7 / 60
病魔
しおりを挟む
身体が重い...だけどこれは発情期って感じじゃないな。前回の発情期からまだそんなに空いてないし。
はぁ、昨日傘もささずに雨に打たれたからかな。
瑠夏はちゃんと自分で学校に行ったみたいだけど、昨日の瑠夏は挙動不審っていうか、ちょっと様子がおかしかったんだよな。
やたら蓮君のこと俺に話してきたけど、もう俺には関係ないしな......。
今頃、あの子とうまくやってるんじゃないか??そんなことを考えたら少しだけ胸がキュッと苦しくなった。
もう考えるのはやめよう。さて、仕事でもしますか。
よいしょっ、と俺は重たい身体を無理やり起こして仕事用のパソコンを広げる。...こういう体調悪いときに限ってちゃんと仕事が舞い込んでくるんだよな.....。
俺の仕事は、広告とかSNS投稿向けの画像制作が中心だ。Photoshop、Illustrator、word、Excelなんかを使って、いわゆる”Webデザイナー”をもう数年やっている。
大学は中退したけど、高校はIT系に強い情報学科に通っていたおかげで、その知識が今の仕事に役立っている。高校の時、情報学科がある学校を選んでよかった、と当時の自分を褒めてあげたいくらいだった。
始めたばかりの頃は、依頼も少なくて給料も雀の涙。到底これだけでは生活が成り立つはずもなく、近所のスーパーでバイトを掛け持ちして、なんとか瑠夏を育てながら生計を立てていた。
最近になって、ようやく仕事が軌道に乗り始め依頼される仕事も増えて、今ではデザイナーの仕事一本で食べていけるようになった。なので基本的には在宅ワークが多い。たまに依頼先に出向くこともあるけど。
だからこそこうやって体調が悪い日に仕事をすると地獄を見る。頭はぼーっとするし、目はすぐに痛くなる。
納期がどうしてもっていう案件じゃないなら.....こういう日は見なかったことにするのがいちばんだ。
熱もじわじわと上がりかけてる感じもするし、こんな状態で仕事が捗るはずもない。
今日は一日寝まくろう。最近は頑張ってたし、今日みたいな日があってもいいだろう。
あ、でも夕飯の買い物しなきゃ.....。いや、無理。めんどくさい。たまには出前でもいいかな。きっと瑠夏も許してくれるはずだ。
俺はそのままパソコンを閉じ、瑠夏の好きなお店の出前を頼んでベッドに突っ伏した。
「ただいま....って母さん、顔真っ赤だよ?」
瑠夏の声が聞こえ、あれ?今何時だ!?と慌てて顔をバッとあげた。
どうやら俺はあのまま寝てしまっていたらしく、気がつけば瑠夏が帰宅する時間になっていた。
「あぁ、お帰り。けほっ.....ごめん。今日は出前にしちゃってさ、瑠夏の好きなの頼んどいたから。ごほっ、ごほっ.....」
俺がふらふらと体を起こそうとしたら、瑠夏が慌てて駆け寄ってきて手で押しとどめられた。
「立たなくていいよ!動かないで!」
確かに今朝より意識は少しぼんやりとするし、頭もこめかみの辺りがガンガンと痛む。でもそんなに酷いかな?
