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第一部
※※まどろみの朝
ふわふわと体が軽い――――
そして色々な記憶が流れ込んでくる――――
お祖母様の記憶、お母様の記憶……歴代の白の魔女の記憶が走馬灯のようにどんどん流れ込んできてはシャボン玉が弾けるように消えていく。
私が真に愛する者と結ばれた時、全ての力が目覚めると言われていたのを思い出し、魔女としての全てが私の体に刻まれているのだと感じる――――
私は白の魔女――――本当に魔女だったのね――――
ゆっくりと意識が戻っていき、瞼が開いていくと、私はドミニク様の腕の中にすっぽりと収まっていた。
顔を上げてみると、私の大好きな彼の顔がすぐに唇が触れてしまいそうなほど近くにある。
艶やかな長いダークブルーの髪がサラリと彼の頬にかかっていて、形の良い瞼は閉じられたまま寝息を立てていた。
目が細いのであまり分からなかったけれど、まつ毛がとても長いわ……とても穏やかな時間に、これは幸せな夢だなと勘違いして彼に擦り寄っていく。
なんて幸せな夢だろう。
目覚めたらドミニク様の腕の中に……昨夜は――――そこまで考えて思考が停止する。
そう言えば昨夜は舞踏会の後公爵邸に連れて来られて、彼の部屋で……ドム…………?いつの間に私はドミニク様を愛称で呼ぶようになったのだろう。
色々な事が混乱して頭がついてこない。
ふと自分の体を見てみると、そこには沢山の痕がついていた。
これはもしかして、キスマークというもの?
首や鎖骨などの部分は確認のしようがないけれど、胸やお腹、太ももなど至るところに痕がついていて、昨夜の情事を一気に思い出させてくれたのだった。
そうだった、昨夜はお互いに愛を確かめ合って夜が明ける寸前まで激しく求め合ったのだわ……私の体は途中で限界を迎え、意識を手放す寸前で体が光っていたような……。
おそらく真に愛する人と結ばれた私は、白の魔女としての力が覚醒したのだと思う。
でもその瞬間に意識が飛んでしまうなんて……昨夜がいかに激しかったのかをまざまざと思い出し、恥ずかしさに見悶えてしまった。
でもふと気付く、体がとても綺麗になっているわ。
私が眠りに落ちた後、ドミニク様が全て綺麗にして下着までつけてくれたのね。
そんな事も嬉しいような恥ずかしいような……私が一人で百面相をしていると、頭上から大好きな人の声が聞こえてくる。
「ティナは朝から表情豊かだね。何を考えているのか私にも教えてほしいな」
声の主の方をゆっくりと見ると、意地悪な笑みを浮かべながら私を見つめている彼の顔がすぐ近くにあった。
「お、おはようございます。起きていらしたのね。声をかけてくれればいいのに……」
「ふふっ、君の表情がコロコロ変わるのが可愛くて、気付くまで見ていようと思ったんだ。全然気付きそうになかったから声をかけたんだよ」
「もう!意地悪っ」
私がそう言って背中を向けると、ドミニク様が後ろから抱きしめてきて、甘い声で囁いてくるのだった。
「愛しい人、背中を向けないで。昨夜はあんなに愛し合ったのに」
愛しい人……そう呼びかけられると堪らなくなって体中が熱を帯びてしまう。
そうだ、昨夜はドミニク様にこれでもかっていうくらい愛を注ぎ込まれて、何度も愛してるって言ってくれたんだわ。
あらためて、ずっと憧れの人で大好きだった人と両想いになれた喜びが胸の中に広がっていく。
幸せを噛み締めていると、彼が私のうなじにキスをしてくる。
「ひゃっ……!」
「ティナ、こっちを向いてくれないの?」
甘い囁き……懇願するような声に見悶えてしまう。
彼はなかなか振り向かない私の背中を舌で舐め始め、両手で乳房をやわやわと揉みながら、指は先端を弄り始めたのだった。
「んぅっ…………んっ、あ、だめ……家に、帰らないと…………」
「そうだね、帰らないとだね。でも食事までもう少し時間があるから」
