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僕らのアオハル
しおりを挟むクラスメイトが騒ぐ中に雫もやってきて僕と肩を組み、真っすぐな言葉で労ってくれたのだった。
「亮~~お疲れさん!頑張ったじゃん!」
「雫…………」
溢れ出る嬉し涙はとめどなく流れ、しばらく止められなかった。
中学時代、周りの目なんか気にする必要ないと思いながらも、嫌な言葉は僕の心を容赦なく抉ってくるし、そんな言葉から自分の心を守る為に分厚い眼鏡をかけるようになった。
でもこの高校では眼鏡がなくても大丈夫かもしれない……そう思えた事が何より嬉しい。
ふと後ろから肩を軽く叩かれ、振り返ったところに結人が立っていた。
そして眼鏡を手渡してくれて、頭を撫でてくれる。
「頑張ったな、1位おめでとう」
「へへ……ありがとう」
「でも眼鏡はしておいた方がいいぞ。何も見えないだろうから」
「うん、そうなんだ。全然見えなくて……拾ってくれてありがとう」
僕の事をいつでも分かってくれる幼馴染の配慮がありがたい。
渡された眼鏡は壊れていなかったのでホッと胸をなでおろし、さっそく装着した。
「やっぱり視界がいいな~~眼鏡最高!」
喜ぶ僕の後ろで、クラスメイトが結人に何か文句を言っているのが聞こえてくる。
「なんで余計なことするんだよ!」「そのままでいいのに~~」「天使様が……」
「うっせ。ほら、散れ。散れ」
なんだかクラスメイトから一瞬不吉な言葉も聞こえてきて、眼鏡をかけて正解だったかもと思ったのだった。
この後は最後の競技である全学年種目のクラス対抗リレーがあるので、皆が散り散りになり、僕はクラスメイトと一緒にリレーを見守る事にした。
その間も「もっかい眼鏡取って」「あのままでいいのに」とかずっと言われ続け、やはり眼鏡は必須だなと思った。
第一、眼鏡ないと何も見えないし。
リレーには雫もメンバーに入っていて、結人や駆流クン、真司もリレーのメンバーだ。
彼らの姿をしっかりと目に焼き付けたい。
皆凄いな……雫なんて計算競争リレーでもメンバーだったのに、クラス対抗リレーまで……文武両道を地で出来る人がいるなんて。
それでいて優しいし裏表もなく、いつも真っすぐな言葉をくれる。
雫と付き合う人は絶対幸せになれるだろうな。
そんな事を考えながら、大好きな幼馴染へ視線を移した――――カッコいいなぁ。
ストレッチしている姿も様になってるし、Tシャツから見える腕や首筋も色っぽい。
足の筋肉も男らしくて、僕とは全然違う。
遠目からなのに幼馴染がカッコよすぎて、色めき立つ女子たちと同じ気持ちになっていた。
今日を忘れたくないな――――
スタートの合図とともに一年生のリレーがスタートし、その光景を眺めながらしみじみと思った。
雫は第一走者として5位でバトンを渡し、1組は意外といい勝負をしている。
6組の第三走者は駆流クンで、アンカーは結人……そして1組のアンカーは真司だった。
二人の対決は面白そうだ。
6組は団結力が凄いし運動が得意の人が多いのか、色々な種目で1位なので総合優勝も6組だろうな。
リレーも1位だし……しかもダントツだ。
駆流クンも速いし、このまますんなりかと思ったところで真司の追い上げが物凄く、どんどんゴボウ抜きしていく。
「間宮スゲー!!」「いけ――――」「駆け抜けろ!!!」
クラスメイトが口々に叫び、その応援に応える真司に感動してしまう。
でも僕は――――結人ガンバレ――!!
