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クレイジー少女漫画奴
しおりを挟む「おい青木よ、知っているか?」
夕日が差し込む放課後の教室。ホームルームが終わって帰路に就く者、部活動の準備をする者。そんな、学校全体がすこし賑わう時間帯。青木という生徒が赤松という名の生徒に呼ばれた。
青木はいじっていたスマホから視線を上げると、その声の主を見た。
「なんだ赤松、いきなり」
青木が答えると、赤松はそのまま青木の机の上にドカッと座った。
「ここいらに最近、通り魔が出たという話だ」
「……知ってるよ」
青木はうんざりした顔で答えると、再び手に持ったスマホをいじり始めた。
「ほう、さすがは我が好敵手。耳が早いな」
「……いや、耳が早いも何も、さっきホームルームで担任が言ってただろ」
「はっはっは! そうかそうか! ……よし! では早速、退治しに行こうではないか!」
赤松は高らかに宣言すると、スッと青木の机から降りた。
「はぁ!? 待て待て待て! 『よし!』じゃねえよ! 会話の過程をぶっ飛ばし過ぎだ! なんでそうなるんだよ! 理由を言え、理由を!」
青木はスマホをぶん投げると、赤松に詰め寄った。
「フッ……理由を、聞きたいか?」
「チッ……一応聞いておいてやるよ」
「俺が、俺であるために……だ」
「帰るわ」
青木はそう吐き捨てると、床に落ちていたスマホをズボンのポケットにねじ込み、机の横にかかっていた革鞄を取った。
「む? そうか、おまえもゆくか! やる気だな、青木よ!」
「ちがうわ! 別に喜び勇んで通り魔に立ち向かうって意味で言ってねえよ! 家に帰るって意味だよ! おまえに付き合いきれねえって意味だよ!」
「よし! では行くか!」
「話聞けよ!」
「なんだ、行かないのか?」
「行かねえって! ……たく、大体なんで俺たちが行かないとダメなんだよ。そういうのは警察に任せとけ、警察に」
「警察は信用ならん」
「……おまえは俺に、警察以上の働きを期待してんのか……?」
「なあに、心配はいらない。危険はない。……というのもだな、確かな情報筋から手に入れた情報なのだが、被害に遭った者はみな、顎を怪我しているだけで、命に別状はないとのことだ」
「知ってるよ」
「ほう。これは驚いた! またしても、か。さすがは我が永遠の好敵手だ。耳が早いな」
「これもさっきホームルームで担任から聞いた話だよ! つか、おまえの情報源、今のところ全部担任からじゃねえか! 真面目だな!」
「おまえもな」
「もちろん俺もだよ!」
「……それにしても青木、タンニンはいいぞ」
「うるせえよ! それになんで顎を怪我する事は構わないみたいな言い方してるんだよ! 顎なんて人体の急所、怪我したくねえよ! コエーよ!」
「フム。では、この話は知っているか?」
「話を聞けよ!」
「その通り魔は俺たちとそう変わらない歳の女子だという事を」
赤松がそう言うと、僅かに青木の眉がピクリと動いた。
「それは……まあ、初耳だけど。つかそれ、本当なのか? 女子高生が通り魔って……」
「フ……、この俺がいままでおまえに嘘をついたことがあるか?」
「あるけど」
「その辺りは安心しろ。この情報に限って言えば九割九分九厘が憶測だ」
「ぶっ飛ばすぞ」
「フハハハ! 言う相手を間違っているぞ青木! ぶっ飛ばすのは俺ではない。……通り魔、だろ?」
赤松はそう言って青木にウインクを投げかけた。
「うぜえ……」
「それに、たとえ真実の如何を問わず、我が部がこのような不埒物を看過したとなれば、部の沽券に関わってくる。ここで世間に失望されるわけにはいかない」
「世間は漫画研究部にそんな働きを期待してねえよ」
「おまえだって、このまま一生『臆病者』のレッテルを貼られるのは嫌だろう?」
「おまえに『愚か者』ってレッテルを一生貼り続けてやりたいよ」
「――さて、愉快な問答ももう十分だろう。ゆこう青木。我らが正義を世間に見せつける時だ」
