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病魔02
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「ーーあぁ!よかった。目が覚めたんですね。ご自身のお名前と、ここがどこだか分かりますか?」
「えーと.....病院、ですよね。名前は、立花葵です」
「はい ありがとうございます。見当識に問題は無さそうですね。」
看護師が安心したように微笑む。けれどそれよりも気がかりなことがあった。
「あの、瑠夏.....息子は家に帰りましたか??」
あんな泣き顔を最後に見たんだ。正直、自分のことより瑠夏の方が気になってしまった。
「息子さんでしたら、おばあ様と一緒に帰られましたからご安心ください。」
「...そうでしたか。ありがとうございます。」
「いえいえ。それと本日は念のため入院していただきますね。明日、担当の先生の診察がありますので詳しいことは、そこでお話しますね。」
「またなにかありましたら、遠慮なくナースコールでお知らせください。」看護師はにこやかに会釈しながら、静かにカーテンを閉める。
目を瞑ってとりあえず寝ようと頑張ってみる。考えたって仕方がない。明日のことは、明日にならないと分からないのだからーー
翌日。目を覚ますと、早速先生から話があると言われた。病院食を食べた後に身体を起こして診察室に向かった。
診察室に入ると、人当たりの良さそうな穏やかな眼差しをした医師が待っていた。
「立花さん、初めまして。主治医の高井と申します。すぐで大変申し訳ないのですが早速検査をさせてくださいね。」
促されるままレントゲン、血液検査、そしてエコー検査をした。その間、先生の表情はどこか硬く、時折眉間に皺を寄せていた。
嫌な予感がする。なにかとんでもない病気にでも罹ったのだろうかーー少しだけ怖くなった。検査が一通り終わり、再び診察室の椅子に座る。静かな時間の後、先生は深く息をついて俺に告げた。
「立花さんあなたはーー過剰性フェロモン喘鳴症という病に罹っています。」
過剰性フェロモン喘鳴症??聞いたこともない病名だ。俺は持病もなにもないけど...
「...すみません。初めて聞く病名でイマイチ分からないのですが...」
先生は頷きながら、淡々と続けた。
「この症候群は、いわゆる“運命の番”と呼ばれる相手ーー魂レベルで惹かれ合う存在に出会ったことで、抑え込まれていたオメガ性が再び活性化し、体内のフェロモンバランスが極端に崩れる病気です」
「立花さん。最近そういった方と接触があったのではないですか?」
”運命”。その言葉を聞いた瞬間、心臓の音がやけに耳に響いた。ーー蓮君のことだ。
「......はい。ありました」
「やはり、そうでしたか...。今は軽い喘息のような症状で済んでいますが、このままフェロモンの過剰分泌が進行すると、やがて肺に水が溜まり重度の肺炎を起こしてしまう可能性があります。最悪の場合ーー命を落とすケースもあります。」
言葉がすぐには理解できなかった。いや、理解することを脳が拒んだ。命を落とすーー? そんな大げさな......。ただの風邪か、疲れだと思っていたのに。まさかこんなことになるなんて...
「原因は“運命の番”との接触です。接触があったあとで関係が途絶えるとオメガの体は欠けたフェロモンを求めて暴走してしまうんですよ」
先生の言葉がゆっくりと胸に落ちる。こうなったのは蓮君のせい?
ーーいやそれは違う。最初にあの子を拒んだのは俺の方だ。
「妊娠時や子育ての時の発情期は、それほど重くなかったでしょう?」
思い返してみると、確かにあの頃は発情期で寝込んだことも、身体がうずうずしてたまらない。なんてことは一切無かった。だけど当時はそれをオメガとしての母性が働いているのかな、と勝手に納得していた。
「......これって、治るんですか??」
小さな声で問いかけると、先生はやや躊躇いながらも静かに答えた。
「ーーえぇ、一応は。運命の番と番うこと。もしくは性行為、そうでなくともアルファの体液を取り込むこと。そうすることで、過剰に暴走したオメガ性が抑圧され症状は落ち着きます。」
番う...俺と蓮君が...か。現実味が湧いてこない。
そんな俺の表情を見て悟ったのか、先生は続けてこう言った。
「ただしーーこの過剰性フェロモン喘鳴症は精神的に傷つけられたオメガが発症するケースが大半です。それはきっと立花さんも例外ではないでしょう。」
図星だ。先生は始めから俺が運ばれてきた段階でこの病気ではないかと疑っていたらしい。だからレントゲンに写っていた肺の影を見て疑いが確信に変わり、表情が少し強張ったのだと今なら分かった。
治療法はある。でも、アルファに対してトラウマを抱えたオメガに「番え」なんて無責任なことは先生も言えないのだろう。なんて質の悪い病気なんだ。あまりにもピンポイントすぎやしないか?