心の中で祈るような気持ちで、違うクラスの幼馴染を応援していたのだった。
真司の猛追をかわし、見事結人が1位を死守して6組が優勝を果たし、クラスメイトと喜ぶ結人を遠目から見守る。
僕も同じクラスだったらあの中で一緒に喜べるのにな、と少し羨ましく思いながらも、クラスに溶け込む幼馴染を見て幸せな気持ちになったのだった。
これで今年の体育祭も終わりか――――
空を見上げてちょっぴり感慨にふけっているところに、遠くから大好きな人が自分を呼ぶ声が聞こえてきた。
「亮!!」
笑顔でこちらに手を振る結人――――
結人の周りだけ時間が止まっているように見える。
引き寄せられるように幼馴染に近付いていくと、すぐに腕を引かれ、結人は僕の担任に「実行委員の仕事あるんで」とだけ告げて、そのままグラウンドを後にしたのだった。
~・~・~・~・~
「結人……結人……どこに行くの?」
腕を引きながら校舎内をズンズン進む幼馴染に、恐る恐る声をかけてみたけど反応がない。
ずっと無言だし何をしようとしているんだろう。
しかもこれから閉会式で、実行委員の仕事は閉会式後の後片付けのみだ。
つまり僕たちは先生に嘘を言ってグラウンドを去ったという事になる……それだけでもドキドキなのに、大好きな人と二人で……心臓が口から飛び出してきそう。
とにかく落ち着かないと、と思い、深呼吸を繰り返していた。
校舎には誰もいないので静寂に包まれた中、ようやく結人が口を開いて質問に答えてくれた。
「お前、膝怪我してるだろ」
「うん。忘れてた……」
「ったく。保健室行くぞ」
「ありがとう」
そういや計算競争リレーの時に派手にコケて、膝を怪我していたんだった。
リレーの応援で頭がいっぱいで、すっかり忘れてた……結人はリレーのメンバーだったから、終わってから連れて来てくれたのかな。
だとしたら……嬉しいな。
保健室は一階にあるので比較的すぐに着き、中には養護教諭の先生がデスクに向かって座っていた。
「っす。失礼しゃす」
「失礼します」
「あら、もしかして怪我?」
養護教諭の先生はまだ20代で綺麗な先生なので、生徒(特に男子生徒)から人気の先生だった。
既婚者なのを嘆いてるクラスメイトもいたっけ。
結人もこういう女性が好きなんだろうか。
そのうち結人の好みとか聞いてみたいな。
そんな煩悩を振り払い、ひとまず丸椅子に座るように促されたので、先生に手当してもらったのだった。
「今日はお湯に浸からない方がいいわね。それほど深くないから瘡蓋が出来ればすぐに良くなっていくわよ」
「ありがとうございます!」
「私は閉会式行かないとだから。高嶺君は休んでていいわよ、担任にも伝えておく」
「すみません。ありがとうございます」
凄く親切で優しい先生だなぁ。人気があるのも頷けるかも。
幼馴染の顔をチラリと見るけど表情は窺えない。
保健室で休めるのは嬉しいものの、結人には戻ってほしくないなんて……僕って我が儘だ。
そんな僕の気持ちが見透かされているような言葉が、幼馴染の口から飛び出してくる。
「俺、コイツに付き添います」
「分かったわ」
養護教諭の先生は頷き、颯爽と出て行ってしまったのだった。
「えっと……戻らなくて大丈夫?」
「なんも問題ねーよ。お前の方が大事だし」
う、嬉しい…………結人に大事だと言ってもらえるぐらいには仲良くなれてるって事だよね。
僕だって君が大事で……君が思う以上にずっと大事で大好きなんだよって伝えたい。
涙が目に滲んでくるけどそんな事もどうでもよくて、分厚い眼鏡を外し、椅子から立ち上がって彼の顔がぼやけない距離まで近づいた。
「亮?」
「ふふっ」
僕が何をしようとしているのか分からずにキョトンとする表情が可愛い。
そのまま勢いで、大好きな幼馴染の唇にキスをした。
触れるだけのキス。
ちゅっと乾いた音がして唇が離れる。
俺を好きになれって言うんだから、お返しだよ。
「僕を好きになって、結人」
驚き瞠目する幼馴染の反応をジッと見つめた。
僕にしては物凄く勇気を出したんだ……何か言ってほしい。
もしかして嫌だった?
あまりにも反応がないものだから不安に駆られ、声をかけようとした瞬間、その言葉は彼の唇によって塞がれ、かき消されてしまうのだった。
体育倉庫でのキスと同じ、互いの存在を確かめるようなキスに酔いしれる。
結人の腕の中にすっぽりとおさまり、この腕の中では何も心配する事はないんだと思えて、互いの匂いや体温、感触に頭がクラクラしてくる。
好き。大好き。
どれくらい時間が経っただろうか……名残惜しそうに唇が離れ、熱を帯びた彼の瞳に釘付けになる。
結人は僕の頬に何度もキスを繰り返しながら、耳元で囁いた。
「もうとっくに好きだから」
一番聞きたかった言葉にまたしても涙が滲んできたけど、喜びや涙でぐちゃぐちゃになりながら自分の気持ちを正直に口にした。
「へへっ。僕も……大好き」
ようやく口に出来た言葉。
僕たちは誰もいないのをいい事に何度も何度もキスを繰り返し、互いの気持ちを確かめ合った。
外から閉会式が終わった生徒の声が聞こえてきてもしばらく離れる事が出来ず、気持ちが届いた幸せにいつまでも酔いしれたのだった。
~~Fin~~
ひとまずこれにて完結になります~~^^
初の青春BL作品、いかがでしたでしょうか?
ここまで読んでくださった読者の皆様に感謝いたします!!体育祭書くの楽しかった~~(*´ω`*)
今度はゴリゴリにR18作品書きたいなと思ったり、また青春書きたいなと思ったり……ドキドキの学生生活っていいよね!^///^
もし次に青春BL書くとしたら、もっと甘ーい感じにしようかなと思います。
続編書くとしたら第二部は結人VS真司、駆流クンと雫のお話を絡めてって感じになるかなーなんて思いながら^^
中学時代に亮をいじめていた男子に大学で再会とかもいいよね~~なんて。
色々妄想は進みますが、亮と結人には幸せでいてほしいです!
ハピエン至上主義なので( *´艸`)
ではでは、読者の皆様に多大なる愛を込めて……またお会いいたしましょう^^
Tubling
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Tublingさん、BLも書くんだ!?となりました!
読むぞ〜😊♥️
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ひえっ😋💕
初のBLなのです~~BL読むの大好きなのでコンテスト用に頑張りました😂
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応援ありがとうございます~~😭✨
拙い部分もありますが読んでいただけると嬉しいです!( *´艸`)