がんじがらめの契約と狂愛〜聖女になれなかった異邦者の唯一〜

く〜いっ

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66 あれから……

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「アラン、聞いてくれる?」

 素足を青く発光している滝壺につけ、水をバシャバシャ跳ね蹴りながら、作業をするアランに話しかけた。

「どうした?」

 ぐいっと彼が、シャツで汗をぬぐう。鍛えられた腹筋がシャツの下からちらりと見え、思わず頬に血が集まるのを感じた。仕草ひとつひとつが色っぽい。彼は私の隣にどかりと腰をおろすと、私を抱きよせ、頭に口づけを落とす。

「ふふ、汗臭い~」
「ああ! すまん」
「いいの、安心するから」

 キュッ! と、アランの首に抱きつき、彼の耳元で囁く。

「もっと私にアランの匂いが染みつくぐらい、ギュッてして」

 彼はグッと息を呑み、大きな手で顔を覆い天をあおいでしまった……

「アラン?」

 彼の顔を見ようと、下からのぞきこむように首をかしげる。アランはいきなり私を押し倒し、噛みつくような接吻で口をふさがれた。

「はぁ……んっ……まっ、待って! ああっ……」

 ――私の抗議は聞きいれてもらえず、彼が満足するまでドロドロに愛された。

「もぅ! 『聖者の手記』の話を聞いてもらいたかったのに!」
「俺は悪くない! 今のはリオのほうが悪い!」
「なに、子供みたいなこと言っているのよ!」

 アランの鼻をぎゅっと、つまんで怒ると、彼は舌を伸ばし私の手をぺろりと舐めた。

「きゃあ!」

 思わず彼の鼻から、手をはなしてしまう……アランはニヤニヤ笑いながら私を見ていた。

「リオが可愛らしすぎるからだ! リオを抱きたいと思わせるように、俺の心を煽る、リオのほうが悪い」

 思いがつうじあったあと、彼は愛情をかくさない。真っ赤になった私の髪をいじっている彼に向かって叫ぶ。

「アランが私を大好きだってことなら、知っているわ!」

 アランは、ぱぁ~と! 輝くような笑顔を見せ、私を抱きしめようと腕をひろげた。

「でも、今は待って! ちゃんと『聖者の手記』のこと、話しておきたいの」
「わかった! ちゃんと聞こう。いれながらでいいか?」
「いれながら?」

 彼は胡座を組んだ下半身を指さし、お腹につきそうなほど屹立した自分の分身を私に見せつける。

「……バ、バカ――――――――!」

 とりあえず、彼の頬をペチンと叩いた私は、悪くないと思うの!





「リオ……」
「聖者はとても後悔しながら亡くなったの」
「リオ、ちょっと……」
「最初は魔法のある世界にきて、とても驚いたけれど、ワクワクもしていたわ」
「リオ、頼む……」
「も~、なによ?」

 体をもぞもぞ動かして、話に集中しないアランを睨みつける。

「この姿勢は……ちょっと、辛いものがあるんだが……」

 正座した太腿の上に私を横抱きで座らせているアランが、ボソボソとしゃべる。服はしっかり! きっちり! 着てもらいました! ここがふたりしかいないシノアの聖域であっても、きっちりと! です!
 アランのクラヴァットをぎゅうぎゅうに締めなおしながら、高らかに宣言するとしましょう!

「おしおきだから、姿勢を変えるのは、ダ・メ・で・す!」

 ――そうして私は、聖者の苦悩の日々を語りはじめた。
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