憑依転生~女最弱騎士になった『俺』が最強に成り上がるまで

枯井戸

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青銅編

処女ビッチサキュバス騎士誕生

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 青銅騎士寮。
 ルーシーの部屋の前。
 そこにはビキニアーマーを着て、すすり泣く女の姿があった。


「おーいおいおいおい……、おーいおいおいおい」

「……なあルーシー、あたしたちのヘヤのまえにチジョがいるぞ」

「だれだあいつ、オレの部屋の前で何やってんだ」

『もしかして、不審者!?』

「もしかしなくても、どっからどう見ても、全身全霊で不審者だろうが」

「おお、フシンシャ! あれがフシンシャか! あたし、フシンシャなんてはじめてみるぞ! それもチジョでフシンシャなんて、きょうはいいひになりそうだな!」

「……不審者を見て嬉しそうにしてるやつ、おまえだけなんじゃないか?」

『どうしますかタカシさん。放っておくにしてもなんだか可哀想ですし……』

「お人好しめ。あんな不審者に可哀想とか、おまえの頭が不審者――」

「ルゥゥゥスィィィィ!!」


 顔中涙や鼻水にまみれたサキがタカシに飛びついてきた。
 サキはしきりに、タカシの胸に顔をこすりつけている。


「うわっ、おま……、サキか!?」

「びええええええん!!」

「てかおまえ、人の家の前でなにやってんだ!」

「うぐっ、ひっぐ……、それはこっちのセリフなのら……、せっかくドアの前に伝言を置いてたのに……なんで家にいないのら……」

「はあ? 伝言?」

「ルーシーの……えっぐ……、大事なもの……!」

「……ああ! おまえか! あの、妙な書置きの犯人は!」

「ミョーって……、サキちゃん……うう、ガンバって考えたのに……」

「はいはい、もう泣くなって……、てかなんなんだよ大事なものって……」

「そんなん決まってんじゃん。ルーシーの処じ――」

「テメェッ!」


 タカシはサキが言い終えるよりも先に、頭をゴツンと殴りつけた。


「びええええええ! ルーシーがぶったぁぁぁぁ!!」

「おいおいルーシー、いまのはいたいぞ!」

「おまえは相変わらずそんなんばっかりか! 部屋の前で反省してろ! ドスケベ淫乱ビッチサキュバス!」

「ああ、待って待って。こっちも用があるんだってば」

「……いきなりケロッとしやがって……今までのはウソ泣きかよ……」

「これこれ、この鎧見てわかんない?」

「鎧? 胸と尻以外ほとんど丸出しじゃねえか! 布の服のほうが防御力たけーぞ」

「ちがうって、そっちじゃなくって! なんでサキちゃんが鎧着てるかってこと」


 タカシは腕を組み、しばらく考えたあと、サキの顔を見た。
 サキはタカシの顔をみると、ニマーっと無邪気に笑ってみせた。


「もしかして、王様が言ってた……?」

「うんうん」

「オレと一緒に仕事したいって言ってたのって、おまえか!」

「ザッツライト! ザッツライトだぜ、相棒ゥ!」

「『相棒ゥ』じゃねえよ! 気がはえーんだよ!」

「なあなあルーシー、このチジョのことしってるのか?」

「ああ、そうだったな。たしかおまえ、オレとこいつが戦ってたとき寝てたんだっけ」

「うおいおいおいおい、おチビちゃ~ん。初対面の人に痴女はないんじゃない?」

「おチビちゃんじゃない! おチビさん・・だ!」

「そういう問題かよ……。ドーラ、紹介する。こいつはサキュバスのサキ、痴女だ。二度と近づいちゃダメだぞ」

「ちょいちょいちょいちょーい」

「んだよ」

「初対面。第一印象って大事だからマジで。誤解とかさせちゃダメだからぁ! やめなぁー?」

「一ミリの誤解もないけどな。むしろ寸分の狂いもなく、正確無比に正解だ」

「テキビシー! テキビシーなー相棒は!」

「相棒じゃねえって言ってんだろ! 第一、オレはまだ許可してねえよ!」

「ん? 何言ってんのルーシー。これはもう決定事項だよ。覆すことなんかできないんだゾ」


 サキはそう言ってタカシの鼻頭をちょんとつついた。


「は? おまえのわがままで決まったことだろ?」

「そうだけど、そうじゃないんだな―これが」

「どういうことだよ」

「えっとね、たしかにサキちゃんは自分で志願して、特別枠で騎士になって、ルーシーと一緒に働きたいって言ったさ。けどね、マーレ―タソも乗り気だったんだぜ?」

「王様をタソ・・呼ばわりって、おまえな……」

「んで、いろいろあって今の状況になったわけ」

「……だいぶ端折ったな。いろいろと理解できていない部分はあるけど、結局のところ、オレの意見は取り入られないってことでオーケー?」

「オーケーオーケー! 理解はやいじゃん、さっすがサキちゃんの相棒!」

「はっはっは、これからよろしくな! 相棒!」

「うぇーい、こういうノリ、きらいじゃな――」

「なわけあるかああああああああ! 直接抗議に行ってくる! 直談判じゃ!」





「困るんすけど」

「……王よ、困っているのはこっちなんすけど」


 謁見の間。
 マーレーは王座に座りながら、辟易した顔でタカシを見下ろしている。
 タカシもまた、辟易した顔でマーレーを見上げている。


「ちす、マーレータソ、ちーっす」

「お、サキちゃんもいるじゃん。いぇーい」

「そうなんだよー。ルーシーったら、いきなり王に文句言ってくるとか言って、聞かないんすから」

「この子ってば、一度言ったら聞かないとこあるからねー」

「……あの、王とはそこまで面識はなかったと記憶しているのですが……」

「だっしょー? 知ってたー。でも、サキちゃん。ルーシーのそういうところが好きなんだけどねー」

「おまえとはもっと面識なかったよな」

「とりあえず、そういうのは王、困るから。困っちゃうからぁ」

「なんでサキみたいな口調になってんですか……。それに、こっちも困ってるんです! 単に『面白いから』という理由でこういうことをされても、正直言って、面白くないです! 全く!」

「え? もしかしてそなた、おこ?」

「おこ!」

「いいか……よく考えてみてくれ。サキちゃんと戦ったそなたが一番よくわかっているとは思うが、サキちゃんの魅了の魔法はとても強力なのだ。そなたとの決闘を観戦していた男どものほとんどは、その日、一日中腰をひいていただろう……」

「それがなんだっていうんですか」

「つまりだな、サキちゃんは男どもに対し、ものすごく魅力的で有効的だということだ」

「有効的……?」

「現在国の内外を含め、女性が戦場で活躍しているという報告を、シノ以外でほとんど聞いたことがない。ということは、だ。もし他国との小競り合いや何かしらがあった場合、サキちゃんを戦場に投入すれば、男どもの戦意を削ぎ、両国の被害を最低限に抑えることができる。これはとても文明的であり、今までにない画期的な戦争の治め方だとは思わないかね。……まさに、エロが世界を救う! 素晴らしい!」

「……あの、その話を聞いていると余計に、自分などでは力不足な気がしてくるのですが……」

「儂はそなたに絶大な信頼を置いているのだが……」

「空気よりも軽いお言葉をありがとうございます。……ですが、国家をあげてのプロジェクトとなると、ここは聖虹騎士クラスの方々が適任ではないかと……たとえばシノさんとか、シノさんとか……あとはシノさんとか」

「シノはシノでいろいろと忙しいゆえ、それは無理だな」

「忙しい人がうちの畑で、汗水たらして野菜を収穫するんですかね……」

「どうかしたか?」

「いえ、いえいえ。なんでもありません」

「話を戻そう。そこで白羽の矢が立ったのがそなた……、というわけだな。サキちゃんとは面識もあるし、女だからという点で、魅了も軽減される。実力も青銅以上であるため、申し分なし。これ以上の物件があるとは思わないのだがな。ただしシノは除外するものとする」

「ぐぬぬ……そんな言い方をされると、納得してしまいかねない自分が恨めしい……!」

「そんな難しいこと考えなくていいよルーシー」

「サキ……?」

「サキちゃんはべつにルーシーを取って食おうってわけじゃ……まあ、なくはないけどさ、きちんとそこらへんは分別できるよ。それに、ルーシーがどうしてもイヤっていうなら、サキちゃんもそこまでしつこくはしないから」

「……サキ……最後にひとつだけ聞かせてもらっていいか……?」

「いいよー。バッチコーイ!」

「なんで騎士になろうとしたんだ? このために、おまえは本業辞めたんだろ? ……なんでそこまでして騎士なんだ? 理由を教えてくれ」

「よくぞ聞いてくれました! それはねぇ……」

「それは……?」

「ルーシーのことをもっと知りたいから」

「……はあ?」

「サキュバスとしての血が騒ぐのか、ただ単に最近高血圧なのか……、ルーシーに会うとね、搾り取りたいって考えちゃうんだよね」

「しぼ……しぼ!?」

「ルーシーは男の子じゃないのにだよ? それっておかしくない? サキちゃんはね、それが知りたいのだよ」


 サキはタカシに近づくと、ススス……と手を胸部へと持っていった。


「あ、ちょ……やめ……っ!」

「ほうほう、ルーシーはここが弱いと……」

「やめ……やめろぉっ!」

「おっとっと」


 タカシはサキを大きく突き飛ばした。
 タカシは頬を赤らめながら、サキを恨めしそうに睨んでいる。


『ちょ、タカシさんタカシさん……』

「……んだよルーシー」

『これ、バレてませんか? タカシさんが男性だってこと』

「んなわけない……とは思いたいけど、ちょっとアブねえかもしれねえな」

『どうしますか……もしバレでもしたら……』

「……バレたら、なんだよ」

『……なんでしょうね?』

「なんだそれ……。でも、陰でコソコソやられるよりも、手元に置いて監視してたほうが、なにかと都合がいいかもしれないな。油断もなにもあったもんじゃねえからな」

『あれ、ということは……?』

「王よ」

「……どうだ。腹心は決まったか?」

「はい。サキを預かる件、お受けします」

「や、やったぁ! 正直、拒否されるかなってドキドキしてたんだー……ほら」


 サキはそう言ってタカシの手を取り、自らの胸まで持っていった。
 タカシの手はそのままサキの豊満な胸に当たると、クッションのように沈んでいった。


「な……っ、いきなり何やってんだおまえ! 痴女め! 恥を知れ、恥を!」

「ええー? こんなことさせてあげるの、ルーシーだけなんだけどなぁ」

「そうだぞルーシー。この前もあっただろう。あのトロールが病院送りにされた痛ましい事件を……!」

「ああ、そんなこともあった気が……。ともかく、言った以上は引き受けますから」

「そうか。受けてくれるか」

「はい、いろいろと考えた結果です」

「よろしい。では、改めて今この場にいるルーシー、サキの両名に任務を言い渡す。エストリア東の国境付近へ赴き、カライ国の撃退にあたるように」

「……ファ?」

「お、ルーシー! 着任早々初めての共同作業だね。やったぁ!」
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