こつん、と瑠夏がおでこを俺の額に当てた。
「...やば さすがに熱すぎ。今からばあちゃん呼ぶから病院連れて行ってもらいな。」
スマホを手に取った瑠夏は、すぐさま母さんに電話をかけていた。「そこまでしなくてもいいのに...」と、言葉を口にだそうとした途端、喉がヒュッと詰まり激しい咳が込み上げてきた。
こほっ けほっ...呼吸をするたびに肺がひゅーひゅーと音を立てる。胸が痛い。息が吸えない。世界がぐにゃりと歪んだ。
視界が滲んで吐き気が込み上げる。身体を思うように動かすことができなかった。
「、、さんっ!!しっかり!!母さんっ!!」
瑠夏の叫ぶ声が聞こえたーーそれを最後に俺の意識はすぅっと闇に落ちた。
***
目を開けると、見慣れない真っ白な天井が広がっていた。薬品の匂いが鼻を突き、ここが病院だとすぐに理解した。
右腕を見ると点滴が刺されており、ゆっくりと透明な液体がぽたっ、ぽたっと静かに流れ込んでいた。
点滴のおかげか、体の重さはだいぶ引いていて頭の痛みもなかった。咳の症状も落ち着いているようだ。ただ、息を吐くと胸にほんの僅かな痛みが残っていた。
あの息苦しさは現実だったのかーーそう実感すると同時にどこかまだ夢を見ているような気分でもあった。
胸の内でそんなことを考えていると、カーテンが「シャッ」っと音を立てて開かれた。
はぁ、昨日傘もささずに雨に打たれたからかな。
瑠夏はちゃんと自分で学校に行ったみたいだけど、昨日の瑠夏は挙動不審っていうか、ちょっと様子がおかしかったんだよな。
やたら蓮君のこと俺に話してきたけど、もう俺には関係ないしな......。
今頃、あの子とうまくやってるんじゃないか??そんなことを考えたら少しだけ胸がキュッと苦しくなった。
もう考えるのはやめよう。さて、仕事でもしますか。
よいしょっ、と俺は重たい身体を無理やり起こして仕事用のパソコンを広げる。...こういう体調悪いときに限ってちゃんと仕事が舞い込んでくるんだよな.....。
俺の仕事は、広告とかSNS投稿向けの画像制作が中心だ。Photoshop、Illustrator、word、Excelなんかを使って、いわゆる”Webデザイナー”をもう数年やっている。
大学は中退したけど、高校はIT系に強い情報学科に通っていたおかげで、その知識が今の仕事に役立っている。高校の時、情報学科がある学校を選んでよかった、と当時の自分を褒めてあげたいくらいだった。
始めたばかりの頃は、依頼も少なくて給料も雀の涙。到底これだけでは生活が成り立つはずもなく、近所のスーパーでバイトを掛け持ちして、なんとか瑠夏を育てながら生計を立てていた。
最近になって、ようやく仕事が軌道に乗り始め依頼される仕事も増えて、今ではデザイナーの仕事一本で食べていけるようになった。なので基本的には在宅ワークが多い。たまに依頼先に出向くこともあるけど。
だからこそこうやって体調が悪い日に仕事をすると地獄を見る。頭はぼーっとするし、目はすぐに痛くなる。
納期がどうしてもっていう案件じゃないなら.....こういう日は見なかったことにするのがいちばんだ。
熱もじわじわと上がりかけてる感じもするし、こんな状態で仕事が捗るはずもない。
今日は一日寝まくろう。最近は頑張ってたし、今日みたいな日があってもいいだろう。
あ、でも夕飯の買い物しなきゃ.....。いや、無理。めんどくさい。たまには出前でもいいかな。きっと瑠夏も許してくれるはずだ。
俺はそのままパソコンを閉じ、瑠夏の好きなお店の出前を頼んでベッドに突っ伏した。
「ただいま....って母さん、顔真っ赤だよ?」
瑠夏の声が聞こえ、あれ?今何時だ!?と慌てて顔をバッとあげた。
どうやら俺はあのまま寝てしまっていたらしく、気がつけば瑠夏が帰宅する時間になっていた。
「あぁ、お帰り。けほっ.....ごめん。今日は出前にしちゃってさ、瑠夏の好きなの頼んどいたから。ごほっ、ごほっ.....」
俺がふらふらと体を起こそうとしたら、瑠夏が慌てて駆け寄ってきて手で押しとどめられた。
「立たなくていいよ!動かないで!」
確かに今朝より意識は少しぼんやりとするし、頭もこめかみの辺りがガンガンと痛む。でもそんなに酷いかな?