赤松はそう言って、ポンと青木の肩に手を置いたが、青木は赤松の手を払いのけた。
「だからおまえ一人で行って来いよ。俺は漫画の研究でもしとくから」
「どうしてもか? どうしても嫌か? 青木よ」
「しつこい。行かねえって言ったら行かねえ」
「……五百円」
赤松は人差し指と親指で輪を作ると、その輪の中から青木の顔を見た。
「……は?」
「そういえば青木、おまえはたしか俺に五百円の借りがあったよな」
「そ、それは……!」
「ちなみにそれは、いつ俺に返してくれるんだ?」
「ぐぬぬぬ……!」
「……たしか今、おまえの財布に五百円玉があったよな?」
「な、なぜそれを……!?」
赤松にそう指摘されると、青木は自分の尻ポケットの膨らみにサッと手をやった。
「ほう。やはり、持っていたか」
「おまえ……カマをかけたな……!」
「フン。もはや債務者であるおまえのほうに正義はない。その正義を返してもらおうではないか」
「く……! しかしこいつは……この五百円玉だけは……!」
「青木よ、何をためらう必要がある? 俺は難しい事など言っていない。ただおまえの財布の中にある正義を返せと言っているのだ。赤子でも出来る」
「はぁ……はぁはぁ……はぁ……ッ!」
「やれやれ……何故だか無性に腹が減ってきたな。今すぐ駅前のタピオカ屋に行って五百円のタピオカミルクティーを飲まなければ、餓死してしまうかもしれん」
「うう……ぅあああ……あああああ……!」
青木は両手で頭を抱えると苦しそうに喚いたが、赤松はそれに構わず続けた。
「……今すぐおまえから奪い取ってもいいのだぞ?」
「や、やめてくれ……! この五百円玉は今日の帰りに買うゴロゴロコミックのために取っておいた五百円玉なんだ! おまえに借りた五百円は来月のお小遣いの時に返す! 必ず返す! ……だから後生だ赤松! 見逃してくれ……!」
「……フム。ところで青木よ。俺は今から件の通り魔を探しに行くつもりなのだが……おまえはどうする? いま、この場で答えを聞かせてほしい」
「お供……させていただきます……!」
「グッド」
赤松は指で作っていた輪をほどくと、ニンマリ笑って青木を指さした。
◇
「……なあ、赤松。本当にこの曲がり角でいいのか?」
辺りが薄暗くなってきた頃、赤松と青木は閑静な住宅街にある、人通りの少ない十字路へとやってきていた。
「そうだ。彼奴……通り魔の犯行はまず間違いなく、この見通しの悪そうな十字路で行われている」
「犯行にはうってつけって事か」
「ああ、ここまで見通しが悪ければ……見通しが悪ければ……」
赤松は急に押し黙ると、不自然に空を仰いだ。
「見通しが悪ければ……なんなんだよ?」
「……『犯人は現場に戻る』ここで張っていれば、いずれ姿を現すだろう」
「なんなんだおまえは」
「ふぅ、さて……おい青木! どこに陣取って張り込みをするんだ? ええ? おい、このムッツリスケベめ!」
赤松は突然、とても楽しそうに青木の背中をバシバシと叩いた。
「ノリがうぜえな……つか、なんでおまえそんなに楽しそうなんだよ」
「おい青木! あの電柱とかどうだ? いい感じに電柱電柱していると思うのだが……おまえはどう思う?」
「話を聞いてくれよ……」
「あと、ホレ。こんなこともあろうかと、あんぱんと牛乳も二人分買って来てやったぞ。こしあんかつぶあん、どっちがいい? 遠慮せずに選べ」
赤松は鞄から取り出したあんぱんと牛乳を、何度も青木の頬にぎゅうぎゅうと押し付けた。
「ど、どっちでもいいよ」
「つれない事を言うな。おまえの発言次第で、こしあんつぶあん大戦が勃発するぞ」
「まじでどっちでもいいよ! はぁ……じゃあ、こしあんで」
「ククク……残念だったな。どちらもつぶあんだ」
「今ここで戦争を起こしてやろうか?」
青木は半ば強引に赤松の手からあんぱんを奪い取ると、ビニールの包装を破いて、そのままかじりついた。赤松もその様子を満足そうに見送ると、丁寧にあんぱんの包装を破り、ひとつひとつちぎって口の中に入れた。