「...どうして俺が。」
思わず呟いた言葉が、静かに診察室に落ちた。
本能に身を委ねれば、俺は助かるのか......。でも、そこに蓮君を巻き込むのは違うだろう。
「ちなみに、もしこのまま治らなかったとして、俺はあとどれくらい生きられるんですか?」
「そうですね...。」
先生は言葉を吟味するように、間を置いてから俺に告げた。
「今の状態で薬を処方して進行を遅らせたとしても...もって五年、と見た方がいいでしょう」
五年ーー。”もって”という言葉が心に深く突き刺さった。つまりーーそれ以前に早く死んでしまう可能性もあるということだ。せめて、瑠夏が十八歳になるまでは。成人を迎えるまではなんとか生きたい。
「立花さん、ひとまず冷静に考えてください。私は立花さんの考えを尊重します。どんな選択をしても、後悔が残らないように全力で支えますから。ひとまず薬は一か月分処方しておきます。その間、ご家族ともよく話し合ってください」
「......はい。ありがとうございます」
茫然としながら病院をあとにする。“余命五年”。頭では理解しても心がまるで追いつかない。自分の命の終わりを感じながらこのまま生きていくなんて。
どうして俺が死ななきゃいけない?本当に死ぬべきなのはーーあのとき俺を襲ってきた奴らの方だろう。なんで俺が...俺だけがこんな目に遭わなきゃいけないんだよ。
瑠夏はどうなる?母さんはどう思うだろう。あれ、俺ってなんのために生きていけばいいんだっけ。行き場のない怒りと戸惑いが心の中で渦を巻いた。
認めたくない。認められない。受け入れられない。実家に帰ろうかと思ったけれど足は自然と自宅へと向いていた。
帰宅して扉を閉めた瞬間、堰を切ったように涙があふれた。声を殺そうとしても喉が震え、嗚咽が止まらなかった。床に手をついて子どものように泣いた。
泣いて、泣いて、何も出なくなったころ。ようやく少しだけ冷静さを取り戻してきた。「瑠夏を迎えに行かなくちゃ、」と。
実家に行くと、瑠夏はまだ学校から帰ってきていないらしく幸い泣き腫らした目を瑠夏に見られずに済んだ。
「葵??あんたその目...どうしたの??何かあった?」
この残酷な事実を母さんにも知らせるべきなのかな。なぁ俺はどうしたい??その問いかけに胸が痛んだ。
「...ううん、なんでもない。」
俺は嘘を吐いた。でもこれは優しい嘘。だってもうこれ以上、母さんが悲しむ姿をこの目で見たくないから。
「えーと.....病院、ですよね。名前は、立花葵です」
「はい ありがとうございます。見当識に問題は無さそうですね。」
看護師が安心したように微笑む。けれどそれよりも気がかりなことがあった。
「あの、瑠夏.....息子は家に帰りましたか??」
あんな泣き顔を最後に見たんだ。正直、自分のことより瑠夏の方が気になってしまった。
「息子さんでしたら、おばあ様と一緒に帰られましたからご安心ください。」
「...そうでしたか。ありがとうございます。」
「いえいえ。それと本日は念のため入院していただきますね。明日、担当の先生の診察がありますので詳しいことは、そこでお話しますね。」
「またなにかありましたら、遠慮なくナースコールでお知らせください。」看護師はにこやかに会釈しながら、静かにカーテンを閉める。
目を瞑ってとりあえず寝ようと頑張ってみる。考えたって仕方がない。明日のことは、明日にならないと分からないのだからーー
翌日。目を覚ますと、早速先生から話があると言われた。病院食を食べた後に身体を起こして診察室に向かった。
診察室に入ると、人当たりの良さそうな穏やかな眼差しをした医師が待っていた。
「立花さん、初めまして。主治医の高井と申します。すぐで大変申し訳ないのですが早速検査をさせてくださいね。」
促されるままレントゲン、血液検査、そしてエコー検査をした。その間、先生の表情はどこか硬く、時折眉間に皺を寄せていた。
嫌な予感がする。なにかとんでもない病気にでも罹ったのだろうかーー少しだけ怖くなった。検査が一通り終わり、再び診察室の椅子に座る。静かな時間の後、先生は深く息をついて俺に告げた。
「立花さんあなたはーー過剰性フェロモン喘鳴症という病に罹っています。」
過剰性フェロモン喘鳴症??聞いたこともない病名だ。俺は持病もなにもないけど...
「...すみません。初めて聞く病名でイマイチ分からないのですが...」
先生は頷きながら、淡々と続けた。
「この症候群は、いわゆる“運命の番”と呼ばれる相手ーー魂レベルで惹かれ合う存在に出会ったことで、抑え込まれていたオメガ性が再び活性化し、体内のフェロモンバランスが極端に崩れる病気です」
「立花さん。最近そういった方と接触があったのではないですか?」
”運命”。その言葉を聞いた瞬間、心臓の音がやけに耳に響いた。ーー蓮君のことだ。
「......はい。ありました」
「やはり、そうでしたか...。今は軽い喘息のような症状で済んでいますが、このままフェロモンの過剰分泌が進行すると、やがて肺に水が溜まり重度の肺炎を起こしてしまう可能性があります。最悪の場合ーー命を落とすケースもあります。」
言葉がすぐには理解できなかった。いや、理解することを脳が拒んだ。命を落とすーー? そんな大げさな......。ただの風邪か、疲れだと思っていたのに。まさかこんなことになるなんて...
「原因は“運命の番”との接触です。接触があったあとで関係が途絶えるとオメガの体は欠けたフェロモンを求めて暴走してしまうんですよ」
先生の言葉がゆっくりと胸に落ちる。こうなったのは蓮君のせい?
ーーいやそれは違う。最初にあの子を拒んだのは俺の方だ。
「妊娠時や子育ての時の発情期は、それほど重くなかったでしょう?」
思い返してみると、確かにあの頃は発情期で寝込んだことも、身体がうずうずしてたまらない。なんてことは一切無かった。だけど当時はそれをオメガとしての母性が働いているのかな、と勝手に納得していた。
「......これって、治るんですか??」
小さな声で問いかけると、先生はやや躊躇いながらも静かに答えた。
「ーーえぇ、一応は。運命の番と番うこと。もしくは性行為、そうでなくともアルファの体液を取り込むこと。そうすることで、過剰に暴走したオメガ性が抑圧され症状は落ち着きます。」
番う...俺と蓮君が...か。現実味が湧いてこない。
そんな俺の表情を見て悟ったのか、先生は続けてこう言った。
「ただしーーこの過剰性フェロモン喘鳴症は精神的に傷つけられたオメガが発症するケースが大半です。それはきっと立花さんも例外ではないでしょう。」
図星だ。先生は始めから俺が運ばれてきた段階でこの病気ではないかと疑っていたらしい。だからレントゲンに写っていた肺の影を見て疑いが確信に変わり、表情が少し強張ったのだと今なら分かった。
治療法はある。でも、アルファに対してトラウマを抱えたオメガに「番え」なんて無責任なことは先生も言えないのだろう。なんて質の悪い病気なんだ。あまりにもピンポイントすぎやしないか?
「...どうして俺が。」
思わず呟いた言葉が、静かに診察室に落ちた。
本能に身を委ねれば、俺は助かるのか......。でも、そこに蓮君を巻き込むのは違うだろう。
「ちなみに、もしこのまま治らなかったとして、俺はあとどれくらい生きられるんですか?」
「そうですね...。」
先生は言葉を吟味するように、間を置いてから俺に告げた。
「今の状態で薬を処方して進行を遅らせたとしても...もって五年、と見た方がいいでしょう」
五年ーー。”もって”という言葉が心に深く突き刺さった。つまりーーそれ以前に早く死んでしまう可能性もあるということだ。せめて、瑠夏が十八歳になるまでは。成人を迎えるまではなんとか生きたい。
「立花さん、ひとまず冷静に考えてください。私は立花さんの考えを尊重します。どんな選択をしても、後悔が残らないように全力で支えますから。ひとまず薬は一か月分処方しておきます。その間、ご家族ともよく話し合ってください」
「......はい。ありがとうございます」
茫然としながら病院をあとにする。“余命五年”。頭では理解しても心がまるで追いつかない。自分の命の終わりを感じながらこのまま生きていくなんて。
どうして俺が死ななきゃいけない?本当に死ぬべきなのはーーあのとき俺を襲ってきた奴らの方だろう。なんで俺が...俺だけがこんな目に遭わなきゃいけないんだよ。
瑠夏はどうなる?母さんはどう思うだろう。あれ、俺ってなんのために生きていけばいいんだっけ。行き場のない怒りと戸惑いが心の中で渦を巻いた。
認めたくない。認められない。受け入れられない。実家に帰ろうかと思ったけれど足は自然と自宅へと向いていた。
帰宅して扉を閉めた瞬間、堰を切ったように涙があふれた。声を殺そうとしても喉が震え、嗚咽が止まらなかった。床に手をついて子どものように泣いた。
泣いて、泣いて、何も出なくなったころ。ようやく少しだけ冷静さを取り戻してきた。「瑠夏を迎えに行かなくちゃ、」と。
実家に行くと、瑠夏はまだ学校から帰ってきていないらしく幸い泣き腫らした目を瑠夏に見られずに済んだ。
「葵??あんたその目...どうしたの??何かあった?」
この残酷な事実を母さんにも知らせるべきなのかな。なぁ俺はどうしたい??その問いかけに胸が痛んだ。
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