百爪」
「はいはい。そんなわけで、今からキミたちを安全圏にまで転移します」
「だいじょうぶ……変なところには……飛ばさない……急に祠から消えたのは……びっくりしたけど……」
「案ずるな。転移に必要な力は既に受け取っている。我らはいつでも、おぬしらを退避させることが出来る」
――退避。転移。
ありがたいけど、この状態でそんなことをされたら、フェニ子はともかく紅月が――
「あ……それと……ちょっと前にそっち……向かったみたいだから……」
向かったって、なにが。
「そろそろ合流……するんじゃない……? あれ……時間的に入れ違いに……なるのかな……」
「玄冥、要領を得ぬ話し方をするな」
「……まあ……そのうちわかるよ……」
「て、ことだからさ、もう本当に時間ないし、悪いけど、このまま転移に移らせてもらうね。初めてだから、気持ち悪くなったりしたらごめん」
〝まだ紅月が〟
なんとか声を振り絞ろうとするが、そんな私の視界にとんでもなく巨大なモノが映りこむ。
鳥。
巨鳥。
燦花で見たフェニ子と同じくらいの大きさの鳥。
しかし、あの時のフェニ子のような荒々しさはなく、より神秘的な雰囲気を纏っている。
そして――
そしてなによりも、私はこの鳥の姿を初めて見たはずなのに、なぜかその姿には見覚えがあった。
龍を思わせる頭部に、左右に伸びる長い髭。
そしてなによりも、その瞳には知性が宿っていた。
『悪ぃ、遅くなったみてぇだな』
聞き覚えのある老人のしゃがれた声。
誰かがその巨鳥の背に乗っているようだが、逆光でその輪郭しか確認できない。
『〝あとは任せろ〟……なんて、言えた義理じゃあねえが、少なくともおまえさんらの準備が整うまで、こいつと持ちこたえるつもりだ』
次第に瞼さえも開かなくなってきた。
視界が波のように揺れる。
これが〝慣れていない転移〟なのだと、遅れて理解した。
『じゃあな』
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