しばらくして二人ともあんぱんを食べ終わると、青木が背中越しに赤松に話しかけた。
「……なあ赤松、そもそも場所がわかっているのになんで捕まらないんだ? ここに警察呼べば一発だろ?」
「………………」
「……赤松?」
「………………」
「おい、話聞いて――」
青木が振り返ると、赤松は手に持ったパックの牛乳を、ただ虚空を見つめながらチューチューと吸っていた。
「ああ!? おまっ……こいつ、もう飽きてやがる……!」
「……なんか飽きてきた」
そう答えている赤松の目は、すでに死んだ魚のような目になっていた。
「ふ、ふざけんな! 人を巻き込んでおいてなんて顔してんだ!」
「なんというか、昨日刑事ドラマ見ててさ……」
遠い昔の体験でも語るように赤松は俯きながら話し始めた。
「いや、もういい。言いたいことは大体わかった。どうせその影響で張り込みしてみたかったとか言うつもりだろ?」
「そのとーーーーり!」
赤松は突然元気になると、人差し指をピンと立てて答えた。
「某中古ピアノ買取CMみたいなに言うな!」
「ほんじゃあ帰るか!」
「訛るな! つか、ここに来るまでの交通費で五百円消えてんだよ! このままじゃゴロゴロコミック買うどころか帰り徒歩じゃねえか! どうしてくれるんだよ!?」
「まさにトホホな状態だな」
「マジでぶっ飛ばすぞ……!」
「いや、ぶっ飛ばすのは俺じゃなく通り魔――」
「そうだ! 絶対に通り魔捕まえるからな! それでそいつ警察に突き出して、その報奨金でゴロゴロコミックを買ってやる!」
「いっぱい買えるな」
「買うのは一冊だけだよ!」
「んじゃ」
赤松は手をサッと上げると、踵を返そうとした……が、青木はすぐさま赤松の襟首を掴んだ。
「返さねえよ!?」
「嫌だよ怖い」
「おまえは何のためにここに来たんだよ!」
「電柱に隠れてあんぱんと牛乳を食うためだ」
「バカヤロウ! そのために俺の五百円玉犠牲にしてんじゃねえ!! それに電柱ならどこにでもあるだろうが!!」
「ここの電柱じゃなきゃダメなんです……!」
「おまえをここに埋めて電線を張ってやろうか?」
「まあまあ、そんなこと言っても、うまかっただろ? ……あのあんぱん」
赤松はそう言うと、ちょいちょいと肘で青木の腹をつついた。青木は少しだけ頬を紅潮させると、照れくさそうに「ま、まあ……うまかったけどさ……」と答えた。
「じゃあ、いいじゃん」
「なにが!?」
「どーーーーーーん!」
「ぶべらのもすッ!?」
閑静な住宅街に突然響く、青木と赤松以外の第三者の声。
赤松は断末魔を上げながら、仰向けでアスファルトの上に倒れた。
「あ、赤松!? て、てめえ……赤松になにを……!?」
驚き半分、怒り半分といった表情で青木はその第三者を睨みつけた。
「はぁ……この人も違った……」
心底残念そうな声を洩らしたのは、制服を着た女子だった。女子は倒れた赤松には一瞥もくれず、その場から去ろうとした。
「……は? いやいや、ちょっとちょっと、おいおい待て待ておい待て待て!」
「ラッパー?」
「いや、なんか思わず韻踏んじゃったけど……、なに人のツレの顎に頭突き食らわせてそのまま逃げようとしてんだよ……て、は!? まさか、おまえが通り魔なのか?」
「はて通り魔? 何のことでヤンスかね?」
女子は人差し指を顎にやりながら、可愛く首を傾げてみせた。
「言動と行動が合ってねえよ。……いや、最近ここらへんで無差別に人の顎を狙いまくる通り魔が……」
「え~? 何それキモ~い! 人違いじゃないですかぁ?」
「おまえみたいなやつが他にもいるなんて考えたくねえよ! てか、絶対おまえだろ! 来い! 警察行くぞ! つき出してやる!」
青木はそう捲し立てると、女子の手首をガッと掴んだ。
「え!? ちょ、いきなりなにを――誰かー! 誰かヘルプミー! サムバディヘルプミーフロムザヘンターイ! 現在進行形で暴漢に襲われていまーす!」