「え? あ、やぁぁ…………っ」
私の言葉に同意してくれたのも束の間、胸の先端を弄っていた指はすぐに下着の中に入り込み、彼の太くて大きな二本の指で中をかき混ぜ、私を責め立てくる。
そしてもう片方の指の腹ですっかり硬くなった花芽をこねくり回されると、私の腰はそれだけで喜びに震えだし、中にある彼の指を締め付け始めた。
ああ、ダメ。
こんな事をしていたらまた頭の中が気持ちいいでいっぱいになって、他の事がどうでもよくなってしまう。
長年片想いしていた相手に恥ずかしく乱れる姿を晒し、羞恥で消えてしまいたい気持ちに駆られているのに、ずっと味わっていたい自分もいて、初めてを迎えたばかりとは思えない乱れようだった。
淫乱な女性だと思われたらどうしよう……頭ではこのまま流されてはいけないって分かっているのに、もうすでに下腹部には甘い痺れが襲ってきて、彼を求めていた。
「ティナのここ、指を入れただけなのに軽くイってる?いやらしくおねだりするようになったね」
「……っ…………だって、気持ちよくて……おなかが、じんじんするっ…………ドミニク様ぁ……ッ」
「ドムだよ」
「ドム……意地悪しないで……」
彼の愛称を呼ぶと、すっかり湿り気を帯びた蜜口に彼の昂りがあてがわれ、待ちわびていたモノが一気に入り込んできたのだった。
体中に電流が走ったかのような痺れと、喜びが同時に襲ってくる。
「あ、あぁぁぁっ……や、あ……ぁぁっ」
目の前がチカチカしている……挿入れられただけなのに。
足の先までピクピクし、頤はだらしなく開かれたまま呼吸を整えるだけで精一杯。
次第に彼の肉杭は、中の感覚を確かめるようにゆっくりと動きだした。
「ごめんね、ティナが可愛くて……また、そんなに締め付けるから」
優しい律動はやがて激しいものへと変わっていき、後ろから突き上げられるような形で奥を刺激してくる。
私は奥が弱いのか、刺激されるとすぐに頭が真っ白になって何も考えられなくなってしまう。
朝からこんな形で乱され、快楽を刻まれる事になるなんて……蜜で溢れている蜜壺は、自分でも無自覚に彼の精を絞り取ろうとしているのだった。
「ああ、もう……っ」
彼から艶めいた声が漏れ出ると私も堪らなくなり、一気に淫熱が押し上げられてしまう。
「あっ、私も、あぁぁんっ…………イくッ……~~~!!」
浅い呼吸を繰り返しながら絶頂を迎え、お腹の中に彼の放った熱がじんわりと拡がっていくのを感じた。
昨日から一体どれほど注がれたのだろうか……ドミニク様の熱を下腹部に感じるたびに信じられないくらいの幸せが襲ってくる。
そして不思議と魔力が満ちている感じがして、力が湧いてくる。
彼の愛を感じるたびに心も体も満たされるのかもしれない。
こんなに幸せでいいのかしら――――私の中でどくどくと脈打つ彼の存在を感じながら、体はまだ欲しいと求めて止まない。
でもひとまずは家に帰って、両親にお泊りの説明をしなくては。
このままズルズルとまた夜までいる事になったら、色々と外聞も良くないだろうし、ここは一旦冷静に考えよう。
荒い息を整えながらそんな事を必死で考えていると、ドミニク様が上から覗き込んでキスをしてくれる。
大好きな人の笑顔を見ていると、これから家に帰らなくてはならないのが名残惜しい気持ちでいっぱいになるわ。
早くずっと一緒にいられるようになりたい。
そんな事を思いながら彼の胸に顔を埋めた。
「あんまり可愛い事をされると、また暴走してしまいそうになる」
「え、そ、そろそろ帰る支度をしなくては……」
「ふふっ、そうだね。チェザーレ達にも報告しなければいけないし、名残惜しいけど用意しようか」
あまりベッドにいるとまたくっつきたくなってしまうわね。
ここは気持ちを切り替えてサッとベッドから下りて支度に取り掛かろうとすると、扉をノックする音が響き渡ったのだった。
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