両手に野獣

1章

１話

ブーブーブー

アラームが鳴ってる…起きたくない……
ブーブーブーブーブーブー
「はいはい、起きます起きますってば」
　
俺の名前は、白橋明間しらはしあすま見ての通り朝が苦手なただの22歳だ
　最近はとても寒くなってきたから余計に朝が辛い起きたくないが、仕事があるので仕方なく体を起こし身支度を済ませながらテレビを付けた

『今回のテーマはオメガバースについてだよ！みんなはもう知っているかな？オメガバースは男女の性別とは別にa.B.Ωという性があるんだよ』

『Βは、全体の70%で大体の人がこれに当てはまるねΩは全体の10%ととても少なく誰でも子を生むことができるのよαは全体の20%で"優秀"な人が多くいるのΩとαは稀に運命の番が現れるんだよね？』

『へー智子さん詳しいね』

『当たり前でしょ』

テレビを付けると子供向け教育番組が流れていて２人が和気あいあいと話している

「…αは優秀な人が多い…か…」

かくいう俺も全体の20%の中にいるαだったりする「優秀なα」には当てはまらない…どうやら俺はαとして劣っているらしい
　医師からそんな感じの診断をされたときはかなりのショックで落ち込んでいた今となってはそんなに気にしていない(みんな俺のことをΒだとおもっているし…)
支度を済ませた俺はさっさと自分の働いている「三葉カフェ」へ急いだ

「あら、明間くんこれから仕事？」

「はい」

大家である森川花さんは強い風によって飛ばされた落ち葉を掃除している
　たまに「おかずを作りすぎちゃたの」と言ってお惣菜を分けてくれる優しい人だ

「そういえばこのアパートに引っ越してくる人がいるのよ見かけたら挨拶してちょうだいね」

「分かりました掃除ありがとうございます」

いいのよ～と言って手を降り見送ってくれた
新しく引っ越して来る人ってどんな人なんだろう


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チャリーン

カフェのドアを開くと鐘の音がなった最近新しい鐘にしたから結構音がでかい

「おはよう明間くん今朝は寒かったねちゃんと起きれて偉いなー」

ここみつばカフェのオーナーである六峰三葉むつみねみつばさんは俺の頭をワシャワシャと撫でた
世話焼きな人で色んな人から信頼されている

「ちょやめてくださいよ」

「ふふごめんごめん」

三葉さんはそう言うと開店準備のためカウンターに入っていった
　元々この建物は使われていないレストランだったそうだ管理者に問い合わせてみたら安く買い取れたのでカフェを開業することにしたと言っていた
　そして一年前サラリーマンとして働いていた俺はここに転職することにったのだ三葉さんは実はこのカフェ以外にもかなり有名なホテルを30歳という若さで経営しているしかも番もいるという…同じαなのにこんなに違うだなんてここまで来ると流石にビビるぞ…
　
チャリーン

「おはようございます」

「…はよ」

「二人共おはよ」

琉生るきはとても礼儀正しくていい子だがそれに対して康二こうじは生意気で俺を、こき使ってくるかなりうざいやつだそんな２人は実は幼馴染で19年間一緒だと言っていた


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外ももう暗く　
五時に差し掛かろうとした時二人の客が店に入ってきた