女子はそう叫ぶと、必死に身をよじって青木の手を振りほどこうとした。
「うるせえ! 暴漢っていうか、こっちはツレが暴女に一発KOされてんだよ! 見ろ、赤松のやつ、なんか小刻みに痙攣してる!」
「オウ! ワタシ、ニッポンゴワカリマセーン!」
女子は一旦暴れるのを止めると、口をすぼめてお手上げのポーズをとってみせた。
「古臭いネタ使ってんじゃねえ! つか、なんでおまえ食パン咥えてんだよ」
「ソレハ、ステキナデアイヲサガシテイルカラデース!」
「いつまでそのネタ使ってんだよ!」
「ナンカ、クチョウガモドラナクナッテシマイマーシター!」
「ふざけてるとマジで今すぐ警察つき出すぞ!」
「ごめんなさい。ほんとマジで警察だけは勘弁してください」
女子は青木に言われると、何度も頭を下げてみせた。
「ったく、ふざけやがって……おい赤松、起きれるか、おい」
片手がふさがっていた青木は必死に足を延ばすと、そのまま赤松を何度か突いた。
「し、死んでる……!?」
女子は口に手を当て、息を呑んだ。
「死んでねえよ! 適当言うな! 気絶してるだけじゃねえか! ……いや、気絶って十分深刻じゃねえか!」
「なにひとりでキレてるんですか」
「うるせえ! 今から赤松起こすから手離すけど、絶対に逃げるんじゃねえぞ! 絶対だぞ!?」
「オゥシット! それはフリですか?」
「ちげーよ!! ……おい赤松、起き――」
青木が手を離すと、女子は脱兎の如くその場から退散した。
「ひゃーーーーはははははは! カーーバめ! 偶蹄目カバ科カバ属に分類される偶蹄類め! まんまと手を放しやがって! この私の驚異のバネを舐めんじゃ――」
ガシ。
青木は難なく女子に追いつくと、今度はがっちりと両手で女子の両腕を固定した。
「あの……五十メートル、何秒?」
青木は少しだけ憐れむような顔で女子に質問した。
「じ、じゅうよんびょう……でしゅ……」
◇
「うう……ほんと……まじで……勘弁してください……許してください……ごめんなさい……申し訳ございません……警察だけは……別名国家権力の走狗ポリ公だけには……!」
赤松を助け起こした後、青木は女子を拘束したまま、近くのファストフード店に移動していた。女子は安っぽい机の上にゴンゴンと、何度も頭を打ち付けて謝罪していた。
「こいつ口悪ぃな……。でもまさか、噂の通り魔が保護観察中の女子高生だったとは……どう思う? 赤松?」
「マジにJKじゃねえか……」
赤松はポテトを何度も口へ運びながら、驚嘆の声を上げた。
「女子高生のくだりマジで適当に言ってたのかよ……で? 緑川さんだっけ? なんでこんなことしてんの?」
「それは……」
「それは……?」
「言えますぇんっ!」
緑川は前髪をグワッとかき上げながら答えてみせた。
「もしもし警察ですか?」
「ウオラァーーーーーーッ!! キェーーーーーーッ!! あばばばばばばば!!」
青木が電話を耳に当てると、緑川は突然奇声を上げた。
「やめてくださいやめてください! 話します! 話しますから!」
突然の緑川の奇声に、店の従業員含め店内にいた全員が三人を見た。
「び、ビックリした……たく、最初から話せっての」
「あの、じつは私、素敵な出会いを夢見ておりまして……」
「……頭大丈夫?」
「ええ、私こう見えて全国模試百三十二位ですので」
「お、おう……」
「ご存知だと思いますが、古来より、曲がり角というものは素敵な出会いの場の巣窟でして……」
「すみません。そのような事実は存じ上げておりません」
「不肖私、この歳になってまで恋の一つも経験したことのない生粋の生娘でして、胸を焦がすほどの恋に恋焦がれていたのです。まさに恋に恋するお年頃。それはもう頻繁にお花摘みをするほどの乙女なんです」
「……もしかして、花も恥じらう乙女って言いたいの?」
「そんな私が出会ったのはとある一冊の文献でした。その文献の中にはこう記されておりました」