こつん、と瑠夏がおでこを俺の額に当てた。
「...やば さすがに熱すぎ。今からばあちゃん呼ぶから病院連れて行ってもらいな。」
スマホを手に取った瑠夏は、すぐさま母さんに電話をかけていた。「そこまでしなくてもいいのに...」と、言葉を口にだそうとした途端、喉がヒュッと詰まり激しい咳が込み上げてきた。
こほっ けほっ...呼吸をするたびに肺がひゅーひゅーと音を立てる。胸が痛い。息が吸えない。世界がぐにゃりと歪んだ。
視界が滲んで吐き気が込み上げる。身体を思うように動かすことができなかった。
「、、さんっ!!しっかり!!母さんっ!!」
瑠夏の叫ぶ声が聞こえたーーそれを最後に俺の意識はすぅっと闇に落ちた。
***
目を開けると、見慣れない真っ白な天井が広がっていた。薬品の匂いが鼻を突き、ここが病院だとすぐに理解した。
右腕を見ると点滴が刺されており、ゆっくりと透明な液体がぽたっ、ぽたっと静かに流れ込んでいた。
点滴のおかげか、体の重さはだいぶ引いていて頭の痛みもなかった。咳の症状も落ち着いているようだ。ただ、息を吐くと胸にほんの僅かな痛みが残っていた。
あの息苦しさは現実だったのかーーそう実感すると同時にどこかまだ夢を見ているような気分でもあった。
胸の内でそんなことを考えていると、カーテンが「シャッ」っと音を立てて開かれた。
201
あなたにおすすめの小説
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
✻改稿版を他サイトにて投稿公開中です。
泡にはならない/泡にはさせない
玲
BL
――やっと見つけた、オレの『運命』……のはずなのに秒でフラれました。――
明るくてお調子者、だけど憎めない。そんなアルファの大学生・加原 夏樹(かはらなつき)が、ふとした瞬間に嗅いだ香り。今までに経験したことのない、心の奥底をかき乱す“それ”に導かれるまま、出会ったのは——まるで人魚のようなスイマーだった。白磁の肌、滴る水、鋭く澄んだ瞳、そしてフェロモンが、理性を吹き飛ばす。出会った瞬間、確信した。
「『運命だ』!オレと『番』になってくれ!」
衝動のままに告げた愛の言葉。けれど……。
「運命論者は、間に合ってますんで。」
返ってきたのは、冷たい拒絶……。
これは、『運命』に憧れる一途なアルファと、『運命』なんて信じない冷静なオメガの、正反対なふたりが織りなす、もどかしくて、熱くて、ちょっと切ない恋のはじまり。
オメガバースという世界の中で、「個」として「愛」を選び取るための物語。
彼が彼を選ぶまで。彼が彼を認めるまで。
——『運命』が、ただの言葉ではなくなるその日まで。
僕の幸せは
春夏
BL
【完結しました】
【エールいただきました。ありがとうございます】
【たくさんの“いいね”ありがとうございます】
【たくさんの方々に読んでいただけて本当に嬉しいです。ありがとうございます!】
恋人に捨てられた悠の心情。
話は別れから始まります。全編が悠の視点です。
いい加減観念して結婚してください
彩根梨愛
BL
平凡なオメガが成り行きで決まった婚約解消予定のアルファに結婚を迫られる話
元々ショートショートでしたが、続編を書きましたので短編になりました。
2025/05/05時点でBL18位ありがとうございます。
作者自身驚いていますが、お楽しみ頂き光栄です。
【完結】幼馴染から離れたい。
June
BL
隣に立つのは運命の番なんだ。
βの谷口優希にはαである幼馴染の伊賀崎朔がいる。だが、ある日の出来事をきっかけに、幼馴染以上に大切な存在だったのだと気づいてしまう。
番外編 伊賀崎朔視点もあります。
(12月:改正版)
8/16番外編出しました!!!!!
読んでくださった読者の皆様、たくさんの❤️ありがとうございます😭
1/27 1000❤️ありがとうございます😭
3/6 2000❤️ありがとうございます😭
4/29 3000❤️ありがとうございます😭
8/13 4000❤️ありがとうございます😭
12/10 5000❤️ありがとうございます😭
わたし5は好きな数字です💕
お気に入り登録が500を超えているだと???!嬉しすぎますありがとうございます😭
運命の番は僕に振り向かない
ゆうに
BL
大好きだったアルファの恋人が旅先で運命の番と出会ってしまい、泣く泣く別れた経験があるオメガの千遥。
それ以来、ずっと自分の前にも運命の番があらわれることを切に願っていた。
オメガひとりの生活は苦しく、千遥は仕方なく身体を売って稼ぐことを決心する。
ネットで知り合った相手と待ち合わせ、雑踏の中を歩いている時、千遥は自分の運命の番を見つけた。
ところが視線が確かに合ったのに運命の番は千遥を避けるように去っていく。彼の隣には美しいオメガがいた。
ベータのような平凡な見た目のオメガが主人公です。
ふんわり現代、ふんわりオメガバース、設定がふんわりしてます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる