無能勇者の黙示録~勝手に召喚されて勝手に追放されたので勝手に旅に出ます~

枯井戸

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第2章 丹梅国グルメ戦記・萬國美食爭鋒

第181話 この世界の外

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「黄龍が……消えた?」

 私と紅月の声が、ほぼ同時に重なった。
 だが、そんな偶然はどうでもいい。

「それは倒されたって、意味でいいんですか?」
「ちがう」

 私がそう尋ねると、黄さんは間を置くことなく首を横に振った。

「あー……そういうことじゃないんだ。黄龍は討伐されていない。だが、存在としては消えている」
「それはどういう……」
「それを今から説明する。……東雲たちをここへ転移させたのは、誰かわかってるよな?」
「は、はい。鳳凰を除く、三象の守護者たちですよね?」
「そうだ。だが、守護者は生物を転移させるなんて術は使えない」
「じゃあなぜ……?」
「守護者じゃなくなったからだ。鳳凰に吸収され黄龍の一部になった三象が、黄龍ごとこの世界から消えた。だからやつらは今や、本物の青竜であり、白虎であり、玄武だ。……名前は違うがな」
「じゃああの時、もうすでに黄龍は……」
「そうだ。現四象連中はその力を使い、東雲たちをこの鳳凰祠まで転移させた」
「なるほど。でも、消えたのに討伐されていないというのは?」
「それについてだが、もう会ってるかもしれないが、おまえさんらと入れ違うようにして、呂さんがそっちに行ったのは知ってるか?」

 そう言われ、巨鳥の背に乗っていた人のことを思い出す。

「やっぱり、あの方が……そうだ、じゃああの鳥は……?」

 なんとなくその鳥の正体に目星はついていたが、それはあくまでも予想。
 ダメ押しがほしかった私が、黄さんに尋ねてみるが――

「鳥?」

 その予想に反し、黄さんは小首を傾げる。

「いや、それは俺もよくわからねえ。実のところ、俺も今回の作戦についちゃ、俺の役割しか教えてもらってねえんだ。だから、あの人が何をしたいのかは、俺にもわからない」
「そうなんですか?」

 どういうことだろう。
 いちおうこうして黄さんが協力してくれているということは、黄さんは味方だということ。
 なら、呂さんも教えてあげればいいのにと思ってしまうが――

 とにもかくにも、今回のこの黄龍の騒動、呂さんはまず間違いなく何か知っている。
 今すぐにでも話を聞いてみたいが……またあそこへ行くとなると、身震いしてしまう。

「ただ、黄龍の暴走をどうにかしたいのは、俺も呂さんも同じだ。それに、呂さんがなにか準備していたと言ってたから、その鳥も、準備の一環なんじゃないのか?」

 そういえば、たしか黄龍は私たちが丹梅国にきてからのことを知っていた。
 しかし唯一、玄武祠での出来事は知らないようだったけど、あれは一体――

「話を戻そう。……その呂さんだが、いまあの人は黄龍と戦っている。それも、ここではない、別の世界でだ」
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