緑川はコホンと咳払いをすると、急に立ち上がり、一人三役になって芝居を始めた。
「『いっけなーい、遅刻遅刻ぅー! どん! きゃっ! ……おいおまえ気をつけろよ! な、なによぅ、ぶつかってきたのはそっちじゃない! て、こんなことやってる場合じゃないわ! 遅刻遅刻ぅー! あ、おい! ちょ待てよ! 数分後、ホームルームにて。……今日は転校生を紹介します。あ、あなたは! お、おまえは!』……以上、夢咲夢乃作『出会いがしらは鉄に味』の序章でした」
「あのさ……それ、少女漫画だよな?」
「私が認知していないだけでそう呼称されるケースも、ひょっとしたらあるのかもしれませんね」
「そうとしか呼称されねえよ! ……つまりあれか、要約すると素敵な出会いを探して毎日毎日あの曲がり角でパンを咥えながら、無差別に男にぶつかりまくっているわけだ」
「イエス! アイアム!」
緑川はちっちっと人差し指を左右に動かすと、そのまま真下へ振り下ろした。
「……とんだ変態じゃねえか!」
「ちょ、だれが露出狂やねん!」
「混乱するから妙なツッコミをするな」
「それで……あのぅ、ちゃんと話したのでポリスメンにだけは……」
「……はぁ、たしかにナイフとか振り回してるわけじゃないし……ていうかそもそも、保護観察中って何したんだよ」
「辻頭突きです」
緑川はそう言うとこれ見よがしにブンブンと頭を振ってみせた。
「こっわ……あと、辻斬りみたいに言うな!」
「神に逢うては神を頭突き、仏に逢うては仏を頭突く。然る後、初めて極意を得ん。斯くの如くんば、行く手を阻む者、悪鬼羅刹の化身なりとも、豈に遅れを取る可けんや」
「もはや目的を見失ってんじゃねえか!」
「テヘペローニ三世」
緑川は両手でブイサインを作ると、白目を剥いて舌を出した。
「おまえ本当に反省してんのか!?」
「は、反省してますよ! 何言ってんすか、先輩! 私は正気に戻ってます! ……なので、見逃してください!」
緑川はそう言うと、再び、何度も机に頭をぶつけてみせた。
「やめろやめろ! はぁ……もうやらないって約束できるな? もし、もう一回そういう噂を聞いたら問答無用にチクるからな?」
「はい! それはもう! 本人にもキツく言い聞かせておきますので!」
「おまえだよ! ……まあ、そこまで言うなら。報奨金は惜しいけど反省してるみたいだし、なによりこれ以上問題起こしたら本当にパクられるんだろ?」
「はい。もう後がないんです……しくしくすんすん……」
「すぐバレるようなウソ泣きを止めろ……なんか頭痛くなってきた。おい赤松どう思うよ」
「チーズバーガーを追加注文していいか?」
赤松はスッと立ち上がると、上半身だけ青木たちへ向けた。
「食欲旺盛だな! もう十個目じゃねえか!」
「あの、私はアップルパイ食べたいんですけど百円のやつ」
「勝手に食えよ!」
「よし、買ってきてやろう」
「優しいな!」
「割り勘だがな」
「ちっせえな!」
「八対二でどうですか?」
「ちっせえな!」
「六対四だ。これ以上の譲歩はできない」
「ちっせえな!!」
「じゃあやっぱりいいです。私、アップルパイ好きじゃないし」
「いいのかよ!! ……もういいわ。いろいろ疲れた。帰る。青木、帰りの電車賃貸してくれ」
「おいおい、赤松金融の利子は高くつくぞ?」
「誰のせいでこうなったと思ってんだよ! 無利子無担保で貸せ!」
「あ、よろしければ私がお出ししますぜ。迷惑料ってことでご査収くだせえ」
緑川はデヘデヘと笑いながら、鞄から財布を取り出した。青木は少しだけ考えると、緑川を見ながら言った。
「いや、助かるけど……それは悪いから、お小遣いが入ったら返すよ」
「わかりました。じゃあ小遣いが入ったら……電話してちょ~だ~い」
「おまえらそのCM好きだな!!」
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